まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

出雲の「献上そば」を味わい、温泉に浸かっていよいよ新型「やくも」に乗車

2024年04月09日 | 旅行記F・中国

新型「やくも」車両に乗るために広島から出雲市に移動。ちょうど昼の時間帯に出雲市にいるわけだが、出雲大社には行かず、かといって一畑電車に乗るわけでもなく、駅近くで時間を過ごすことにする。

昼食は出雲そばとしよう。近くに店があればと検索すると、徒歩5分ほどのところにある「羽根屋」が有名らしい。江戸時代末期に創業という老舗で、「献上そば」の店として知られているそうだ。時刻は11時過ぎ、ちょうど開店して間もない時間帯だが、おそらく混雑しているのだろう。私は食事のために並ぶのは好きではないのだが、今日は多少時間を要してもよいので行ってみることにする。

商店街を抜けたところにある「羽根屋本店」。やはり人気店らしく順番待ちの人が店の外まで出ている。店内のタブレットで受付をするよう案内される。画面には10組待ちとあるが、タッチして受付を済ませる。店内は1階がカウンター、テーブルで、2階が座敷となっている。レジ横のタブレットで店員が画面を見ながら席の割り振りを行っている。

さて、「献上そば」という呼び名だが、明治時代後期、当時皇太子だった大正天皇が出雲に宿泊した際、この店のそばが「献上」され、ことの外美味としたことから許されたものだという。以後、昭和天皇・皇后や現在の上皇・上皇后をはじめ皇族方の「御食膳に供す」ということが誇らしげに書かれている。やはりその時も出雲流の割子で供したのかな。

結局30分ほど待ってカウンター席に着く。

そして老舗のそば屋だと、ビールやサワーよりも日本酒が似合う。出雲市に蔵元がある「十(じゅうじ)旭日」の冷酒と、あご焼きにて一献とする。ちょうど板わさをあてに一献に似た感じで、たまにはこうした粋な感じもいいだろう。

ただ、そばのほうも思ったより早く到着したので、こちらもいただく。注文したのは三段の割子そばと日替りごはん、しじみ汁がついた定食。

そばはコシもしっかりしているし、香りもよい。大正天皇の皇太子当時そのままの味なのかどうかはわからないが、有名店なのもうなずける。満足して外に出ると、先ほどより待ち客が増えていた。

さて駅に戻り、今度は南側にある「らんぷの湯」に向かう。こちらはちょうど昼食の時間だからかそれほど混雑していなかった。浴槽は内湯と、露天には竹林を眺める檜の浴槽が3つとサウナ。駅近くということで、「サンライズ出雲」や「WEST EXPRESS銀河」で出雲市に到着した後、あるいは出雲市を出発する前に入浴するのに適している。客が少ないのをいいことに、露天の檜風呂に結構長い時間浸かる。

この後は小上がりでしばらくゆったりする。確か棟続きで食事処もあったはずだが、そちらは現在休業中とのこと。

駅に戻る。新型「やくも」のデビューに合わせて待合室がリニューアルされており、山陰の木材をふんだんに使った「やくもラウンジ」という。温かみを感じる。

土産物、そして「やくも」車内での「呑み鉄」あれこれを買い求める。2023年のドラマ「VIVANT」の舞台の一つが島根ということで、ドラマのタイトルを冠した商品も並ぶ。奥出雲町の仁多米を使った赤飯キットなるものも売られていた。

ホームに上がると、これから乗る「やくも20号」がすでに入線し、多くの人がカメラを向けていた。新型「やくも」の273系は基本4両編成で、列車により2編成つないで8両で運転される。この日の「やくも20号」は8両編成。

車体のカラーは「やくもブロンズ」と呼ばれる。宍道湖の夕陽のウコン色、たたら製鉄の黄金色、大山夏山開き祭のたいまつのあかがね色、そして赤瓦の町並みの赤銅(しゃくどう)色をベースに作られたオリジナルカラーだという。また、正面や側面に「やくも」と雲のロゴが描かれている。近年、シンプルなデザインの特急車両が目立つ中、八雲立つ出雲八重垣へのロマンをかき立てる。

出雲市の駅名標も「やくも」デザイン。

実は今回、初めての乗車、デビューしたてということもあり、思い切ってグリーン車に乗ることにした。1‐2列シートの1人席で、宍道湖や大山の景色を楽しめるのはこちら側だ。さすがゆったりしたシートである。

また、1人では利用できないが、グリーン車の半室は2人向かい合わせ、4人向かい合わせのセミコンパートメントが並ぶ。シートを引き出してフラット状にすることもできるそうで、家族連れ、カップルを中心に人気が出そうだ。

普通車も、新しい車両ということで居住性は悪くなさそう。シートピッチは新幹線車両と同じとある。また全席にコンセントが備えられ、車内Wi-fiによる通信も可能である。

その新型「やくも」において、もっとも注目されているのが、新しい振り子装置の導入による乗り心地の改善である。私は乗り物酔いしない体質でピンと来ないのだが、かつて381系、特に「やくも」の場合は振り子式独特の揺れのため、車内で気分が悪くなる客が続出しており、「ゆったりやくも」車両ですら「ぐったりはくも」などと揶揄されていた。今回の新型車両により、乗り物酔い評価指標が23%改善したというデータもあるそうだ。

そろそろ時間となり、岡山に向けて出発する。旅を演出するのは、Official髭男dismの「Pretender」・・・。

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