日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

今日は大掃除です。

2020-12-24 08:51:35 | 日本語学校

晴れ。

夕方には曇りになる…そうな。ほんとかな。きれいな青空がどこまでも広がっています。そして、カラカラのお天気。今日は少し暖かそうなので、よかった、よかった。「大掃除日和」なのかもしれません。

「大学に合格するまでは」と、毎日、放課後に残って勉強していた学生が、この2週間ほどは週に一回は帰るようになりました。聞くと、(以前は、バイトを金土日の夜間にやっていたのですが、試験のため、日曜日は休むようにしていたため)日曜日のバイトがほかの人にとられてしまったとのこと。それで、一回は平日に行かなければならなくなったというのです。

けれども、面白いですね。最初は何を教えても、「何が何だかわからない」風だったのに、だんだん興味を持つようになり、DVDを見せても、面白いと言えるようになったというのは。

昨日は「帰ります」と言いに来て、「昨日の続きのDVDを見たいから、休み中も来てもいいか」と聞きます。夏休みや春休みの時はよかったけれど、冬休みはちょっと特別です。学校の大掃除だってありますし。それで、来年ねと言うと、残念そうに帰っていきました。

既に合格しているのですが、合格した嬉しさが落ち着いた後は、ちょっと怖くなったらしい。だって、本当に何も知らなかったのですから。

共産圏の人が、自由主義国でもあり、資本主義国でもある日本で、「経営」を勉強すると言うのは本当に大変であるような。

まず、「選挙」というのがよくわからない。「政治家」と「公務員」の違いというのも、おそらく…まだわかっていないでしょうね。

日本留学試験の「総合問題」のために、最初は高校の社会科の教科書を使って、説明していたのが、途中から、「これは(いくら口で説明しても)キリがないぞ」ということで、過去問をやりながら説明していくことに方向転換をし、それが一応終わったところで、時々DVDなども見せながら、また必要に応じて教科書に戻る…を繰り返していたのですが、それでも、どこかストンと落ちてはいなかったのでしょう。その、よくわかっていないということが、やっと「納得」できたような。だから、いろいろなものを見たい…となったのでしょう。これも、まだ彼には難しすぎるかなと思いながら見せてみたものでしたが、一緒に見ていた在日の中国の人がいて、時折説明してくれたから、(わかったので)面白かったのかもしれません。

いつも…ではないのですが、仕事のかたわら、時々放課後も残って勉強している在日の人が2人ほどいたのです。国こそ違え、2人とも社会経験はありますし、質問の内容も彼のように高校を出たばかりの人とは違います。それを聞くだけでも彼にとっては勉強になったのかもしれません。

もっとも、私とて「経済系の人間」ではないので、どこまでわかっているのかは怪しいところ(「総合問題」の、「経済分野」が、私にはちと荷が勝ちすぎた)。とはいえ、やらねば(教えねば)ならぬということで、付け焼き刃的でしたが、大慌てで勉強をすることはしたのです。だって、教えるとなると、それ相応に偉そうにやらねばなりませんから(知らなければ偉そうにはできません)。

しかしながら、便利な世の中になったものです。以前、「総合問題」を教えるとき、インターネットで調べることなんて、頭の片隅にもありませんでしたから、いろいろな本を見て調べるよりほかなかったのです。それでも、わからなければ、「これが出たら、諦めるね」なんて言ったり(よく学生がついてきてくれたものです)。

分野によって、(考えるときの)シナプスの流れ方が全然違うような気がするのです。ということで、私なんて、ほんの上っ面を舐めるように理解し、それを言うしかなかったのですが、それでも、やらぬよりはまし。せっかく日本で経営を勉強しようと来たのだから、大学に入ったときに少しでも、楽になるようにと、今は(試験は終わったので)それを考えています。

その点、インターネットと同時にDVDは偉い。本当に助かります。。

来年になって、また勉強が始まります。日本で仕事をしている人たちも、どんなものを見れば、自分の仕事の役に立つかが少しわかったように見えます。インターネットでその番組を探していましたから。

と言うわけで、今日が今年の店じまいです。

今年一年、お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

よいお年を。
教師一同。

日々是好日
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最後の一人が「合格」しました。頑張ったね。

2020-12-10 08:39:17 | 日本語学校
2020/12/10

曇り。あっという間に、冬。

時間に追われるように、今年も過ぎようとしています。

つい、先だってまで、なかなか季節が進まないと、草木を見ては感じていたのに、気がつけば、黄葉を始めていたはずの「桜」の樹が、ほとんどの葉を散らしています。今年は、例年、「サクラ」の花や木の葉を掃いていた方が見受けられません。お加減でも悪いのかしらん。

