久しぶりに福岡旅行の記事を書いてみる。
旅行初日(3日)の午後は再び関門海峡をめぐることにする。ということで、門司港駅の横に設けられた観光トロッコの「九州鉄道記念館駅」に現れる。実はこの列車に乗る予定で指定席を事前に用意していたのだが、この列車の指定席券、全国のローソンチケットで購入することができるのである。Loppiでは事前申し込みの引き換えも出来るし、直接操作して購入することもできる。もちろん当日駅の窓口でも買えるが、この日は指定席は終日満席、自由席は90分待ちという賑わいであった。
急こしらえのホームに出ると、両端に小さな機関車をつけた2両の貨車がやってきた。かつて島原鉄道や第三セクターの南阿蘇鉄道で使われていた車両である。満杯の乗客を降ろし、ホームにあふれていた乗客を乗せる。客層は観光目当てのカップルや家族連れがほとんどだが、中にはやはり「その筋」の人の姿も見える。
「現在休止となった貨物線の上を走りたい!」という気持ちはあるものである。ブログなどでは「日本のすべての鉄道を乗りつぶした」という人でも、この路線が営業開始をしたと聞くや、「乗りつぶしのタイトルを維持しなければ」ということでわざわざ門司港まで出てきたという話がある。それだけ注目度の高いところである。
さて「潮風」号はゆっくりと走り出す。別に急いでどこかに向かわなければならないというものではなく、ゆったりとした走りである。線路に沿って遊歩道が整備されており、中の乗客と遊歩道を行き交う人が手を振り合うという光景が見られる。それにしても、列車を見ると手を振りたくなるのって、よく考えてみれば不思議なことではないかな。あまりクルマやバスに手を振るという話は聞いたことがなく、列車に「何か」があるということなのだろうか。
レトロ地区に近い出光美術館前駅を過ぎ、昔ながらの倉庫も立ち並ぶ港風情の中を走る。ちゃんと「潮風」も受けて走る。
ノーフォーク広場駅を通過し、関門橋の下をくぐるトンネルに入る。すると天井が発光し、数々の魚たちのイラストが浮かび上がる。トンネルの退屈さを紛らわせようという試みで、車内からも歓声があがる。
トンネルを抜けるとめかり地区。ここまで10分の所要時間である。短いような、長いようなひと時であった。ちなみに線路はこの奥まで伸びているが、残念ながら草に覆われていた。車内でも観光案内を行っていたが、せっかくなのだから、かつてこの線がどのような役割を果たしていたかなどの歴史案内を行ってもよかったのではないかと思う。
門司港観光のモデルコースとしては、トロッコの到着にあわせて発車する「めかり絶景バス」で海峡の景色を眺めるということがあるが、私はこのまま海沿いを歩き、和布刈神社に参拝。すぐ上を関門橋が通り、下関の火の山も手の届きそうなところにあるという位置である。
ここからは「関門人道トンネル」が伸びている。国道はやや離れたところ、関門橋は高速道路ということで、地元の自転車や歩行者にとっての生活道路である。もっとも、海の下を歩いて県境またぎができるのが全国でもここだけということもあり、観光名所としても知られている。
エレベーターで地下の世界へ。するとそこでは門司から下関に行く人、下関から門司に来る人で賑わっている。これだけ明るい感じなら、トンネルの中を女性が一人で歩いても不安になることはないだろう。
門司側でこういうスタンプがあったので、押してみる。半円型というのは「割符」の片割れのようで面白く、無事下関まで渡って「満願成就」ということになるのだろう。
学生時代に一度くぐったことがあるが、その時とは塗装も明るい感じになっているように思えた。歩行者の数を見れば海底にいるという気がせず、どこかの地下街にでもいるかのようだ(もっとも、歩道の両側に商店などないが)。
10分足らずで、福岡県と山口県の県境に出る。歩道にラインが引かれており、自分がどちらの県にいるのかを示している。
こうなると、ちょうど県境の線に自分のイチモツが来るように真ん中に立ってみたくなる。ちなみにここで携帯電話の画面を見るとアンテナが1本だけ立っており、その気になれば海底の県境からメールを飛ばすことができることがわかる。
下関側の出口に到達。ここで先のスタンプの片割れを押し、見事に両都市がつながった。本日2度目の下関上陸となる。そこは関門橋のちょうどたもと。先ほどまでいた対岸の和布刈神社の本殿も見ることができる。本当に海峡の間が近いことを実感する。
上陸してすぐに、何やら人出が多く、モーターの音がするので海辺に行ってみる。すると・・・。
右手、唐戸側から現れたのは赤い旗をかかげた漁船。そして、そこに乗っているのは平安時代の甲冑に身を固めた人たち。海辺にいる大勢の観光客に向かって笑顔で手を振っている。
しばらくすると、その赤い旗の漁船を追うように、白い旗を立てた漁船が続く。もうおわかりでしょう。これは源平最後の合戦である壇ノ浦の戦いを再現しているのである。白い旗の漁船には甲冑姿の武将(義経か?)に僧兵姿の大男(弁慶やね)、そして白拍子の姿(静御前というところか)が乗船している。これも「源平まつり」のイベントというが、こういうのがあるとは全く知らなかったので、思わずうなるばかりである。
800年あまり前の出来事である。今はこうして平和に漁船が行き交う関門海峡が、歴史の大きな舞台であったのだ。その舞台をバックに、今度は武者姿の人による壇ノ浦合戦の紙芝居の上演。義経の八艘飛び、平家一門の最後などを情感たっぷりに語り、こちらのムードも盛り上がるところ。海上にたなびき渡る紅白の旗
しばらくの下関寄り道を終え、再び人道トンネルで門司側へ。今度はせっかくなので門司港駅まで歩くことにする。なるほど、トロッコ乗車も面白いが、こういうエリアなので歩いていても遠いとか、しんどいということがない。景色をゆっくりと眺め、またやってきたトロッコに手を振り(やはり、手は振ってしまいますな)、またレトロ地区の歓声の中に戻ってきた・・・(続く)。
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