まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

『東海道中膝栗毛』

2013年06月18日 | ブログ

先日の記事で、現在の東海道五十三次の「食」の観察でもあるウォーキングについて書かれた一冊を紹介した。そんなこともあり、東海道には注目しているところである。

そこで書棚の奥から取り出したのが、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』(岩波文庫版)である。以前に読んだもので、もちろん原文で書かれたものだが、同じ古典でも『源氏物語』や『平家物語』に比べれば、現代に時代が近いこと、また町人言葉で話していること、旅という楽しみが舞台であることなどから、脚注があれば比較的スムーズに読めるものである。

弥次喜多道中というのはいろいろな宿場や道中での滑稽話、失敗話があり、中には落語や小噺のネタとなるところもある。また一方では道中での「女」というのも当時の旅の楽しみだったようで、こういうところや下ネタは子ども向けの訳本ではカットされてるが、より当時の旅のリアリティがわかるような気がする。景色の描写というのはほとんどなく、もっぱら弥次喜多のやり取りや、沿道の人たちの声を拾うように書いているため、読む中ではその「声」の中で旅をしているかのように感じられる。

改めて古典に触れることの面白さ、また「変わった形での東海道の旅をしてみたいな」と思わせる。さすがに歩いて・・・というのは難しいが、例えば列車に乗るにしても鈍行で、かつ何かルールや縛りを設けるとかね。そんなこともやってみたいものである・・・・。

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