昨日、二年生で進学が決まっていなかった最後の学生が「合格」の知らせを受け取りました。みんな、「ホッ」。

12時に発表だったのに、教員がその発表場所を捜し当てられず、手間取っていたのですが、それを当人は、「ダメだったから先生は知らせに来ないのだ」と思い込み、どんどん落ち込んでいったようです。

発表時間(12時)から授業終了(12時半)までの30分が1年分ほどの長さも感じられたようで、合格確認が採れたときの喜びようは、もう、すごいものでした。

しかし、これも皆の手伝いがあったればこそ。

ちょうど、IT専門の人が同じクラスで「N1」を目指して勉強していて、いろいろ手伝ってくれたのです(放課後、一緒に残って、勉強していました)。なにせ、コロナ禍で、オンラインでの試験になってしまったものですから、慣れない日本語で打たねばならない。紙の試験で答えを書くのならまだしも、打つのです。その上、面接も、ですからねえ。

この人には、コンピュータを買うのから始まって、操作のいろいろを教えてもらったり…、足を向けて寝られません…くらいの面倒をかけていました。

とはいえ、試験が終わってから、「見直す暇はなかった…。一問だけ書けなかった…。」で、落ち込んでみたり、そうかと思うと、「それでも、面接で親切にしていただいたから」と、心を奮い立たせてみたり…、またまた、「やっぱり、一問、何も書けなかったし、見直せなかったから…」と、うち萎れてみたり…。

いやはや、月曜日、水曜日(火曜日は皇居見学に行きました)は、ボウっと、「ぼうすけ」さん状態で、授業の時も説明が終わって、もう次の段落に入っているのに、はっと気がついたように、前の段落のある箇所を指して「先生、この言葉の意味がわかりません」と突然聞いてきたりして…。みんなに笑われていましたが。

ただ、この笑いも温かい笑いとでも言いましょうか、半分、しょうがないなあ、落ち着かないのだろうなあといった感じ。

発表を見て、「合格しましたあ!」と職員室に来たときも、「本当かな」「わからないよ」と言われ、スマホを持って戻ってきたのですが、見ると、手が震えていました。

それから、午後、いつものように勉強に来ました。そして、大学に入る前に何の勉強をしていた方がいいかと尋ねたかと思うと、突然「頑張ります。俄然やる気が出てきました」。、自分で「英語は勉強しておかなければいけないし、新聞も読めるようにしておかねばならないし」と、計画を立てていました。(この興奮が冷めるとどうなるかはわかりませんが)、今は、言わないでおきます。入学までこの「やる気」が続きますように。

合格発表がもう少し早ければ、平常心で「N1」の試験に望めたでしょうにね。「N1」試験の時も、ヒアリングでぼうっとなってしまい、失敗してしまいました…と言っていましたから。

しかし、よかった、よかった。頑張って、諦めかけていた分だけ、今、幸福感に酔い痴れていても、だれも文句は言いません。

彼は、「日本留学試験」の「総合」のために、昨年の12月から、「歴史」「公民」「政治」「経済」「地理」などを、過去問と日本の高校の教科書を頼りに勉強していました。火曜から金曜まで、よほどの事がない限り、午前の授業後、午後4時半ごろまで残っていました。アルバイトは金土日の夜だけ。

最初、あまりにものを知らないのに、絶句してしまいましたが、それでも、己を衒うことなく、「知らない」と正直に言ってくれたので助かりました。こちらもいろいろと準備できますから。一番困るのが、知ったかぶり(後でわかるのに)をする人で、一つ一つできないのを確認しながらやらなければならなくなるので、二重手間になるのです。

その点、素直で正直というのは助かります。おそらく大学に入っても、先生方から、かわいがられるのではないでしょうか。あまりに幼い部分があるので、そこが心配と言えば心配ですが、先生や友達に恵まれれば、日本での学生生活もどうにか乗り切れるでしょう。

コロナ禍という大変な時期に、日本に留学してきた学生達。皆、この時期を乗り切って、2年後、あるいは四年後に、就職が決まったよと晴れやかな顔でやって来て欲しいものです。

日々是好日
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