羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

京鹿子娘道成寺

2007年12月29日 16時34分50秒 | Weblog
 年末から年始にかけて、歌舞伎の番組が放送される。
 今日は今しがた、京都南座顔見世大歌舞伎から「京鹿子娘道成寺」を見た。
 下では、次の演目「河内山」をやっている。

 さて、「京鹿子娘道成寺」は坂田藤十郎だが、舞台に登場した時には、なぜか未だに「扇雀」のお顔に見えてしまう。
 かれこれ30年前、東京国立劇場で「心中天網島」を親子競演で見たことがある。このときは先代の鴈治郎と今の藤十郎が扇雀だったころのこと。
 扇雀を名乗っていた時代が長かったから、いつまでもその印象がついてまわる。

 子供のころに見ていたこともあって、歌舞伎俳優は一代づつ古く、先代のイメージが重なってしまう。
 私にしてそうだから、もっと年上の方々は、さらにもう一代遡ってしまうに違いない。

 しかし、藤十郎さんの動きは、まだまだ大丈夫。
 衣装も昔に比べて派手になった。赤から若草色、そして桜色から紫へ、さらに紫の上は黄色に引抜くという見事なものだった。
「なんとまぁ、今日は帯が普通より太くない? それを止める丸ぐけの帯留も見るからに太いじゃない」
 はじめのアップの映像に感じたことは、5回もの引き抜き故だったのかと気づくには、かなり時間が過ぎてからだった。
 そして最後の「鐘に恨みは数々あれど……」の鐘に登った衣装は、赤の地に鱗模様だった。黒地に銀の鱗の時もあったと思うが、さすがに赤は目が覚める。
 地方の方々はというと、桜色に桜の模様の裃。
 いやはや踊りもさることながら、衣装の色に酔いましたのよ!

 日本の伝統芸は、齢を重ねてさらに磨かれるという、世界でも類をみない驚異的な発展を遂げた。
 坂東玉三郎が喜寿を迎えたら、どのような風情になるのだろう、と下種の勘繰りをしながら、今日の「娘道成寺」を見ているなんて不謹慎この上ない。ごめんなさい。
 
 さてさて藤十郎はんの娘道成寺は、非常に骨太。
「この女人に恋慕されたら、大変なことになりそう」
 
コメント
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