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殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

貧者の一灯

2009年12月26日 12時08分12秒 | みりこんぐらし
クリスマス…皆さんいかがお過ごしでしたか?


うちはもう大人ばかりの所帯だし

クリスマスだから特別何かする…ということもないが

約1名、ケーキを食べないと気が済まないのがいる。

今年も「オレが用意する!」と張り切っていた。


当日、夫はデコレーションケーキの箱を抱えて帰宅した。

今年は「手作りケーキも売っている喫茶店」で買ったと言う。

我が町の誇り…人間でなく閑古鳥が闊歩するたそがれ地区…

あの“駅前薄情商店街”にある古い店だ。


わーい、わーい、パパありがとう…一応喜ぶ。

これも営業さ。

円滑な家庭生活は、女の機嫌で決まるのだ。

すでに円満ではないので、せめて円滑を目標にしている。

夫も嬉しそう。

「ごはんの後、みんなで食べようぜ!」


ここ数年、クリスマス・イブには家に居る夫。

独身女性に相手にしてもらえなくなった。

家庭のある女は、家族でパーティーなんぞするので

夫も手持ちぶさたでござる。


「イブは私のために…クリスマスはご家族と一緒にいてあげてね」

夫も昔は、こちらを憐れむ余裕を見せる勘違い女にそう言われ

忠実に実行していた頃もあったが

そういうイベント関係のいざこざがすっかり無くなってみると

私としても、いまひとつ盛り上がりに欠ける。


長男の帰りを待ってさっそくケーキの箱を開ける。

この子も彼女いない歴2年…去年に続き、家族で過ごすクリスマスだ。

「あっ…」

我々は息を飲む。

すごいケーキ。

生クリームを塗っていない裸のスポンジの上に

ただ缶詰のパインと桃が鎮座している。

昭和中期を彷彿とさせるシンプルかつ、めっぽういにしえなデザイン。


気を取り直して入刀。

「ねえ…このスポンジ、スーパーで売ってるやつじゃん」

家で飾り付けを楽しむ、真空パックに入ったスポンジだ。

菓子パンに似た食感と、あと口の悪さが証拠。


「ひどいねぇ…他に無かったの?」

ブツブツ言って、長男に厳しく注意される。

「せっかく父さんが買って来てくれたのに、そういう言い方はないだろ」

     「すいません…」

しょうがない。

同じ買うならあの商店街で…と日頃主張する私も悪いのだ。


しかしその長男も一口食べて、うっ…とうなる。

「あの店も終わったな」

ほれ!ごらん!

数百円の材料費で手間いらず…これに3千いくらの値をつけ

クリスマス用の飾りとロウソクを添える根性がふてぶてしいではないか。


「変わってて、いいと思ったんだ」

と夫。

そりゃ、変わってるけどさ。

とうとうここまできたか…家族で商店街を案じる聖夜であった。


案じるといえば、私には悩みがある。

去年から月に一度、女ばかり数人で

友人の経営する小さな食堂を訪れ、飲食にいそしむようになった。

あの商店街ではないが、できるだけ地元で遊び

貧者の一灯なりにお金を落とそうという主旨である。


そこへ行けば、店で忙しい友人も参加できる。

今までなぜこのことに気づかなかったのか

開始当初は、悔しい気持ちになったものだ。


月に一度の「例会」は、最初は楽しかった。

しかし…私はだんだんこの集まりが苦になってきたのだ。


まず客層が良くない。

しつこく話しかけられるくらいで、たいしたことはないんだけど

店の雰囲気と出されるものに見合った客しか来ないということだ。

そうだ…これがあったから、ずっと避けていたのだ…

今さらながらに思い出すが、もう遅い。


次に、だんだん支払いが高くなる。

友人も気を使って、メニューに無い目新しいものを

食べきれないほど用意してくれるけど

駅の立ち食いそば屋でカニ会席を食べる気分かしらん。


一番うっとうしいのは、友人の旦那である。

年の離れた夫婦なので、すでにおじいさんだ。

おじいさんは、この集まりを楽しみにしている。


最初はヒマな店の隅で、おとなしく手伝う程度だったのが

近頃では完全に入会状態。

女同士の楽しいおしゃべりに口をはさみ

老人特有のマイペースで仕切りたがる。


妻の友人をもてなしているつもりだろうけど

セコい私としては

金を払いながら老人のおもりをさせられるのは

どうも割に合わないような気が…。


「不景気でお客さんは減るし

 年金生活の夫と学生の子供を抱えて大変なの。

 店があるから気晴らしにも出られないし…」

そう言われて「じゃあ、うちらが行けばいいじゃん!」

とひらめいた会であった。

不景気、不景気と言うが、客の厚情にあぐらをかくのも

閑古鳥の好物ではないのか。


この気持ちをまだ誰にも言ってない。

他の子がどう思っているかも不明だ。

本心を言って年寄りを傷つけるのは気が引ける。

ひそかに死を待ったところで、まだ先のような気がする。

黙って抜けるか、自然消滅を狙うしかないだろう。

つくづく自分はバカだと思う。
コメント (28)
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