日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『初級Ⅰ』クラス、若いクラス」。「『やり直す』ということ」。

2010-04-20 09:16:42 | 日本語の授業
 ハナミズキの樹に花がつき始めました。桜が散ったと思ったら、今度は街路樹のハナミズキです。日かげのハナミズキにも新芽が出始めたことに気づいたのは、つい先日のことでしたのに。それが、今や可愛らしい赤い花をつけたのやら、白っぽいのやら。俄然、町は動脈たる道路を中心に華やかになり始めました。

 この花は樹本体に、浮遊感がありますから、見ているだけで、人を不思議な気持ちにさせてくれます。とは言いながら、とは言いながらですね、私はあまり「洋物」の花は好まないのですが…。

 さて、学校です。

 『初級Ⅰ』クラスでは、昨日から「カタカナ」に入りました。やはり「ひらがな」の時に比べると、読み上げる声は小さくなったようです。在日の方の中には、「ひらがな」はやった(練習した)けれども、「カタカナ」は……という方が何人かいらっしゃいましたから、それも当然なのですが。

 この『初級Ⅰ』のクラス、つまり、『Dクラス』は、他のクラスに比べて、かなり平均年齢が若いのです。高校を卒業して、一年か二年くらいの学生が大半を占めています、その中に、大卒の学生や在日の25才くらいの人がチラホラ。というわけで、だいたいは素直に言われたとおりに勉強しています。そして、昨日は、その「若いクラス」に、一ヶ月だけ日本語を勉強したいということで、二人、更に若いタイ人の少女が加わりました。姉妹で、姉は17才(高校生)妹は、11才(小学生)です。ちょうどお正月でお休みなので、日本へ来た、そのついでに日本語を勉強させたいというご両親の意志なのでしょう。

 この学校では、一年に四回「学生募集」をかけていますから、一年に四回「やり直しのチャンス」があることになります。この『初級Ⅰ』クラスの学生、13人のうち、二人が去年の「10月生」のクラスから来ています。私たちにしてみれば、「わからないのにクラスに残っても意味がない。もう一度やりなおした方が本人のためになる」と考えてのことなのですが、これが当人には通じないのです。「どうして?私はできている(彼らは、カンニングをしようがどうしようが、表面的に胡塗できればそれで、うまくやり過ごせるはずだと思っているようなのです)のに」

 当然のことですが、一人でやらせれば、できませんし。それよりも何よりも、まず第一に、自分ができていないことがわからないようなのです。現に『初級Ⅰ』の最初の部分、「疑問詞」のところでつっかえ、「四月生」に「どうして」と驚かれています。

 これは(かれらの国を貶めるつもりは全くないのですが)、これまでの母国での習慣という以外に理解のしようがないのです。日本では、(日本にも教育に関するいろいろな問題はありますが)学校の勉強が苦手という学生でも、そのことは知っていますし、またカンニングが悪いということも知っています。日本に来て勉強をする場合(日本ではそれが常識ですから)、このことが、ストンと腹の底に収まっていないと大きな障害になるのです。なんとなれば、彼らは観光ではなく、勉強のために来ているのですから。

 多分、わかってもわからなくても、(母国では、教室のいすに座って、何時間かをやり過ごせば、そして)テストの時には(隣近所のだれかの)答案を写せば、事足りていたのでしょう。それが、「あなたはここが理解できていないから、もう一度やった方がいい」と言われても、(そうしたほうが速く上手になるという考え方もありませんから)それがいったいどういう意味なのかわからないのです。

 それがわからなければ、そして身につかなければ、日本での大学受験や会社就職はさらに遠のくと思うのですが…。

日々是好日
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