殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

逆モヒカン

2011年02月06日 18時17分06秒 | みりこんぐらし
          「お気に入りの場所…逆モヒカン」


最近あんたの亭主はどうなっているんだ…とお思いのかたもおられよう。

夫の頭は、今大変なことになっている。

え?頭は下半身と共に、元々大変だろうって?

いや、髪の毛ね。


夫は会社で求人の必要が生じ、以前勤めていた子のところへ会いに行った。

その彼、太一君は、自分の頭をバリカンで刈ろうと準備したところであった。


夫は、ついやってもらいたくなったそうだ。

こんな時に、こんな衝動にかられる人は、少ないと思う。

それが夫なのだ。

つまらぬことほど、言い出したらきかない。


太一君は、おっとりした優しい子。

夫の性質もわかっているので、こころよく始めてくれたと思う。

しかし、ジャーと刈り始めた時、バリカンが突然故障した。

頭の中心を、後頭部から頭頂部にかけて刈り込んだところであった。

太一君は、壊れたバリカンをハサミに持ち替え、頑張ってくれたようだが

慣れているとはいえ、しょせんしろうと…結果は無残であった。


夫は、トラ刈りの逆モヒカン・前髪少々・カッパもどき

という斬新なヘアスタイルで、さりげなく帰宅。

こういう時、妙に落ち着いているのも、夫なのだ。

    「ひんえ~!」

私はムンクの叫び。


ちなみに会社復帰の話は「お姉さんがいるからイヤ」と断られた。

辞めた原因も、それであった。

お姉さんとは、夫の姉カンジワ・ルイーゼのことである。


若い頃の夫は、某軍団の、昨年禁煙に成功した人によく似ていた。

よく、間違えてサインを求められたり、写真を撮られたものだ。

結婚前の若かりし私は、そのおかたのファンだったので

道を間違えた。

元々バカという不治のヤマイの上、面食いの菌に冒されていたのだ。


あのそっくりさんが、名刺をちらつかせて青年実業家のフリをすれば

妻子があろうが何だろうが、バカな女はコロリとだまされ

貧しく生い立った女ほど、“実業”の実情がわからないので

ありもしない玉の輿を夢見て、略奪に燃える。

タチ、悪し。


しか~し!

その面影は、もはや完全に消え失せた。

切れ長だった目は、40代の半ば

シワの奇跡によって、突然大きなパッチリ二重となる。

太って、顔にもたっぷりと肉がつき

顔の色も黒ずんで、まったくの別人となり果てた。


今では、悪者一味の手先となり下がった桃太郎侍…

または、肥満で使い物にならないゴルゴ13…

そして悪く言えば、ただ顔の濃いデブ。

生々しい暮らしを続けると、自然な“枯れ”に失敗するようだ。


夫はこの数日、ニット帽をかぶって過ごしている。

頭を隠してしまうと、くどい顔が強調されて、とっても不気味。

隠すぐらいならさっさと直せばいいものを、かたくなに拒否する。

いつも月に2~3回のペースで理髪店に行く夫だが

気軽によく行くからこそ、こうなってしまったら、かえって行けない。

こんな頭じゃデートもできまいに…と、一応心配してやるが

それよりも、短い部分に合わせて丸刈りになるほうが恐いらしい。

まったく、おじんというのは厄介だ。


そこで、早く伸びるようにと、ワカメを与える。

頑張って食べる夫。

ただの気休めでも、ヘルシーなのは確かである。
コメント (56)
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