5月4日の記事の続き。
32番の禅師峰寺のお参りを終え、独特の波状の紋が描かれている境内の岩を見て、山門を後にする。帰りは車道を歩いて下りようということで駐車場に出る。こちらでは本尊十一面観音の石像が巡拝者たちを出迎えてくれている。その中を次々とクルマが上がってくる。やはりこの時季は四国めぐりに適しているのか、クルマならなおのこと余計に札所の数を稼げるなと思う。時刻は11時を回っているが、朝に竹林寺で見かけた人たちはこの時間だともう次の雪蹊寺に向かっているか、いやあるいはもう通過しているかもしれない。
その雪蹊寺、クルマなら禅師峰寺の麓を走る県道14号線を走り、浦戸大橋を渡れば短時間で行くことができる。何なら、浦戸大橋を渡った後で方向は違うが桂浜に立ち寄ることも可能である。一方公共交通機関なら、峰寺通のバス停からはりまや橋まで出て、桂浜方面の便に乗り換えて長浜下車となる。ただ先の記事に書いたように、峰寺通からのバスは2時間に一本しかなく、私が麓まで来た時間帯はちょうど便がない。とすると、やはりここは歩きということになる。その歩きも、上記の浦戸大橋を渡ることもできるが、ネットで徒歩の遍路や巡拝の記録を見ると、浦戸大橋は元々クルマ専用に架けられた橋のため、歩道の幅も狭く、また高さも50mほどあるということで、歩行者が歩くところではないという。特に夜に歩くのは橋からの飛び降り自殺志願者と思われる・・・などという記述もある。
そこは良くしたものというか、浦戸大橋が架かる前から歩き遍路道としても「公認」されている唯一の公共交通機関がある。浦戸湾を挟んで東側の種崎と、西側の長浜を結ぶ高知県営の渡し船である。この渡し船は県道の一部として無料で運航されており、日頃「全て歩きでなければ遍路ではない、歩きでないヤツは遍路を名乗る資格はない」などとのたまっているガチの歩き遍路の方々(だから私はただの札所めぐりであって、遍路ではない)も、ここだけは例外としている。
・・・それはさておき、この渡し船は所要時間5分ほどだが、運航は日中1時間おきとある。東側の種崎からだと毎時10分発。禅師峰寺から麓に出たのは11時半の手前。次は12時10分発だが、種崎までは地図でざっと見ても5km以上ある。さすがに残り40分ほどではたどり着けないだろう。ならば目標を13時10分発に定めて歩くことにする。まずは先ほど通った石土池まで戻るが、この辺りになると竹林寺からの道を歩いてきた人たちともすれ違うようになる。
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このまま県道14号線を歩き、南国市から再び高知市に入る。すると雨がパラパラと落ちてきた。だが空は明るいのでしばらく我慢すれば雨具もいらないかなと思う。リュックから登山用の帽子を出してかぶるだけでも気にならないくらいだ。道標は県道の旧道を指すのでそのまま歩く。前を歩いていた年配の女性の巡拝者に追いつくと、「すみません背中のリュックから合羽を取り出してくれませんか」と声をかけられる。リュックを下ろせばすぐのことだと思うが、下ろすのも大変なのだろう。指示されたポケットに手を突っ込んで取り出す。この先、ご夫婦の巡拝者を追い越したり、逆に前方から巡拝者とすれ違ったりする。前方から来た人は、渡し船で長浜から種崎に渡ったのだろう。
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道幅の広い県道を渡らず、設けられた歩行者自転車用の地下道をくぐってさらに西に進むと、いかにも旧道という風情の道に出る。静かな住宅地の中だが、神社があったり、中学校、小学校もある。部活帰りなのかユニフォーム姿の中学生たちが自転車を走らせている。
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種崎地区に入る。スーパーの駐車場の向こうに造船所があり、大型船舶の姿も見える。住宅地に交じって造船関係や重工関係の会社施設や工場などもある。そんな中で「へんろ道」の案内がぶら下げられているのを見る。あと数百mで渡し船の乗り場ということで、種崎からの出向時刻も書かれている。次の13時10分発までは30分弱で、これなら「船が出たばっかりで1時間待ちぼうけ」ということもなく、ちょっとした休憩時間ということになるだろう。
