殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

いい仕事

2009年11月07日 13時19分57秒 | みりこんぐらし


                “絵と本文は関係ありません”


離婚して日の浅い知人のルミに

「いい仕事があったら紹介してほしい」

と頼まれていた。


子供もまだ幼く、生活が変わったばかりで不安定なので

日曜が休めるところを探したけれど

ハローワークにも本当に無いそうだ。


劣悪な労働条件で評判の工場に

覚悟を決めて就職したものの、3日で挫折したという。

「こんな時期に、仕事も無いのに離婚すな!」

と思うのは簡単だが、それぞれのっぴきならない事情がある。

ここはひとつ、そのチャレンジ精神を評価しようではないか。


大変ねぇ…でやり過ごせばいいものを

困っていると聞いてじっとしていられないのが

私のバカなところ。


こんなのは、降って湧いた宝くじ並みの話でなければ

人の言うことなんて聞きやしないのだ。

下手な鉄砲の構想で、あちこちタネをまいときゃ万が一…

相手はそれを期待しているのだ。

わかっているのに、つい首を突っ込んでしまう。


心当たりに問い合わせたら、議員事務所の電話番があった。

念のためにもうひとつ用意…

生き物の研究センターでエサをやる仕事。

正社員にこだわらなければ、あることはあるのだ。

何でもいい…まず外に出ることで道は拓ける。


早速ルミに連絡する。

「議員事務所~?」

ジーンズで行けないよね…

電話とか苦手だし…

「エサやり~?」

生き物は苦手なのよね…

冷え性だし…


要するに、どっちもお気に召さない。

「日曜さえ休めたら、贅沢は言わない…」

って言ったじゃん…。
 

何でもいい…と言ったって

あんまり本人とかけ離れたものでは失礼にあたる。

もし言われたのが自分であっても

行けそうな所を選んだつもりなんだけど。


…ずっと以前、仕事をしようかな…と考えていた頃。

知人と何気なくそんな話をしていたら

途中から割って入った別の知人に

「道路工事のガードマンは?募集してたわよ!」

と熱心に勧められた。


同じ人が後日

「お弁当屋さんのごはん炊きがあったわ!」

得意満面でチラシを持って来てくれた。

午前4時から8時まで…。

二つも紹介してやった…と言わんばかり。


しかし、こちらの都合を言わせてもらえば

温度変化に弱く、注意力散漫な私に

ガードマンは勤まらないと思う。

小中学生の子供のいる身(当時)で

毎朝4時から8時まで家を空けることは難しいと思う。


なんでもいい…あてがっておけ…

それが彼女なりの「親切」であり

彼女にとって私はそういう存在であったということだ。


私はその人にたずねた。

もし自分がそこへ行けと言われたら行く?

「私が?行くわけないじゃないのっ!失礼な!」

と真顔でおっしゃる。


この経験をふまえ、以来仕事に関しては

たとえ漠然とした話でも

思いつきで無神経なことは言わないようにしているツモリ。


じゃあ、他にどんなのがいいのか?

ルミに聞いてみる。

「各種保険とボーナスがあって~

 欲を言えばやり甲斐があって、残業が無いところ。

 正社員ならなおいいけど」


そんなのがあったら、あんたに言わずに私が行っとるわい。

まあ、なかなか仕事が見つからない人ってのは

こんなもんだ。

彼女の求めているのは「仕事」ではない。

「いい仕事」という夢なのであった。


紹介した2カ所に断りの電話を入れる。

「おまえが来い」と言われ、ロウバイする私。

電話番はさておき、実はその生き物が怖い。

たいしたものではない。

魚類である。


人には紹介しても、いざ自分が行くとなったらやっぱり躊躇する

口ほどにもない私よ。

取り急ぎ、身代わりを探す日々である。
コメント (12)
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