まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第5回四国八十八所めぐり~第20番「鶴林寺」

2016年11月16日 | 四国八十八ヶ所
上り坂を歩くこと50分、鶴林寺の駐車場に到着。歩きで来ると駐車場の片隅に出る形で、多くのクルマが出入りする中を縫って山門に出る。「別格本山」の文字が立派である。

この鶴林寺は、桓武天皇の勅願により弘法大師が開創したとされている。弘法大師がこの山で修行している時、雌雄の鶴が木の梢で小さな地蔵菩薩像を護っているのを見つけた。そこで大師は霊木で地蔵菩薩を彫り、鶴が護っていた小さな地蔵菩薩を胎内に納めて祀った。このことから、山門には仁王像が立つところに鶴の木像が安置されている。鶴林寺と聞いて思い浮かぶのは、新西国の札所の一つで加古川にある鶴林寺だが、こちらはネットで調べても加古川に鶴が現れたという伝承はなく、平安末期に鳥羽天皇の勅願寺となったことからその名前をいただいたと言われている。

境内はちょうど団体客がお参りのところ。多くの人が石段の下から本堂を見上げて歓声を挙げている。カメラやスマホを向ける人も多い。それは本堂そのものが立派ということもあるが、ちょうど木が色づいていることもある。鶴林寺が紅葉の名所だとは聞かないが、標高550メートルとなると麓よりは季節の進み具合が早いのだろうか。ちょうど弘法大師像も紅葉を背負った形になる。

石段を上り、ろうそくや線香を供えるうちに先の団体客がお勤めを終える。それを見計らって私もお勤めである。ちょうど本堂の脇には、神社の本殿の両脇に狛犬がいるように、鶴の銅像が並んでいる。また本堂にも鶴をかたどった紋の幟がかけられている。鶴は千年というくらい縁起のいい鳥として尊ばれている現われだろう。パッと見ると日本航空のマークに見えないこともない。

本堂横の立派な三重塔を見た後で、続いて大師堂にお参り。こちらはお勤めを終えたところで次の団体客がやってきて、さほど広くない大師堂前のスペースがごった返す。

そして納経所へ。朱印帳の真ん中の印は、普通はご本尊を表す梵字をあしらったものが多いが、ここは鶴が飛ぶ様子がデザインされている。鶴は鹿児島の出水や釧路湿原のように、田んぼや湖沼、草原に生息する生き物だそうだが、こんな山の中に地蔵を護る鶴がいて、それを寺の開創としたのは何か意味がある、何かの例えなのかなと思う。それはよいとして、係の人は「今日はお車ですか?」と一人ひとりに訊ねている。クルマだと答えると、駐車場の料金を「志納」するように言われる。もっともその代わりに、鶴の紋をあしらった寺のステッカーがついてくる。私は歩いて上ってきたので駐車場料金はいらないが、その分、鶴のステッカーはいただけない。「クルマで来ました」とハッタリをかましてもよかったのかもしれないが、そこまでしてステッカーをもらわなくとも・・・(ちなみにステッカーはお守り等のように売られているものではなく、駐車場料金支払いの印である)。

ここ鶴林寺、駐車場に新しくできた感じのトイレは立派だったが、他には何もない。山の上だからか自動販売機もないのが意外である。クルマならともかく、歩きで鶴林寺を目指す人は、水分は十分に持ってきておいたほうがよい。ここから来た道を生名方面に戻るにしても、この先太龍寺を目指すにしても、あるいは逆打ちで回っている人に共通して言えることである。

これから第21番の太龍寺を目指すことにする。時刻は12時前。遍路道の立て看板によれば、歩行距離は6.7キロほどとある。一度那賀川の川べりまで下り、そこからまた山を上るというルートである。いよいよ、「遍路ころがし」の最後の歩行である・・・・。
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