曇り。10度から5度との予報ですが、陽が出ないからでしょう、とても寒い。体感温度としては、零下の世界…。
さて、今日は、学校の「大掃除」の日です。
実は12月に入って数日経っていたでしょうか、卒業生から「学校へ会いに行きたい」との電話がありました。最初にそれを受けた私、「ふむふむ。26日は、大掃除である」と言いますと、「困ったなあ。そんなことを言われると、その日に行かなければならないみたいじゃないですか」と一応は言って見せた卒業生。(日本語学校の)授業がある間は忙しいので、休みに入ってからまた電話すると言っていたので、待っていると、数日後の電話ではしっかりと、「(前日の)25日の午後に行く」と言っていたそうです。
そして、昨日のこと。
クリスマスだからでしょう、「イチゴ(苺)」のケーキを持って来てくれました。それから、「ミカン狩り」に二人で行ったとのことで、一昨日ちぎったばかりという「ミカン(蜜柑)」も携えていました(「早く食べて。一昨日取ったばかりだから」と急かすのです)。
彼女達が来た時には、ちょうど、来日したばかりという「1月生」が一人、学校に手続きに来ていた時で、ついでに二人に紹介させてもらいました。「今、大学生です。卒業生です」と言ってから、少し話してくれましたが、まだ日本語に馴染めていない「1月生」、ただただ彼女らを必死に見つめるばかり。
彼らが帰った後、早速お昼ご飯です。そして食後のデザートは持って来てくれた「ミカン」。一つずついただいて、今日大掃除に来てもらう先生方にも取っておきます。
そうしているうちに、大学入試の面接の練習に留学生が一人、高校入試の勉強に中学生が一人、やって来ました。まず、大学入試を控えた二年生に上の教室へ行って待ってもらいます。中学生は下で、先に漢字の練習をします。
彼女達は遠慮してちょっと途惑っている様子。そこで、「はい、卒業生。手伝ってください」と、上の教室へ誘います。
彼女達のうち、一人は「経済」を、もう一人は「会計」を専攻しています。受験する学生も「経営」なので、ちょうどいいのです。ちなみに、一人は四年生で、既に日本企業の内定をもらっています。もう一人は三年生でこれからです。
面接の練習をしていると、さすが、二人とも会計に詳しい。この受験生はインドの大学を出て来日しているのですが、その既習の専門について、「それは言わない方がいい」とか、「そこは強調した方がいい」とかいう案が出されます。「なかなかいいな」と思ってみていると、そのうちに一人が、「私はまだ就活中」と言い始めました。
そうか、仲が良かったから、同期生だとばかり思っていたけれども、一年ずれていたのだっけ。「ふむふむ」と放っておこうとすると、「私も練習する」と言い出し、彼女まで面接の練習を始めてしまいました。
「何を言ったらいいのかわからない」と言います。「自己アピールは」。「何もありません」。「ありませんなんてことがあるか」と、つい、以前の口調に戻り、「さあ、資格を取っているか」。「○○を取っている」。すると、そばからもう一人が「それはとても難しい」と説明を加えます。「それなら、自信を持って言えるでしょう」。「…そうか…」。それに一言二言付け加えていきますと、以前の勘を取り戻したのでしょう、早速、紙に書いていこうとします。
それで、もう一人の卒業生に、「彼女の短所、欠点をずらりと並べて書いていって。そして、それに一つ一つ反論させていけば、彼女も自分が客観的に見えて、書きやすくなる」と頼みます。
そうしているうちに、もう一人の受験生がやって来ました。卒業生にちょっと挨拶して、それから、練習に参加しようとするのですが、遅すぎましたね。わからないことがあっても、口を挟めないのです。インド人というのは、人に譲らないという「美点」があり、自分の方が上だと思ったら、梃子でも動こうとしません。自分の用事が済むまでは、人に口を挟ませないのです。ということで、このバングラデシュ人は、指を咥えて待つ時間が長くなるということになってしまいました。
その上、「漢字の練習」が終わった中学生が上に上がってきました。数学の宿題もまだ半分終わっていないとのこと(わからなかったと言います)。それで、ちょっとヒントを与えて、自分でやっていくようにさせます。
卒業生(大四)が、「はい、これは彼女(大三)の欠点と長所のリスト」と言って、見せに来ます。文法や単語をちょっと付け加え、返します。今度は受験生が「これはどう言ったらいいのか」と聞きます。答えているうちに、中学生が「20にならない」と言い始めます。さすがのインド人も中学生には譲るようで、黙ります。中学生に書いた式を見せてと言っても、皆消したと言います。それで、「間違っても全部消さない。やったところをもう一度見ていく」とか言いながら、もう1度させます。すると遠慮していたバングラデシュの受験生が、さっきの続きを言い始めます。
さっき間違えたところと同じ所を間違えているから、言った後、必ずノートに書いておく。すぐに書きなさい」と言っているうちに、卒業生が、これでいいかと見せに来ます。あっちを見たりこっちを見たりしているうちに、もう一人、教員が戻ってきました。安心して、中学生は任せます。
と、さっきのケーキが来ました。すべてを中断させて、みんな、にこにこ顔でケーキに向かいます。でも、ナイフを入れる前に、写真です。卒業生も受験生も皆フェイスブックに載せるのだと言います。二人で撮ったり、三人で撮ったり、こればかりは楽しそうで、いいですね。仲間なのだなあと思います。卒業しても、助け合って生きていってね。これがまず一番の私たちの願いです。
日々是好日