早川尾根縦走

2007年08月16日 21時48分17秒 | 山紀行
13,14日 1泊2日で家の南に連なる早川尾根を栗沢山から地蔵岳まで縦走してきました。7月に行こうとしたのですが、台風4号で中止、延期した山行です。いいこと、悪いこと、残念だったこと いろいろあった山行でした。
同行はY夫婦、M夫婦、Cさん、それにうちの夫婦 計7人です。僕が一番若いんですよ。最高齢はMだんなさんで72,3かな。
縦走となると足(車移動)が問題になります。我々は前日にワゴン車を1台下山予定の御座石鉱泉近くに停めておき、当日は別の1台で芦安へ。そこからはバスで広河原、北沢峠と入りました。芦安に停めた車は下山翌日取りに行くという作戦です。
行程は北沢峠から栗沢山(2714m)に登り、アサヨ峰(2799m)を通過して早川尾根小屋に1泊。2日目は小屋から広河原峠、白鳳峠、高峰を通って地蔵岳(2764m)へ。ここから鳳凰小屋を通り御座石鉱泉方向に下山、西ノ平で左折し、車へ。

・快晴の下での登山
  2日間とも晴天でした。いけないこととは知りながらも、僕は雨具とスパッツを持っていかなかったほどです。こんな晴天の登山はいつ以来だろうか。解からないくらい昔のようだ。それとCさんといっしょに山に行くようになって以来、仲間うちで僕とCさんのセットは悪天候仲間となってるんです。燕岳(雨)、空木岳(暴風雨)、昨年の甲斐駒(急な冷え込み、頂上滞在8分、凍った岩場の下山)どれもCさんがいっしょでした。そんな悪いジンクスも今回で消滅したようです。
  圧倒的甲斐駒がすぐ横にあって、それに比較して女性的な千丈ガ岳、国内2位の高さを誇る北岳、富士山、八ガ岳、遠く北アルプスは白馬まで見えました。これだから山行やめられないんですよね。
  ただ残念だったのは下界が雲海の下で、尾根道から自分宅を見つけたかったのですが、それが全くできなかったことですね。
・Y夫婦のリタイヤ
  アクシデントもありました。Y夫婦が途中(栗沢山頂上手前)でリタイヤしたんです。旦那さんは2200mを超えると高山病が出てくる体質なんです。これは周知の事実。今回もそれが出たようです。それとサラリーマンゆえの過労もあったのではないでしょうか。だいぶがんばったんですが、これから行く尾根道の長さ、アップダウンの多さを奥さんが見て、これはダメと判断したようです。二人で下山しました。北沢峠(2000m)まで降りた頃には体調も戻ったようでした。バスで芦安に戻り、車で自宅にその日のうちに帰れたようです。
・圧倒的甲斐駒
  昨年10月Cさんと2人で甲斐駒に登ったのですが、悪天候で頂上に8分しかいませんでした。歩いた黒戸尾根、泊まった7丈小屋も確認できました。僕の今回の登山はこの甲斐駒以来10ヶ月ぶりなんですよ。いろんな意味で感慨深く甲斐駒を眺めました。7丈から上ってほんとに急勾配なんですね。Cさんと「あんな道を登ったんだね」と握手し直したり。ほんとに男性的な山ですね。
・厳しいアップダウン
  毎日眺めてる早川尾根 見慣れてるせいかそんなに厳しい尾根歩きとは考えてませんでした。アップダウンもたかだか3,400mのもの 楽な尾根歩きと決めつけていたことは反省点です。長時間の歩行の後で400mを登るのってきついですね。下山後Y夫婦に「リタイヤの判断は正しかったね」と話せました。  
・早川尾根小屋
  アサヨの頂上から遥か先に小屋を確認できました。その時もこう下って、こう登り、こう歩けば3時間くらいで着くななんて軽く考えてたんです。いやいや長い長い。行けども行けどもつかない小屋でした。栗沢山の頂上でY夫婦を待ったため時間も過ぎてました。結局小屋に着いたのが4時半。他の客はもう晩飯が終わってました。小屋の方に「お泊りの方は4時には入っていただきたいのです」なんて苦言を言われました。ごめんなさい。夕食はだしてくれましたよ。
  南アルプスの小屋は北や八ヶ岳に比べて綺麗じゃないと思ってたのですが、そんなでもなかったです。お盆休みだというのに泊まり客は20人ほど。余裕をもって1人1枚の布団で寝れました。
