北陸新幹線の長野~金沢間が開業したのは2015年3月のことで、もうすぐ5年になる。この新幹線開業とともに、北陸線の市振~直江津、信越線の妙高高原~直江津が第三セクターのえちごトキめき鉄道に移管された。糸魚川もその区間に含まれる。開業以降、新幹線とトキめき鉄道でそれぞれ1回ずつ通ったことはあるが、駅に降り立つのは初めてである。駅舎も立派な橋上式の建物に造りかえられた。
この日(29日)宿泊するのは駅の真ん前にあるホテルジオパーク。これまで糸魚川に泊まった時は駅前の老舗ホテル、駅からちょっと離れたルートインを利用したことがあるが、新幹線開業を機に新たにできたホテルである。実はこの日の宿泊地というのもあれこれ迷っていて、一時は魚料理込みということで先ほど下車した越中宮崎や、親不知にある民宿も候補に入っていた。ただやはりマイペースで過ごしたいということもあり、ビジネスホテルを選ぶことに。また糸魚川を通り越して直江津や高田というところも検討したが、たまたまネット検索で見つけたこのホテルに落ち着いた。なお現時点では公式サイトのみでの予約受付で、宿泊予約サイトでは出てこない。
部屋はシンプルな造り。私が宿泊したサイドの部屋からは駅舎を見ることもできる。
さて夜をどうするかだが、事前に調べたところでは糸魚川の駅前には飲食店街もあるそうだが、訪ねたのが日曜日ということで休みが多いようだ。事実、訪ねた時にはそうした店の灯りというのはほとんどついていなかった。これは予想通りということで、こういう時は近くの地元スーパーであれこれ仕入れて、部屋でのんびりするのも楽しみである。やってきたのは駅前の「ナルス」。ご飯ものは富山で「ぶりの寿し」を買っているからそれを充てるとして、刺身盛りや惣菜、つまみ、そして地酒も。特に地酒は銘柄や醸造法(純米酒とか本醸造とか)にこだわらなければ土産物店より安く購入できることがある。
※ちなみにホテルジオパークの1階には寿司屋がある。一品もので刺身の盛り合わせや天ぷら、から揚げ、地酒もあるがやはり寿司メインで値段はそれなりにしそう。今後の行程もあるのでこの日はスーパーでの買い出しとしたが、選択肢の一つにはなる。
先に集めたものを紹介すると、サッポロの新潟限定「風味爽快ニシテ」や、「加賀の井」、「根知男山」といったところ。また江戸末期創業の老舗蒲鉾店による、たらを原料とした「くしがたかまぼこ」もある。
その食事の前に、買い物袋をぶら下げてもう一度駅に向かう。そういえば新しい駅舎に、かつて大糸線を走っていたキハ52が保存されているというのを聞いていたからである。駅舎の山側に「ジオステーション ジオパル」という交流施設があるというのでそちらに向かう。
するといました、キハ52。今は新幹線の高架下に静態保存されているが、限定日には屋外に引き出されて展示されることもあるという。かつて使われていたレンガ造りの車庫も、一部だけが移築されて外に保存されている。
面白いのは車内が待合室としてそのまま開放されているところ。ちょうど訪ねる人もまばらで、車内の様子も撮影できる。このままシートに座って、何なら先ほど買ったビールを空けてもいいかなと思ったが、そこは「飲食禁止」の貼り紙がある。
大糸線のキハ52、私も現役時代の最後のほうに乗ったことがある。その時は確か3両在籍していて、それぞれが赤とクリーム色の国鉄色、青とクリーム色の横須賀色、朱色一色の首都圏色と分かれていて、訪ねた人たちがそれらを乗り比べたり、沿線で撮影にいそしんだりとした光景を思い出す(乗車記はこちら)。また引退後は1両はここ糸魚川、もう1両は津山の鉄道館、さらにもう1両はいすみ鉄道にて動態保存されている(乗車記はこちら)。こうしてシートに座るだけで懐かしがって満足だが、もうこれからこうしたタイプの実車に乗る機会というのは少なくなるのも事実である。
さらに奥には鉄道模型の巨大なジオラマがあり(有料で運転も可能)、北陸線や大糸線関係の懐かしの品々も展示されている。こうした鉄道の要衝としての歴史も伝えて行こうという取り組みを見ることができ、訪ねることができてよかった。
この後は部屋に戻り、上記の食材での夕食を楽しみ、持参のパソコンにて旅行記の続きを書く。周囲も静かな環境で、ゆっくりした一夜を過ごすことができた・・・。