日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

たとえ、「N3」に合格出来ても、出来なくても…。

2017-04-24 08:50:37 | 日本語学校
晴れ。

穏やかな朝です。「ハナミズキ(花水木)」の花が満開です。駅の近くに「ハナミズキ」を街路樹としている通りがあり、先日、久しぶりにそこを通って、満開になっているのを発見。

でも、考えてみれば、既に「サクラ」の季節は終わっているのです。若葉の季節の始まる頃、「ハナミズキ」が街を彩る…のは、ごく普通の風物詩。…そうでした。

「タンポポ(蒲公英)」の黄色い花の間から、濃い紫の「スミレ(菫)」が顔を覗かせています。なぜか、春、紫の濃い「スミレ」を見つけると、「やったァ」という気分になるのですが、そんな気分になる人は、案外多いのではないでしょうか。

さて、学校です。

「Aクラス」でも、「Bクラス」でも、「N3読解」の授業が始まっています。「Aクラス」の方が三ヶ月ほども早いのですが、どちらのクラスでも、学生達が半知半解…の顔つきをしています。「読解」になかなか慣れないのです。

答えが出せる人は、すぐに出せるのですが、真面目でコツコツとやるタイプの人ほど、スッキリしないという顔つきで私を見ています。

「読解」のコツというか(別にそんなものはないのですが)、文章をかなり読みこなしていれば、ある程度は困らないはずなのですが、おそらく彼らの国ではそれほどの文章を読むという機会が、あまりないのでしょう。

「Aクラス」の学生達は、自分で読ませ、答えを選ばせ、それから説明を加え、間違っていた箇所を指摘すると、「ああ、そうだ。そうだ」と言ってくれる学生が少しずつ出てきていますが、まだ始めて3回しか経っていない「Bクラス」では、そうは行きません。一人か二人は、それなりに「理解しよう」としているのですが、そのほかの学生はまだまだ煙に包まれたような顔をして聞いています。

単語の量も違いますしね、「A」と「B」では。それに、単語を覚えても、文法を知っていても、それが文章の中でのものとなると、全く別物に映るようで、それゆえに大変。本当に文章を読んだ経験がないのだなあと思ってしまいます。

そんな国から来ている学生達の中においても、例年、一人か二人は、すぐにコツを呑み込み、正しい答えを選ぶことができる人はいるのですが、今年は、それが…いないような…。

2年か1年半ほどで、日本語の「あいうえお」から始めた人に、「読解」の能力までつけるというのは、かなりきつい作業です(ある程度の素地がないと出来ることではありません)。それでも、そんな彼らに合ったやり方というか、完全には理解できていなくとも、答えを出せるようなやり方を多少は教えているのですが。

たとえば、漢語なら漢字一字一字の意味から考えてみる(一つでも想像はつく)とか、接続詞の意味から答えのあり場所を想像するとか、指示語の指すところを考えてみるとか…。いくつか考えられることは、教えてあるのですが、実戦が乏しいと、それも効力を発揮できるまでには至れません。

特に春休みの前に、「少し出来るようになった」かに見えた「Aクラス」の学生達。休みがあると、多分、限りなくゼロに近づくだろうなという予測が残念ながら当たり(春休みがあったのです)、がっかりさせられてしまいました。

まあ、そういうことの繰り返しなのでしょうけれども。

「N3」レベルまで、きちんとやれた(単語を覚え、漢字を覚え、文法を覚えした)学生というのは、「N2」まで続けられるものなのです、普通。

が、「非漢字圏」の学生で、日本での生活日本語(アルバイトで覚えた日本語、主にヒアリング力なのですが)の能力だけで、「N3」に合格してしまった学生というのは、本人は「N3」だって楽に合格できたのだから、「N2」なんてちょろいもんだと思っていても、だめなのですよね。

それで、「N3」に合格できても、「N2」までの授業に耐えられる学生とそうではない学生。前者は「N2」に向けてのクラスに入れますが、後者は無理なのです。それから、たとえ「N3」の試験に合格できていなくとも、それまで毎日学校に来、漢字を覚え、文法を覚え、単語を覚えてきた学生は、もちろん、得点を加味しはしますが、引き続き、上のクラスでも頑張れるものなのです。

ずっと「N3」試験向けの授業を受けるよりは、「N2」試験向けにクラスで語彙量を増やし、漢字や文法を覚え、そういう文章を読んでいった方がずっと力が付くのです。

アルバイトをしながらでも、毎日勉強を続けることができた学生なら、それは可能なのです。

日々是好日
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