日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『ひらがな』『カタカナ』『漢字』交じりの文章を読む」。

2012-02-01 08:18:27 | 日本語の授業
 毎日、テレビのニュースの最初に出てくるのは、大雪の有様。雪掻きや雪下ろしに追われる人々。雪の重みにひしゃげてしまった住民のいない家。地震の時に、既にひびが入って、通行禁止になっていたそうですが、雪の重さに耐えかねて、落下した橋。

 この大雪は二日がピークということですから、まだまだ続きます。ほんの近くなのに、日本海側と違って、ここ(行徳)には、いくら寒いといっても、雪がほとんど降りません。昨夕、少しぱらついたかなと思われたのですが、ほんの一瞬で、またただの寒さに戻ってしまいました。今日など、寒さの中休みというところなのでしょう、気温も11度くらいにはなるということですから(ただし、風があります)。

 「狭い」日本、けれども「長い」日本です。中央よりも北に位置する私たちにだって判らないような雪害に見舞われている地域があるのですから。背骨のような山脈が中央を走っているからなのでしょう。それで、同じような緯度にありながら、東西に分かれて片方は雪害に苦しみ、片方はカラカラの大地の中にあるのです。

 本当に「「国境のトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」(川端康成)です。

 さて、学校です。
この前の雪に大喜びしていた学生たちは、雪害ということを知りません。雪の量もわかりません。ニュースの時間に、それを学べるのは、既に「上級」を終わっているクラスだけです。もうすぐ卒業するというのに、「上級」を終えるまで進んでいなければ、学べることはほんのわずかなのです。

 けれども、「N1」レベルくらいの、基礎的な日本語がわかっていなければ(簡単なアルバイトならいざ知らず)、それを基に「学ぶ」ことは、限りなく不可能に近いといえましょう。運良く「N2」には合格できて大学に進級できたという「非漢字圏」の学生も、(大学)一年目は皆、「苦しかった。辛かった」と言います。それが本心でしょう。「大変だった」ではないのです。

 それで、私たちとしても、進学を目指している人たちには、最低でも「N2」くらいまでは行っておいてもらいたいのですが、なかなかそうもいきません(もちろん、適当にやっていたいという人たちは論外です)。まじめにやっていても、何事を学ぶ時でもそうでしょうが、言語を学ぶ上でも、やはり「向き不向き」というのはあるのです。

 中国人は一般的に、他の学生たちに比べて楽なはずなのですが、「読解力」を必要とする部分で、躓いてしまう人もいるのです。これは訊くと「中国でも『国語』はだめだった」と言いますから、「なるほど」なのですが。

 それが「非漢字圏」の人となりますと、まず「漢字(読める、書ける、意味がわかる)」ができても、今度は、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」で書かれている文章を読んでいき、理解していかなければなりません。そうなりますと、やはり「努力」だけでは酬われない部分も出てしまうのです。

 まじめにコツコツやっている人たちよりも、却って「漢字は意味はわかるけれども、読めないし書けない」人の方が、先に「N2」や「N1」に合格してしまったりするのです。

 要領がいいと言ってしまえばそうなのでしょうが、そこには漢字の本質「絵文字である」ことを如何に旨く掴みうるかということも関係してきています。こちら(教師)が折に触れ、それを力説していても、なかなかイメージで捉えられない人は、漢字をグループで分けられないのです。

 部首を覚え、意味がわかっても(あくまで訓読みでの「わかる」なのですが、中・上級レベルでは)、それを1つの意味のまとまりとは捉えられないのです。これは、多分、頭の切り替えが、あまりスムーズに行かないということなのでしょう。

 どうしても、これまで育ってきた国や民族の思考習慣というか、この(思考)回路の切り替えは、人によっては本当に難しいようです。

 というわけで、中級を過ぎた頃から、このことを繰り返さざるを得ないということになってしまいます。一度言ったからそれでいいかというと、決してそんなことはないのです。おそらく1つのクラスを受け持って、半年以上、時には一年以上それを言い続けなくてはならないときもあるくらいなのです。ただ、面倒でも、それを繰り返しておくと、いつの間にか、漠然と(判る)という段階から、「言はでものこと」という段階に、自然に皆がなっていくのです。

 もちろん、人によっては、一度でスッと入っていくということもあるのですが。

日々是好日
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