通勤電車の中で名鉄電車の中吊り広告を見る。「春の犬山キャンペーン」。さすがにポスターのような桜の景色はまだまだ先のことだろうが、そろそろ春めいてきた中でどこか一日のお出かけということで、名古屋、岐阜あたりもいいかなと思う。そんなことから、犬山に出かけようかということにした。
時間的に青春18きっぷを使い切るだけの予定が組みにくいこともあり、かといって金券ショップでも青春18の回数限定販売は結構品切れになることも。それならばと、近鉄電車で往復することとして株主優待券を購入。販売価格は1500円で1回だけ乗車できるというものだが、大阪からだと名古屋、伊勢志摩まで出かける分には安く行くことができる。
特急券は難波から購入していたのだが、結局橿原神宮前から大和八木へと乗り継いでここから同じ列車に乗車する。外はどんよりとした天候で、これから雨が降るのかどうなのかといったところ。アーバンライナーのデラックス席に座り、リクライニングを倒すと前日の寝不足もありウトウトする。気が付けば青山トンネルを抜け、伊勢中川の連絡線を走って伊勢路に入る。雨も降ったりやんだり、どうもすっきりしない。
名古屋に到着。犬山に行くなら名鉄ということになる。名鉄・・・・実は私、名鉄の路線図がよく呑み込めていないところがある。名鉄名古屋を中心として愛知、岐阜方面に路線が伸びているが、どうも位置関係とか距離感とか・・・。犬山に行った後は別のどこかに回ることとして結局3000円の1日フリーパス(10~16時の間であれば、特急の座席指定にも乗れる)を購入したのだが、果たして元が取れるのかどうか。
ホームに降り立つ。私鉄のターミナルといえば頭端式ホームがほとんどであるが、名鉄名古屋は通過型。しかも方面ごとにホームが分かれるということもなく、同じホームに次から次へと列車がやってくるので(8両もあれば2両もある)、慣れるのに時間がかかる。まあ、方面ごとに乗車位置が色分けされ、ランプで誘導されるからそれに従うということで。
やってきた快速特急で犬山に向かう。クロスシート車の車両は地上に出て名古屋市街を快走する。車端部の電光掲示板にスピードが表示されるが、軽く80キロを超え、時には100キロを上回るスピード。
名古屋から25分で犬山に到着。犬山に来たのはこれで3回目である。1回目は中学生の時、家族旅行で犬山城に明治村を訪れたもので、2回目は当時所属していた旅行サークルの面々と明治村を訪れたもの。結局いずれも明治村が関係しており、今回は明治村、あるいはリトルワールドあたりを一緒に訪れるかどうしようか迷ったのだが、犬山は城がメインということにする。雨がポツポツ降っているが、このくらいなら傘なしでもいけるかということで駅前通りを歩く。実は城下町を歩くのは初めてで、今回のキャンペーンで「犬山城下町」のことを知った次第である。
10分ほどで天守閣に続く通りに出る。ここは電線も地上に隠し、昔ながらの家屋が残されていたり、あるいは復元されていたりと風情ある通りである。うーん、こういう町であることにもっと早くに気づけばよかったなあ。
そのうちの一軒、旧磯部家住宅というのが登録有形文化財として無料で公開されている。
元々は呉服商とかで、幕末から明治にかけて建てられたものを保存修理したもので、「起り(むくり)屋根」という、凸形に反った屋根が独特の雰囲気を出している。奥の土蔵はギャラリーとして使われることもあるとかで、街並み環境整備事業の中心となっている建物である。
次に訪れたのは「からくり展示館」。毎年4月に犬山祭というのがあり、その山車に乗せた人形でからくりを見せるのが名物である。この展示館はそのからくり人形についていろいろと紹介をするというものである。
からくりにはもう一種類、「座敷からくり」というのがあり、その代表が「茶運び人形」。ぜんまい仕掛けの人形がお茶の入った湯呑を客の前まで運び、そのまま向きを変えて主人のところにもどるという、アレである。そのからくりの構造を実演を交えて説明してくれる。からくりを出すタイミングと、細かな計算に裏付けされた仕掛けというのは見ていてうなるばかりである。
しばらくからくりを楽しんだ後、犬山城に到着。先ほどは傘なしでは辛いくらいの雨が降っていたのだが、からくり展示館がいい雨宿りになったようである。犬山祭の舞台ともなる針綱神社の境内を過ぎる。梅の花もちょうどいい具合に水を含んだようである。
そしてやってきた天守閣。現在国内に残る国宝4城(犬山、彦根、姫路、松本)の中でも最も古く、中世から近世への城郭の過渡期の風情を留めるという。
・・・ということで、昔ながらの姿を留めているのだから当然エレベーターなどというものはなく、急な階段を上るのである。前回は中学生だったから階段もホイホイ上ったはずだが、さすがにアラフォーともなると・・・・。
それでも、三層の天守を上り、最上階からの展望に接するとそういうことも吹っ飛ぶ。ちょうど天気も回復に向かうところで、目の前を流れる木曽川の雄大な流れに始まり、濃尾平野を一望することができる。
遠くには名古屋駅のセントラルタワーも見える。ちょうど木曽川が平野に出るところで、守るのにも適した立地と言えるだろう。
しばし展望を楽しみ、天守閣を後にする。木曽川に沿って歩くと、今度は木曽川沿いの丘の上にそびえる天守閣を望むことができる。李白の「早発白帝城」にちなんで「白帝城」という別名があるが、長江に臨む白帝城ほどのスケールはないにせよ、川の流れに実によく合った天守閣の眺めというのは美しい。
犬山、木曽川とくればもう一つ見ものがある。私はこれを見るのは初めてということになるが・・・・。
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