現生御利益の旅は、羽黒山随身門脇から山頂までの1.7キロの参道歩きから始まる。
修験道を極めた山伏の案内と聞いてちょっぴり緊張していたが、意外に穏やかな顔つきの山伏にちょっと安心。
参道脇を流れる秡川は清冽そのもの、神域に立ち入った感、満載である。
昨夜、荘厳さに胸を打たれた五重塔は普段の姿に立ち帰っている。
素木造り、杮葺き、方三間、ありのままの佇まいがそこにあった。
お世辞にも素行が良いとは言えないオイラ達を、羽黒山は本降りの雨で歓迎してくれた。
テレビなどでお馴染みの羽黒山参道、こんな階段道なら「へっちゃら」だ。
樹齢300年~600年とも伝わる巨老杉が参道脇に迫り、参詣者を異次元の世界へ誘う。
一の坂、二の坂、三の坂、みんな強敵だった。
急勾配、加工の荒い自然石、一段毎の高さがバラバラ、さらに踏み面の幅が狭い四重苦の上、雨ですからね。
それにしても案内の山伏は急勾配に喘ぐこともなく、淡々とガイドを続けていた。脱帽!
1時間弱で登り切ったそこに、茅葺き、入母屋造り、向背付の三神合祭殿があった。
標高が1,500メートルを超える湯殿山と月山は冬季閉鎖されるため、冬の時期は三神を祀っている羽黒山にお参りして、三山を参拝したこととしている。
羽黒山も元来、神仏習合なので四足門の大鐘が残されていた。
明治政府の弾圧を逃れて、よくぞ生き残ったものである。
この御朱印で三山のお参りが済んだことになった。