殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

爪美人

2009年11月03日 08時49分06秒 | みりこんぐらし


「スカートが…」

「マニキュアで…」

電話中の長男の部屋から

怪しげな単語が聞こえた時、マジで思った。

この子…大丈夫かしらん…。


真相は、釣りの仕掛けの話であった。

疑似餌になにやらフリフリしたものをくっつけ

ひらひらさせては魚を誘うのをラバースカートと呼び

マニキュアは、鯛釣りの仕掛けを手作りする時に塗るのだそうだ。


この夏は鯛の当たり年だったので

私はたびたびネイルカラーを買いに行かされた。

自分で行けばいいのに

「誤解されたら困る」と言う。

それもそうだ…婿入り前だもんね。


百均のではなく、化粧品売り場に置いてある

ちゃんとしたメーカーのものが

やはり仕上がりがよろしいようだ。


私が普段使うピンクやベージュ系のおとなしいものではダメと言う。

できるだけ派手な原色や蛍光色、ラメなどが良いと言う。

鯛がそれを好むと。

…生意気な鯛め。


しかし、いくらネイルカラーをたっぷり塗っても

海水ですぐ輝きが失われるとぼやく。

「あら、トップコートを上塗りすればいいじゃん」

と言ってから、しまった…と思う。

私のトップコートは、ほどなくカラになり

またまとめて買いに行かされる。


トップコートの効果は満足のいくものであったらしい。

「オシャレな母親を持って、良かったのぅ」

誰も言ってくれないので、自分でそう言う。


鯛のシーズンもひとまず終わり

私のドレッサーには、長男からもらった

えげつない色のコレクションがたくさん並ぶこととなった。


自分の肉体の中で、自信のある部位を述べろ…

もしもそう言われたら、人は何と答えるだろう。


私の場合、迷わず爪だ。

爪しか無いので、迷う必要は無い。

自信があるというより

これといった大きな難は見あたらないという低レベルなんだけどね。


ハワイでつけ爪を買って付けていたら

行く先々で現地の人に聞かれた…

「ステキねぇ!どこのサロンへ行ったの?」

ABCストア!と答えたら、誰しもびっくりするのが快感であった。

既製品のつけ爪が修正無しでぴったりはまるのが

便利と言やあ便利。


しかしこの爪で迫害?を受けたこともある。

指先ギリギリまでが爪本体のため

学校の清潔検査では、いつも「長い」と無実の罪に問われる。

マニキュアをしているだろう…と、よく誤解もされた。


病院に勤めていた頃は、しょっちゅう「爪を切れ」と言われていた。

…切ったら血が出ますがな。

自分のアマガエルみたいな形状が正しいと信じているらしい。


てめぇを基準にモノ言うな、バーロー…

みんながおまえみたいに醜いわけではないわい…

上品!で、奥ゆかしい!私は、いつも心でそう叫んだ。


爪が自由の身になった今、少し伸ばして

ズラリと並んだネイルカラーを消費する楽しみに

時間を費やす。


サロンは遠いので行かない。

以前はちょっと通ったこともあるが

今じゃ家でプータローの身の上…

人に見せるわけでもなし、もったいない。


自分でやると、利き腕の右手がうまくいかないが

細い筆やグッズを買い込んで

グラデーションをつけたり、模様を描いたりして喜んでいる。


しかし欲を言えば

もっとはっきりした箇所…頭とか顔とか胸とか…を

「自信がある」と言ってみたい。
コメント (20)
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