晴れ。
「『セミ』の声がしないなあ」と感じていたその日の帰り、「ミンミンゼミ」が鳴いていました。「ミ~ン、ミ~ン」と、遠くの街路樹から聞こえて来ました。夏ですねえ。
私のふるさとでは、これが、「ワッシ、ワッシ」で、この声で暑さが「十の二乗」に膨れ上がって夏となるのですが、ここでは「ミ~ン、ミ~ン」と、「ワッシ、ワッシ」に比べれば、数段かわいらしげ。聞いても大して暑さは増さない。ただそうは言いましても、確かに夏になった…。
巷では、アメリカの「素数ゼミ」なんてのが話題になっているようですが、夏になると、「セミ」が話題に上るのは、どこでも同じなのでしょうね。そういえば、この「セミ」が部屋に飛び込んできて、慌てふためいていた学生もいましたっけ。「あ、あ、あれは何ですか」。驚いていたのなんのって…。「ネズミ」に驚かないのに、「セミ」にビビるか…。
もっとも、私も「ヤモリ」の鳴き声を、「シーサンパンナ」で、初めて聞いたときには、本当にビビりました。でも、いまだに「あれは、本当に『ヤモリ』の声だったのかしらん」と思っています。
夜間に、真っ暗な中、部屋の中からとしか思えない所からの「声」です、それは驚きますよね。聞くと「ヤモリ」とのこと。今でも、あれは「訳」がどこかしら間違っていたのではないかと思っています。日本の「ヤモリ」は、あんなに大音響で鳴きはしませんもの。
気候が違えば、当然そこに住む「生き物」も違ってくる、そういうものに、初めて対すれば、ビビるのも当然のこと。もっとも、「セミ」にはすぐ慣れたようでしたが。
さて、学校です。
学生達の気分は、「七月生(一年生)」を除けば、皆「夏休み」になっている…。すでに「冬休み」を視野に入れている「二年生」もいるくらいですから。「ね、先生。『冬休み』はいつから?」長期休みの前は、みんなよほどうれしいものと見えます。もっとも、「夏休み」は長く、一ヶ月近くありますから、後半になると、やはり友達にも会いたくなるのでしょう。二学期の登校日には、遅刻したり、来なかったりする人は、まず、いませんから。…まあ、前の日に来たり、日にちを忘れて、電話をしてきたりする人は、時折、見受けられるようですが。
「夏休み」期間に、「二年生」は、案外、忙しく、大学や専門学校のオープンキャンパスに行ったり、あるいは「この学校はどうか」と尋ねに来たりすることもあります。「二年生」とは、「四月生」も「七月生」も「十月生」も、そして今年の一月に来た人とも、何となくお互いがわかり合えるようになっているので、それほどの不安はないのですが、「一年生」ですね、問題は。
「七月生」は来てすぐに、長期休暇となります。日本語のレベルで言うと、「ひらがな・カタカナ」が書ける程度で、勉強が中断するわけですから、アルバイト探しもままならないでしょう。「四月生」は、すでに、最初のアルバイトを変わった人もいるくらいですから、(まあ『みんなの日本語(Ⅱ)』に入っていれば)アルバイト探しくらいならどうにかなるかな。
おそらく、親戚がいる人はその人達が彼らの便宜を図ってくれるでしょうし、二年生の同国人が、紹介してくれるということもあり得る。ただ問題は日本語力ですね。
スリランカ人はヒアリングがいいので、アルバイトくらいならどうにかなるにしても、「七月生」の大半を占めるネパール人はちょっと大変かな。母国で大して日本語を学んできてはいないようですから。
来日後のことを、よく考えてくれるような(現地の)学校であれば、そういうこともないのでしょうが。来日後、こちらが初めて判る「(日本語の)レベル」というのもあります。「えっ?これで『N5』に合格した????」
最低限の日本語、教科書でいえば、『みんなの日本語(Ⅰ)』くらいは学んでおいてほしいのですがね。そうでないと、来日後の生活にも支障が出てきます。
簡単に、日本へ行きさえすれば、どうにかなるくらいに言われて来ている人もいるようです。留学生は、一応「N5」に合格して来ている(大卒者を除く)はずなので、「N5」レベルのものは、サッサッと復習して先に進むというやり方をしているのですが、ネパール人留学生が多くなると、そうは行かなくなります。初心者に対するようなやり方に変えざるを得なくなることもよくあります。
今年の「七月生」は、そんな感じです。…とはいえ、あまり諄くやってしまうと、他の学生が困ってしまう。…もっとも、(他の国から来た学生とも)大した差はなさそう(今回は)なので、どうにかなりそうなのですが。
日々是好日