暑い。
今日は昼からの授業ですが、あの灼熱地獄の中を歩いて出勤…というのは、老体には応えます…ということで、また今朝も早朝出勤です。
さて、学校です。
日曜日、「日本語能力試験」がありました。「Aクラス」の学生達(特に「十月生」)、学校に来るなり、「文字語彙」が難しかった…。まあ、「読解」は言わずもがな…なのでしょうが。
一人曰く「知らない単語がたくさん。例えば、四択でしょ、四つのうち、三つが知らない単語だった」
別の一人曰く「『文字語彙』も難しかったけれども、『聴解』も大変。速い、速い、速い。なんて言っているのか考えている間に、もう終わって、次の問題になっていた…」
先の一人は「N2」を受け、後の一人は「N3」を受けたのですが、出身国こそ違え、共に、昨年の10月から勉強してきた二人。聞いていると、現「レベル」が同じであるかのような印象を受けてしまうから面白い。やはり「四月生」達に比べて、半年の差は高くて厚い壁でしたね。
とはいえ、まあ、いい経験と言ってもいいでしょう。こういう試験は回数を重ねれば重ねるほど、真面目に勉強してきた人というのは、伸びていくものなのです。
この「Aクラス」というのは、(当校が)少人数校であるが故の、不利…つまり、「N2」と「N3」受験予定者がともに同一クラスで、授業を受けるという不利益の下で、四月から学んできました。この「Aクラス」に上がってきた十月生のうち、一人は中国人ですし、もう一人は、あのまま置いておくわけにはいかないと思われたネパール人です。彼の場合は、最後まで悩みました。中国人なら漢字に問題はありませんから、どうにかなる。ところが、「非漢字圏」の人だと、漢字が最後まで越えられないハードルになってしまう可能性があった。漢字だけは不安が的中していますが、ただ、彼の場合、深く考えることができるので、今のところは、上げて良かったと思っています。
もっとも、この「不利」、遠き慮りから見れば、別に不利でも何でもありません。当座は、不利であるというだけのことです。
「N3」文法をきちんと習わないうちに、「N3」レベルの「文章」を読まねばならない。「N3」文法も終わっていないのに、「N2」文法を聞かねばならない。…まあ、最初の頃は苦労したでしょうけれども、今ではそれほどのこともないらしい…。ごく普通の顔(表情)をしていますから。
「文法」などは、「N3」も判らないのにと渋る学生(中国人学生の方には、七月には、「N2」受験と来日時から言っていました)に、「N2」文法は聞くだけでもいいから…と言い聞かせ…つまり、ごねないように騙した…のかな。最初のうちは「先生が何を言っているか全然判らない」と言っていたこの学生に、暗記文を読ませていた。
この二人、『みんなの日本語』を学んでいるときには、私の話が「速い」なんてこれっぽっちも言っていなかった…まあ、これも、当然のことでしょう。だいたい「初級」さんへ話すときのスピードだって、他の教師に比べ、多少速いとしても知れたものですし。それに比して、「中級」さんに対するときには、この速さのみならず、用いる単語もかなり違ってきますから、それで面食らったのかもしれません。もっとも、これは最初の2、3週間くらいのことらしく、だんだん愚痴をこぼさなくなった…。もしかしたら、諦め半分とはいえ、慣れた…のかもしれません。速さなんて、慣れですもん。それに、単語は、聞かれれば、彼のことやら、他の学生達のことやらを用いて、「たとえ」を出して教えますから、落ち着きもしたのでしょう。
とはいえ、半年の差は、なかなか埋められません。「四月生」たちが普通の出来であれば問題なかったのでしょうが、この「四月生」たち、昨年の12月には「N3」に余裕で合格できましたし、真面目で、漢字もよく覚えていますから。
2ヶ月ほどは、暗記文の意味が全く書けなかった(右の空欄に書くように言ったのですが)…もちろん、それは認めていた。一度でも聞いたことがあると、次に勉強するときに役に立ちますから、黙認です。やれると思ったら、こちらが何も言わなくてもやるだろうと待っていたと言った方がいいのかも知れません。それがいつ頃でしょうか、ふと見ると、何か書いている…「判りましたか」、聞くと「はい」と言う。
これも慣れ。もちろん、埋められない部分はかなりありますが、こちらも最初は一緒にできるのは夏休み明けくらいかなと見ていたのですが、それが次の試験準備期間かなと幾分後退している。
ただ、試験のための問題集は差が出たとしても、同じ「N3」受験とはいえ、「Bクラス」との差は歴然としてある。「Bクラス」では「N3」の問題集が終わらぬまま、試験の日を迎えたけれども、形だけであっても、「Aクラス」では終われた。「N2」の問題集は終われませんでしたけれどもね。両方の「読解」を、決められた時間内でやってしまうというのは、いくら手順とかを考えていても、多少無理が生じた。とはいえ、このやり方はそれなりに役立ったと思います。語学なんて、結局は慣れなのです。人数が多ければそれなりに質問も増えますし、学校外の行動も違いますから、見聞きする範囲も広がり、それゆえに、話題も増える。
ということで、今日から問題集と離れ、普段の勉強に戻ります。