どなたかのツィッターでの記事で「週刊東洋経済を購入」というのがあった。その特集は「徹底検証 鉄道被災!」というもの。
普段は経済雑誌はおろか、日経すらほとんど読むこともないという、一般企業にいながら経済というものにはほとんど興味を見せない私であるが、帰宅途中の駅の売店で書棚に並んでいるのを見てふと手を伸ばした。
東日本大震災で大きな被害を受けた鉄道網。中でも深刻なのは津波の被害を受けた三陸沿岸を走るJRや三陸鉄道といったローカル線。幸い、内陸部を走る新幹線は比較的早い復旧の目途がたったが、これらローカル線は今後どうなるのか不透明なところである。この特集は経済誌らしく、今後鉄道をどう復旧・復興させるかに焦点を置いているが、経済的効率からいえばこれを機に廃線にしたいのが鉄道会社の本音であるというところから始まっている。災害により廃線に追い込まれた、あるいは追い込まれようとしている例として高千穂鉄道にJR名松線を挙げている。
確かに生活の足として鉄道は必要だろうが、今回の津波では町そのものが壊滅的な打撃を受け、今後復興するとしても町の中心部を内陸、あるいは高台に移そうという計画が立ち上がっているとか。鉄道も従来のルートで復旧させるのが果たしていいのか、町の中心部を移転させるのなら鉄道も新線で開通させる必要があり、その場合さらに費用がかさみ、鉄道会社、沿線自治体にその負担がまかなえるのかという検証も。果たして、現在の状態での鉄道は必要とされるのだろうか。
一方では震災発生直後に首都圏を直撃した帰宅難民、そして計画停電からの間引き運転にともなう混乱を取り上げている。こちらは鉄道がなければ大混乱に陥る都市の問題を象徴している。
果たして、鉄道というのはこの国でどのくらい必要とされているのだろうか。鉄道ファンのはしくれとしても、「単に復旧させればいいでしょう」と手放しで喜んでいいのやら、一度冷静に考えてみる必要があるかもしれない。
特集では鉄道にとどまらず、小回りで融通の利くバスの利点を取り上げたり、そして血税、赤字垂れ流しの悪の象徴のように言われていたものの仙台空港に代わる拠点として臨時便を大いに受け入れている地方空港にも触れている。また、石油や一般貨物列車の輸送ルートとして白羽の矢がたった磐越西線のことも。
やはり交通機関というのはクルマだけでもいけないし、かといって鉄道さえあればいいというものではない。鉄道、クルマ、バス、飛行機、それぞれの長所をうまく組み合わせること、そして今回のような災害が発生した場合に即座に対応できるネットワークを構築すること、やはりそういうのが真の交通政策として求められるところだろう。
これから東日本の鉄道網、あるいは他の交通機関がどう復興していくのか。新たな町づくりや地域振興に対して鉄道をどう位置付けていくのか。この国の新しい形をつくっていく過程として、これから見守っていきたいものである・・・・。
がんばろう、日本。
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