まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第3回九州西国霊場めぐり~別府温泉から関門海峡をくぐる

2021年08月11日 | 九州西国霊場

7月23日、大分市郊外の山中にある霊山寺の参詣を終えて、広島に向けて引き返す。九州西国霊場の次回シリーズは大分市~臼杵市を訪ねる予定で、またどのようなルート・手段でアクセスするか考えるのが楽しみである。また臼杵といえば石仏で知られるところで、また石の国大分を感じることだろう。

国道10号線を走り、東別府駅の手前で細い道に入る。今朝がた参詣した第7番の宝満寺に再度向かう。その時納経所が留守だったので、再訪しようというもの。まあ、仮に今度も不在だったとしても、ここならまだ次回も立ち寄りで何とかなりそうなところだ。

山門横の空き地にクルマを停め、石段を上がる。今度は直接納経所を訪ねてインターフォンを鳴らす。中のほうで音がする。よかった、いらっしゃったようだ。

別に朝一度来たことを言う必要はなく、そのままありがたく朱印の紙をいただく。これで、元々無住の寺で事前に案内もあった第2番の長安寺は別として、第1番から第8番までがつながった。

これで安心して帰宅できるが、やはり別府に来たのだから最後は温泉に浸かろう。過去に入った外湯といえば竹瓦温泉の砂湯や駅前高等温泉などがあるが、今回向かったのは国道10号線沿いにある北浜温泉テルマス。テルマスとは、ラテン語で浴場を意味するとか。このテルマスは別府の市営だという。

ちょうど海岸の近くにあり、建物も立派な造り。1998年の開業で、内湯のほか、水着着用の屋外健康浴もあるという。水着は持っていないので内湯だけで十分。また2階の休憩室からは別府湾や高崎山を眺めることができ、正月には初日の出を見ることもできるという。

これだけ見れば素晴らしいところなのだが、実は別府市はこのたびこのテルマスの廃止の方針を固めたという。受付にもそのような発表の紙が出ていた。ネットの地元紙の記事によれば、大型施設のため管理運営費がかさみ、以前から毎年約3千万円の赤字が出ていること、開業から20年以上経過して設備の更新時期が近づく中でさらなる財政負担がかかることなどが考慮され、廃止の方針となったようだ。なお、数ヶ月は営業する見通しだが、施設のその後は未定とのこと。

別府は国際的にも有名な温泉地であるし、テルマスの立地条件もいいと思うのだが、なまじ立派なものを造ってしまったために経営が苦しくなったのは残念なことだろう。途中から運営を市の直営から民間委託に切り替えたそうだが、それでも改善にはいたらなかったようだ。

それはともかくとして入浴することに。シャワーやお湯のカランもある。大浴槽は2種類あり、通常の湯と高温の湯に分かれている。その高温も熱いのは熱いが、入れないほどではない。また外には露天風呂、蒸し風呂があり、しばしリラックスする。

入浴後、しばらく2階の休憩室でくつろぐ。こうした造りのスーパー銭湯なら全国各地にあり、週末など賑わうと思うのだが、別府では逆に特徴のない温泉に見えるのかな。地元の人が安く手軽に入れる公衆浴場でもなく、砂湯や地獄のような独特のものでもない。また豪華な食事付きのホテルの温泉でもない。そうしたことも絡み合ってのことかな・・。

温泉で整ったところで、これから国道10号線をひた走る。その前に昼食をということで(普段の生活では絶対そのようなことはないが、どこかに出かけると私の場合昼食が「欠食」になることが多い。前日の国東半島もそうだった)、ラーメンなんかいいかな。テルマスを出たすぐのところに店があったが、人気なのか長い列ができている。並んでまではいいかなと、もうしばらく走らせて、国際観光港の向かいにある「晴れる家」という店を見つける。

スープは豚骨ベースだがいくつか種類があり、魚介醤油豚骨スープのものを注文。セットで、大分名物のとり天を追加する。普通の豚骨スープと食べ比べたわけではないが、醤油が加わっている分、こってり度も多少穏やかになっていて、食べやすかった。

さてこれで腹ごしらえもできて、ハンドルを握る。時刻は13時を少し回ったところ。この先関門トンネルをくぐるので国道10号線とはその手前でお別れだが、まず北九州までは110キロあまり。先ほど通った別府湾沿いのコースを走る。