  暗くなっても電気、ランプ等は点きません。「自然消灯」というのだそうです。5時半頃飯終わって、布団に横になるとそのまま寝込んじゃいました。持ってったアルコールを飲むこともなくです。疲れたんでしょうね。夜中に1度起きましたが、何時かもわからず、トイレにいくこともなく、また寝ちゃいました。
  朝4時小屋の人が「起きてくださ~い」と声をかけます。こんな経験は始めてです。それでも10時間ほど寝てるのですからスッキリ目がさめました。空はやっと白み始めた頃です。各自寝具を始末してると、朝食のテーブルが用意されます。それぞれ朝食をいただき、5時には出発する人もいました。僕達は最後で5時半発でした。目の前に朝日を受けた北岳が輝いてました。水は豊富にありましたよ。
・ペルセウス座流星群
  13日の夜は流星群の最高潮の夜だったんですね。2300mの高みからこれを見てやろうと期待してたんです。でもバタン・キュー状態でしたから何もみてません。
  朝だれかが「綺麗だったわよ」とか「何個見た」なんて話したら、大きな後悔になるところだったのですが、「天の川が綺麗だった」とトイレに行ったCさんが言っただけ。だれ1人流星群の話をしなかったところをみると見えなかったんだなと納得したしだい。
・オベリスク下での昼食
  2日目は100m下って200m登り、100m下って400m登るコースです。最後は1300mを一気に下るのですが。
  1日目同様長く、厳しいアップダウンです。疲れると立ち止まり周りの山を眺めます。また元気が回復して歩く これの繰り返しでだんだん最後の高みに近づいていくのです。今思えば楽しい山歩きだったかな。
  予定通り11時に地蔵岳オベリスクの下に到着。カンカン照りの下、かろうじて見つけた木陰でゆっくり昼食。今回の山歩き ここでだけお湯を沸かし、インスタント麺を食べ、コーヒーを飲みました。もう下るだけ。余裕でハイキング気分です。
・鳳凰小屋の主人
  地蔵岳から40分ほど下ったところに鳳凰小屋があります。高齢のM夫婦はここにもう1泊という腹案もあったのですが、いっしょに降りました。
  鳳凰小屋は10数年前に泊まってるんです。5月の連休に奥さんと2人一泊二日で地蔵岳を目ざしたんです。まだアイゼンなんて持ってませんでした。ところが上は残雪が深く、小屋から下山も考えました。小屋のおじさんがアイゼンを3つ貸してくれました。奥さんが両足、僕は片足のアイゼンで小屋から頂上と隣の観音岳を往復してきました。そのおじさんが今も小屋をやってました。昔話をしても、「そんな古いこと覚えてないよ」とそっけない。小屋も当時より綺麗になってるし、別棟もありました。
・山野草
  早川尾根は山野草があまりありません。全体を通して咲いていたのがゴゼンタチバナ、マイズルソウ、トウヤクリンドウあたり。他にも2,3ありますが、僕が名前を知らないだけ。
  ところが地蔵岳周辺はいろんな花が咲いてましたね。まさにお花畑という所もありました。
  初めてみたのがキンリョウソウ。ギンリョウソウはよく見かけるのですが、こんな花があることすら知りませんでした。
  他には有名なホウオウシャジン、タカネビランジ、ヤマハハコ、(セリバ)シオガマ等など。もうひとつ感激したのはレンゲショウマの群生を見れたこと。
  僕達山仲間ではY奥さんが花の先生。その彼女がリタイヤしたもんだから、花の名前を覚えられませんでした。
・道を間違えSOS
  最後に事件が待ってました。西ノ平で左折して、停めておいた車の所に出る予定でしたが、「おかしいな。変だな。」と言ってるうちに御座石鉱泉まで降りてしまったのです。だいたいそんな所に車を置いて山に入る人なんて地元の人しかいないわけで、道も獣道みたいなものだし、標識もしっかりしていないんです。この分岐を確実に認識できるのはY夫婦だけなんですが、リタイヤしてていなかったのが不運でしたね。
  突然鉱泉の屋根を見た時は各自唖然。でも引返すには降り過ぎてる。解決策はただ1つ。1日早く帰宅し、我々の帰りを待ってるY夫婦にSOSの電話を入れること。30分ほどでだんなさんが向かえに来てくれました。その車で10分ほど林道をさかのぼり、車の所へ。ここを歩いて登ったら2時間はかかったでしょうね。
  これでどうにか安全圏に戻れたのですが、もう体力も精神力も限界を超えてたようです。

