外国人が日本に来て驚くことの代表的なものに、「電車で寝ている人」というのがある。諸外国は違うらしいが、日本だと多くの人が寝ている。一般的に締まりのない日本人であるとか、平和な日本としての風景(寝ていても物を取られない)として語られているものである。視覚障害の外国人が日本の電車に乗ると、人がいっぱいいるのに静かなのに驚くらしい。外国では電車内で大声で話をするとか電話しているとかが一般的で、人が居るんならうるさいのが当たり前らしい。まさかスマホでゲームするか寝ているかの人々がひしめき合っているなんて、想像もできないことだろう。
しかしながらこの電車で寝ている人の原因は、他ならぬ日本人の睡眠不足にあるのではないかという。適正な睡眠時間には個人差があるので絶対的とは言えないまでも、7時間から9時間程度といわれている。なかには6時間から10時間というデータもあるようだが、医学的な検証をもとにそれなりに確かそうなことである。面白いのは短いのはもちろん論外だけれど、長すぎても死亡率は上がるらしい(特に女性)。日本人は比較的短めでもよいとする説もあるようだが、それでも最低7時間というラインは毎日寝る必要があるらしい(導眠や目覚めの時間を含めて8時間とするのが一般的だが)。週末の寝だめというのは、寝ないよりはましかもしれないが、生活習慣上は問題がありすぎる補正であって、危険が多い。毎日コンスタンスに平均的に寝るより他に、方法は無いという。時間がどうというよりも、通勤など日中に眠気を感じるというのは、少なくとも疲れのとれるほど十分な睡眠がとれていない証拠なのだという。つべこべ言わずに寝るべし、というのが、絶対的な正解なのだ。
というのは分かり切っている事実であるはずなのだが、それでも守ろうとしないのが日本人の多くの精神性だろう。それでも何とかなる方法があると思っている人が、多いように思う。要するに日本人は、睡眠に関しては極めて不真面目なのである。しかし日本人は、外国人の睡眠に関して、欲望に忠実に眠たいから寝ているだけの性格だろうと思っているのではないか。彼らが自分に正直なのは、人として生きていることに誠実だからである。不真面目な日本人は、そのことにすら傲慢に、自分が寝ていないことを、仕方がない要因のせいであると考えているきらいがある。自分のやらかしてしまっている自分の責任問題なのに、他人事にしている人が多いのではないか。コンビニの24時間がどうとかいうよりも、まず22時以降活動しない人が増えると、日本人は健康になるのではないだろうか。