11日は雪で順延となっていたラグビートップリーグのプレーオフ決勝が行われ、パナソニックがサントリーを破っての優勝。三洋電機からパナソニックになってからの初優勝である。
さて、そんな話題と並行するようにニュースとなったのが、近鉄が花園ラグビー場の売却を検討しているというものである。一瞬、頭をよぎったのが、野球のバファローズと同じように、近鉄ライナーズも活動休止ということになるのかということ。
記事を追いかけていくと、花園ラグビー場の場合は、2019年のラグビーW杯の試合会場招致に向け、地元である東大阪市の支援を引き出そうというのが発端である。高校ラグビーも行われ、ラグビー用スタジアムとしては西の横綱である。ただ、ラグビー専用であるがために興行収入は限られており、一方で芝を含めた維持費の問題があった。年間では億単位の赤字であるという。
一方で、「ラグビーのまち」を掲げる東大阪市としては、2019年W杯はぜひ花園で試合を開催したいところ。その中で収容人数や大型ビジョンの設置など、試合開催の条件を満たすには改装工事が必要である。長居競技場を擁する大阪市が試合誘致に動くという情報もあるようで、近鉄としてはなかなか費用が出しにくいところで、ならば自治体の手で進めようという意図があるようである。
そういう、両者の思惑が一致するのであれば、これは進めていい話ではないかと思う。近鉄のシンボルの一つを手放すのは淋しい気もするが、もう「鉄道が公共財を持つ時代」というのは時代遅れなのかもしれない。プロ野球、遊園地もかつては沿線住民の娯楽として、また他社沿線からも乗客を誘致する格好の材料であったが、娯楽の多様化であったり、それら施設の維持管理を考えた時に、合理化経営を求められる私鉄には厳しい局面となったことだろう。そういう赤字部門からは撤退して、より商売になるところに集中して投資するというものである。
地方自治体も財政状況が厳しいところが多いが、花園ラグビー場クラスとなると、近鉄という一企業の持ち物ではなく、みんなのものということで自治体に管理を委ねるのが正しいかもしれない。その上で近鉄が再度ネーミングライツを取得するとか、ライナーズは引き続き活動するという形で地域貢献するというのでよいのではないかと思う。(あ、でも大正ドームは大阪市からオリックスが買い取って自前のスタジアムにしたんだっけか。オリックス戦以外のイベントは常に満員御礼となる皮肉な現実はあるが)
正式にどうなるか、これから協議の行く末を見守りたい。やはり2019年ラグビーW杯は、花園でもやらなければ・・・。