交流戦の後半、名古屋でオリックスは中日に連敗。まあ、所詮万年Bクラスのチームが、連続Aクラスを続ける中日に連勝しようということ自体がおこがましいことだったのだろう。
下手をすれば残り6試合全敗、都合8連敗も現実味を帯びている。次は安パイのDeNA戦だから・・・と気を抜くとやられそうな予感。金子、西には容赦ない投球を期待したい。さて、そんな中日の本拠地である名古屋および近県を通るのが東海道である。江戸時代に入り本格的に街道として整備されて以降、日本を代表する道ということになった。現在でも新幹線、高速道路、在来線、国道1号線など、日本の大動脈であることには変わりない。
一方で昔ながらの宿場町風情や街道の松並木も残っており、歴史探訪ということで旧東海道をウォーキングや自転車で走破しようという人は結構いる。いろんな人が旅行記を出したり、ブログなどでその様子をアップしたりしている。
『東海道五十三次「食」ウォーキング』(幕内秀夫著、講談社プラスアルファ新書)
一見すると東京から京都まで歩いたその記録かと思うが、この著者は『粗食のすすめ』シリーズなどで、現在の日本人の食生活のあり方に警鐘を鳴らし続ける著作を多く出している。その根本は「FOODは風土」ということで、その土地で長く受け継がれてきた食事・・・つまり日本なら「和食」というものを大切に、その食事こそがこれからの日本人に大切なものであるというものである。
その日本の食の変化を観察する、あるいはその中で変わらず受け継がれているものを観察するということで、元々ウォーキングの実績もある著者が東海道をずっと歩こうというものである。今回の旅のスタイルは東京から京都まで一気に歩くというもの(結局20泊21日)で、宿泊は旧東海道の宿場町に今も残る「1泊2食つき」の宿。しかも高級旅館やビジネスホテルではなく、主に工事関係者などが泊まるビジネス旅館、商人宿、たまに公共の宿というもの。それも出発前に京都までの全ての宿泊地の予約をしてしまう。作品の中で「これは無茶なことだったかな」と振り返るところもあるが・・・。
本書は確かに東海道を歩いて制覇した記録であるが、その内容は沿線の風景や東海道の歴史に触れるというよりも、旅の目的である「日本の食」の観察がメインである。だから歩いたことよりも、その日に宿泊した旅館の食事や、宿の人との触れ合い、そして味付けを通してわかる食文化の違い(関東~名古屋~関西風の味付けや食事の具材の違い)の観察の記述が多い。
私の場合出かけるとすればだいたいが素泊まり(もしくは朝食つき)のビジネスホテルで、宿泊した夜はたいていその土地の郷土料理を味わえる居酒屋を探しにかかる。ただ著者の場合は、旅館でビールは飲むものの、その土地の何の飾り気もない家庭料理の中に日本の食文化を見ようとする。全国どこでも食べられそうな(あるいは、「何で旅行に来てまでこんな変わり映えのしないものを食べないといけないのか)定食の中にもかすかな違い、そして地元の食のDNAが受け継がれているのを見るのである。
こういう「旅館」の視点での東海道五十三次というのもなかなか新鮮なもので、読んでいて面白かった。昔ながらの「和定食」を思わず食べたくなったくらいである(ビジネスホテルの中にも、バイキング形式ながらこうした和食のテイストを大切にしているところは結構あると思う)。
さすがに筆者のようなひたすら歩く旅は自分には無理だと思うが、東海道に限らず旧街道に残る町並みは独特の面白さがある。私もいずれ、高級旅館ではなくてもこういう昔ながらの伝統を大切にする、街道の風情を楽しめそうなところに泊まってみたいものである。こういう旅って、本当の意味で「点」ではなく「線」を楽しめることだろう・・・・。