九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの第7回は、2月からの仕切り直しで3月26日に出かけ、中津、宇佐地区の4ヶ所を回った。ちょうど桜も見頃を迎えていた。その次は4月以降、あるいは5月の連休を利用して大分県の続き、豊後の国を回るつもりでいた。
そんな中、3月30日に平日ながら1日有給休暇を取ることになった。
3月の労働時間が法定外時間をかなり上回っていたため、半ば無理くり休暇取得となった。そこで30日を選んだのだが、予報を見ても天気もよさそうだし、家にこもっていても仕方ないので、急遽、日帰りにて九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの続きを行うことにした。何かのためにと買っておいた青春18きっぷの端切れも残っている。
前回宇佐まで進んだ九州一巡ルートの続きは、杵築にある第23番・光明院に始まり、日出の第24番・蓮華寺、そして別府の第25番・金剛頂寺に至る。その先は大分市街に入るが、とりあえず別府を目指すのはどうだろうか。いずれも鉄道またはバスでアクセスできるところで、レンタカーなしの公共交通機関で行けそうだ。広島~小倉間を新幹線で往復すれば、九州内の日豊線は青春18きっぷでの往復も可能であるし、別府で公衆浴場に浸かるくらいの時間は取れそうだ。
広島から「こだま」で西に行くときは6時53分発の「こだま781号」に乗ることが多いが、今回は少しでも早く九州に入ろうと、6時05分発の「こだま775号」に乗る。自宅からこの「こだま775号」に間に合うためには、最寄りの広電がまだ動いていないので、山陽線の西広島まで30分ほど歩く必要がある(クルマで行って西広島駅の駐車場に停めれば歩かなくてすむが、帰りが間違いなく飲酒運転になってしまうので・・・)。
朝の時間ということで各車両とも乗客はまばら。途中、徳山のコンビナート群も通過する。
うとうとするうちに新関門トンネルを抜け、7時15分、小倉にて下車する。入れ違いに、ここから博多へ通勤客が大勢乗って来る。この日は平日、普段の通勤の様子を見られるのも出かけてよかったところである。
この日はホームの「かしわうどん」は見送り、小倉7時40分発の日豊線中津行きに乗る。時刻表では小倉始発となっていたが、実際には門司港からやって来た小倉行き列車がそのまま列車番号を変えて中津行きとなった。小倉でほとんどの客が降りたので着席できたが、ちょうど通勤の時間帯とあってこの後多くの客が乗って来る。東京や大阪のラッシュに比べれば余裕があるのだが、立ち客も多く出る中で出発。次の西小倉では鹿児島線からの乗り換え客も多く、この後行橋まで混雑が続いた。
その後は車内もゆったりして、前回駅前に立った築城も通過。山国川を渡って大分県に入る。
8時45分、中津着。次の9時13分発の大分行きまで時間があるので、いったん外に出る。先日来た時には黒田官兵衛や奥平氏関連ということで中津城にも足を運んだが、やはり駅周辺で目につくのは福沢諭吉である。
改札内の展示スペースにある丸いオブジェ、先日来た時は説明をよく読まなかったのだが、これはマンホールの蓋のデザインだという。ただ実際には「福沢先生の顔は踏めない」ということで設置は見送りになったそうだ。まあ、福沢本人の気持ちはいざ知らず、中津の人たちの諭吉への思いはあちらこちらに表れている。
次の大分行きは2両編成のロングシート。平日だからか席もいい間隔で空いている。青春18きっぷでの旅行者らしい人、就職の面接に行くのかリクルートスーツ姿の女性、部活動の高校生、さらには別府か大分に遊びに行くのかちょっとおしゃれした高校生くらいの女性もちらほら見える。のんびりした車内である。
まずは平野部を走り、前回のゴールとなった宇佐に到着。ここから、九州一周のコマが進むことになる。
この先は豊前と豊後の境目となる山越えである。日豊線は時期をおいて複線になったためか、区間によっては上り下りの線路が離れているところもある。ちょうど鈍行の本数も少なくなる区間である。
中山香で特急の通過待ちでしばらく停車する。駅からの桜も見頃である。
中山香の次の杵築で下車する。今回の九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは杵築駅からバスで杵築の城下町に移動して、第23番の光明院に向かう。駅は城下町への玄関口をPRしているが、先ほど同じ車内にいた高校生くらいの女性も含めて、若い人が多く下車する。
杵築ってそんなところだったかな?と一瞬思うが、改札へと続く階段の入口を見て納得した。杵築は、ハローキティなどのキャラクターで人気のハーモニーランドへの玄関駅なのだ。
駅舎の外に出てさらに驚いた。駅舎はあくまで武家屋敷風なのだが、その前には若い女性たちの行列ができている。ハーモニーランドへのバスを待っているのである。私がその中に入ればそれこそハーレム、もといハーモニーな状態なのだが、ええおっさんがそんなことをすれば間違いなく行列整理に当たっていた杵築市職員の手でつまみ出されるだろう。ここで誤解を解くために「いやいや私はキティちゃんが目的でハーモニーランドに行くんです!」と主張したら、それこそええおっさんが少女趣味で・・・と気色悪く思われることだろう。
あくまで城下町が目的地だとばかりに集団からちょっと離れたところに立つ。
女性たちの行列はやって来たハーモニーランド経由暘谷駅行きのバスに吸い込まれた。その後で人の姿がほとんどなくなったところで、杵築バスターミナル行きのバスに乗り込む。城下町までは10分あまりで着くとのこと・・・。