この日夕方武川町は夏祭りで花火大会があったのです。Y夫婦から「そこで打ち上げ」と言われてたのですが、M夫婦とうちは行く元気もなく、お断り。
我々2人はそのまま温泉に行き、晩飯も軽く食べるだけで寝たしだい。

それでも今月末2泊か3泊で槍ヶ岳に行こうと決めてきたのはすごいでしょう。
今回不完全燃焼のY奥さんを完全燃焼させる目的をもって、僕と3奥さんの4人でいくのかな・・・。

[ 写真 ]

早朝の北沢峠 標高2000m バスでしか入れません。千丈、甲斐駒への登山基地です。
北沢峠から栗沢岳への登り
栗沢岳手前 2700mあたり。このあたりが森林限界です。気分の晴れます。
栗沢岳頂上 2714m。 後ろは甲斐駒です。間に仙水峠(2264m)があるだけ。水平距離にして2km。
栗沢岳頂上での昼食 ここでY夫婦を待ったのです。登って来る人から情報をもらったりして。後ろはこれから登るアサヨ峰。
アサヨ峰への急登 今回の最高地点にむけて必死のがんばり。
アサヨ峰の頂上 今回の最高点2799mです。下界は雲海の下。
2日目の朝 小屋からの北岳 3192m 富士山に次ぐ国内2位の高峰です。
北岳の雄姿
千丈ヶ岳 3032mです。カールが見えます。甲斐駒と北岳にはさまれて実に女性的。
八ヶ岳 最高峰は右端の赤岳2899mです。この方向の下界に小屋があるんですが。
甲斐駒ヶ岳 2967mです。写真中央の肩に7丈小屋が見えます。そこから右に下って、台形の山が黒戸山。左側の鞍部が5丈です。昨年の甲斐駒登山も参照ください。
歩いてきた尾根道を振り返る。 左一番奥がアサヨ峰です。右が甲斐駒。
大休憩 最後の400mの登りを前に一休み。
地蔵岳(オベリスク)を遠望 オベリスグで後小一時間という所。
オベリスク 山の名前は地蔵岳です。この岩の塊をオベリスクと呼ぶのです。高さ20mくらいのモニュメント。危険おかしてがんばれば一番上まで行けるようです。

[ 山野草 ]
名前不詳
キンリョウソウ
トウヤクリンドウ
ヒメシャジン
タカネビランジ
キキョウ
ウスユキソウ  その他いろいろありましたが、撮らなかったか撮ってもピンボケでした。
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8 コメント

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元気ですね (さくら)
2007-08-18 06:27:02
奥様たちがお元気で素晴らしいです。
私は以前、地蔵までいかないで下山しましたが、
長いコースを無事歩けてなによりです。

レンゲショウマの群落素敵ですね。
どのあたりでご覧になったのかお教えください。

今年は毎年恒例の、櫛形山へもいけそうにないので、
奥多摩の御岳山でお茶をにごす予定です。

花の山の景色を楽しみにしています。
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内緒で ()
2007-08-18 07:33:26
さくらさん おはようございます。
早速長文を読んでいただきありがとうございます。
疲れたでしょう。書いてて自分でも疲れました。
写真は明日の夜LINKさせるつもりです。
群生地はメールでお知らせします。
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レンゲショウマ (さくら)
2007-08-18 19:01:36
情報ありがとうございます。
来年の今頃までに、体力をつけて、体重を減らして、
カメラ技術も磨かなくちゃ。