日出で国東半島への国道213号線と別れ、山の中に入る。その中に不意に大きな駐車場が現れたのはハーモニーランド。サンリオキャラクターのテーマパークである。連休中ということもあってか、駐車場もほぼ満車のようだ。

日豊線の線路とも並走する。特急は頻繁に行き交うが鈍行の本数が少なくなる区間だ。中山香、立石といった駅のすぐ近くも通る。

「WELCOME TO USA」の看板を過ぎる。USA・・・ベタだが、宇佐市に入った。鳥居とUSAの組み合わせというのも遊び心がある。この先中津までは前回レンタカーで走ったところ。六郷満山めぐりの出発地である宇佐神宮の前も過ぎるが、今回はクルマの中から手を合わせるにとどめる。

山国川を渡って福岡県に入る。東九州自動車道に続くバイパスの椎田道路との分岐点にある道の駅「豊前おこしかけ」に休憩を兼ねて立ち寄る。

「おこしやす」ではなく「おこしかけ」とはどういう意味か。その昔、神功皇后が豊前に来た時にこの辺りで休憩し、その地にあった石に腰掛けたことから、「おこしかけ」という地名が生まれたという。神功皇后は熊襲との戦い、三韓征伐と自ら遠征軍を率いたという伝説がある。そして宇佐神宮の祭神の一つとしても祀られている。今回クルマで来ていることもあり、地元の土産物などいろいろ買い求める。後々、夕食や酒のお供で楽しめることだろう。

そのまま10号線を走り、行橋からは行橋バイパスに出る。そして北九州市に入り、下曽根から国道10号線に別れを告げて県道25号線に入る。ちょうど九州の付け根に入ったところで、東側の海岸を行く。見覚えのある景色に来たと思うと、ちょうど大阪へのフェリーが出る新門司港だった。

最後は門司港駅の近くで国道2号線に合流して、関門トンネルに入る。別府を出て3時間ほどで九州の端にたどり着いた。この国道トンネルをくぐるのも久しぶりで、通行料金は軽自動車で110円、普通車で160円。九州側から入るクルマ、本州側から出てくるクルマ、双方向ともひっきりなしに行き交っている。

関門海峡をクルマで渡るにはこの国道トンネルと高速道路の関門橋があるが、現在、第3のルートとして「下関北九州道路」というのが計画されている。国道トンネル、関門橋も開通してから年月が経過しており、補強工事などで通行止めになることもしばしばあることから、かねてから別ルートの必要性が言われていた。関門海峡を河川になぞらえて、日本で有数の長さ、幅を持つ信濃川や吉野川に多くの道路橋が架けられていることを引き合いに出して、橋があることで両岸の経済交流が活発になるとして、新たな道路の整備をアピールする資料もある。確かに、この辺りは海峡を挟んで一つの経済圏と言えるだろう。

一方で無駄な公共事業だと反対したり、断層があるとして地震災害を懸念する声もあった。そういえばということで、下関側が安倍晋三、北九州側が麻生太郎の地元(現在の選挙区に北九州市は含まれていないが)ということから、当時の国土交通副大臣が「私が(両氏に)忖度して予算をつけた」という主旨の発言があり、利益誘導との批判の声があがったこともあった。その道路である。

いろいろあったが、このたび、下関の彦島と小倉の日明間で吊り橋にて建設される運びとなった。現在の橋・トンネルと比べるとかなり西側を通るそうで、両市の中心部の移動時間の短縮や、行き来する圏域人口の増加が見込まれる。確かに、片側1車線ずつの現在の国道トンネルも危なっかしいし、ルートの選択肢は複数あったほうがいいだろう。開通するのはいつのことになるかだが・・・。

そのまま国道2号線を進む。このまま下道、バイパスを走っても夜遅くには広島に戻れるのだが、ここはあえて途中でクルマを停め、1泊とする。翌24日は所用のため午前中には広島にいる必要があるが、1泊しても翌日出れば十分間に合うし、山口県での宿泊地を増やしておこうという狙いもある。

そして着いたのが、新幹線なら新下関から1駅の厚狭。市でいれば山陽小野田市・・・。

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