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乗り場に到着。ここは路線バスの終点である種崎バス停でもある。船乗り場というのはオープンなイメージがあるが、ここは高知。津波の被害防止のために高い防波堤が築かれていて、海の様子はうかがえない。また船が着岸し、乗客が出入りするところも防波堤と同じ高さのゲートで仕切られている。外国からの歩き遍路も利用するのだろうか、時刻表が日本語の他に、英語、中国簡体字、ハングル、中国繁体字の合計5言語で記されている。横に待合室があるが、巡拝姿の男性2名が荷物を広げて談笑しており、ちょっと入れるような感じではなかったので、外のベンチに荷物を置いて待つことにする。ちょうど雨も止んできた。
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13時05分頃、長浜からの便が到着し、防波堤のゲートが開いた。やって来たのは瀬戸内海の島の渡し船でよく見るような、船体の中央上部に操縦室があり、船首と船尾の出入り口が大きく取られている形状のもの。出入りのたびに向きを変える必要がなく、ピストン運航に適した形である。自転車の地元客を一人降ろし、乗り込むのは私と先の巡拝姿の男性2名。先ほど追い越した人たちも間に合うかなと思ったが姿は見えず(途中で昼食を取っているのかもしれない)、出航時刻となる。
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船に乗り込んでみると対岸の長浜は近くに見える。たしかに、これだけの距離なら渡し船が効果的である。別に渡し船は歩き遍路のためだけのものではなく、地元の人たちも日常的に活用しているのだろう。
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船がちょうど中間あたりに差し掛かると、左側に浦戸大橋が見える。大型の外航船も入れるようにということか高い位置に架けられているのがわかる。うーん、あの高さの橋を、それも狭い歩道の上を歩いて渡るとは・・・高いところが苦手な私にはちょっと厳しいかな。
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5分で長浜側の梶ヶ浦乗船場に到着する。船の拠点はこちらのようで、この次14時まではここで停泊となる。目指す雪蹊寺までは徒歩15分との看板があり、船乗り場からだと一本道である。早足で歩き出した男性2人組の後ろをマイペースで歩く。こちらは昔からの漁村、港町という風情が感じられる。途中、お好み焼きに「たっすいがは、いかん!」のキリンラガービールの幟が並ぶ店を見たり、酔鯨酒造の蔵元の横を通ったりとなかなか誘惑も多い中、15分を少し回ったところで雪蹊寺の門に到着した・・・。
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その雪蹊寺、クルマなら禅師峰寺の麓を走る県道14号線を走り、浦戸大橋を渡れば短時間で行くことができる。何なら、浦戸大橋を渡った後で方向は違うが桂浜に立ち寄ることも可能である。一方公共交通機関なら、峰寺通のバス停からはりまや橋まで出て、桂浜方面の便に乗り換えて長浜下車となる。ただ先の記事に書いたように、峰寺通からのバスは2時間に一本しかなく、私が麓まで来た時間帯はちょうど便がない。とすると、やはりここは歩きということになる。その歩きも、上記の浦戸大橋を渡ることもできるが、ネットで徒歩の遍路や巡拝の記録を見ると、浦戸大橋は元々クルマ専用に架けられた橋のため、歩道の幅も狭く、また高さも50mほどあるということで、歩行者が歩くところではないという。特に夜に歩くのは橋からの飛び降り自殺志願者と思われる・・・などという記述もある。
そこは良くしたものというか、浦戸大橋が架かる前から歩き遍路道としても「公認」されている唯一の公共交通機関がある。浦戸湾を挟んで東側の種崎と、西側の長浜を結ぶ高知県営の渡し船である。この渡し船は県道の一部として無料で運航されており、日頃「全て歩きでなければ遍路ではない、歩きでないヤツは遍路を名乗る資格はない」などとのたまっているガチの歩き遍路の方々(だから私はただの札所めぐりであって、遍路ではない)も、ここだけは例外としている。
・・・それはさておき、この渡し船は所要時間5分ほどだが、運航は日中1時間おきとある。東側の種崎からだと毎時10分発。禅師峰寺から麓に出たのは11時半の手前。次は12時10分発だが、種崎までは地図でざっと見ても5km以上ある。さすがに残り40分ほどではたどり着けないだろう。ならば目標を13時10分発に定めて歩くことにする。まずは先ほど通った石土池まで戻るが、この辺りになると竹林寺からの道を歩いてきた人たちともすれ違うようになる。
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