今日、全国的に有名な、奥多摩御岳山のレンゲショウマを観にいってきました。

「第二群生地」という看板が突然出来て、怪しいと思ったのですが、素直に解釈し、あるき疲れて途中参道の茶店に引き込まれました(笑)

お店の方に聞いたら、
去年植えたんだけど、群生地になるといいなあと思っているんです。と白状しました。植えた花はワズカでしたし、生育環境がレンゲショウマにはあってない場所で群落が出来るとは思えません。

参道の茶店を通って、御岳神社まで行くようにとの、
作戦なのです。「商魂」と読むべきだったかも・・・
あれだけ開けた土地に去年なかった群落が、
突然生まれるわけがないですね~

神聖な場所にふさわしくない、微妙ば商法と感じました。
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似たり寄ったり ()
2007-08-18 23:30:22
さくらさん 1年間の過酷なダイエット 努力、努力。
痩せたから歩けるってもんじゃないことも忘れずに。
うちの奥さんは以前からレンゲショウマが好きだったようです。
大和で850円とか。白州花壇では1鉢1500円でした。
9月に新しいのを仕入れるとか。その時を狙って奥さんに買わせます。
あとはうちの庭の片隅で静かに咲かせてやるんですよ。僕が。
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写真拝見 (道の駅)
2007-08-20 08:59:02
 天気にも恵まれて、良い山歩きが出来ましたね。写真も素晴らしいですね。山の景色を楽しませて戴きました。
 文中にもありましたが、写真で皆さんの年齢を推定しますに、お元気な方々ですね。
 最近は山に入っても結構高齢の方のグループとすれ違います。1人具合が悪くなっても大変だろうなと思うことがあります。老若男女混成グループで、それぞれ相応に役割分担出来ると、新聞ネタになることも減らせると思いますが、叶わぬ理想でしょうか。
 それにしても先に下りた方にSOSとは、うまく行くものですね。携帯も圏外でなかったのですね。
 たくさんの文章・写真、マメさ加減にも脱帽!
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君は短文の中に全てを ()
2007-08-20 18:37:49
道の駅君 こんにちは。
書きたいことがわんさかあって、だらだら長文を綴っちゃいましたね。そこへいくと君のコメントは短文の中で僕がポイントにしてほしい所を的確に捉えてる。
マメといわれると素直にうれしいですね。要するに夜暗くなるとここではやることないだけですよ。TVもないしね。NETが友人。
来週槍ヶ岳に行こう との話があるんですが、今回同行された73歳の方には今日御辞退いただいたんです。いやな役ですよね。行く気になってる人に「こないで」と言うわけですからね。山に入る前にこんな苦労もしてるんですよ。事故はいやですから。
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山の写真の勝ち! (さくら)
2007-08-20 21:06:25
こんばんは~
花の写真より、山の写真のほうがいいですね。
自分も歩いた場所(一部ですが)は、懐かしいです。
お天気が最高で、羨ましい限りです。

お花の名前を一部訂正します。
名前しらず→タカネニガナ
ヒメシャジン→ソバナ(たぶん)

蛇足ですが、御岳ケーブル駅ではレンゲショウマ一鉢2500円でした!
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来た来た 予想通り ()
2007-08-20 21:40:23
さくらさんから訂正なり、本名がくるだろうな と予想してたんです。他にはいないんだけど・・・。Y本奥さんがNETやってたら彼女が早いかな。
さて訂正したもんかどうか そこが問題だ。どうせ知ってる人は「バカ ウソ書くな」と流してくれるだろうし・・・。
ショウマ 南林間980円、白州花壇1500円です。後者が9月に新しいの入れて来るからと買うのを止められてます。その時は店裏価格でお願いしたいな。庭の一角にショウマの群生 それもいいかな。
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