
恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ/スティーヴ・クローブス監督
兄弟でピアノデュオの演奏をしているプロミュージシャンがいる。クラブやレストランなどで出演して糊口をしのいでいる訳だが、腕は確かでも、そこまで人気がある訳ではない。仕事の口はだんだんと減っていて、心機一転、女性ボーカルをオーディションして入れることにする。しかしながら40人弱も審査するも、それらしい人は現れない。もう時間が過ぎて諦めていたところ、大遅刻してやって来た女がいて、しかし、これがあたりだった。
それからは客の反応が格段に良くなり、大きな箱でも呼ばれるようになる。彼女の歌声もいいが、何よりステージ上のでもセクシーなのだ。そうして兄弟同士でも彼女のことが気になるようになって、今度は恋のライバル、ということになっていくのだったが……。
兄弟デュオは、実際にも兄弟であるらしい。弟のジェフ・ブリッジスはそれなりのスターだから他の映画でも知っているが、兄のボーのことは、正直言って知らなかった。彼らは両親も俳優という一族の出身で、子役のころから活躍していたのだという。ピアノもどうも弾いているらしい(ミュージシャンとしても活躍している)。さらにこの映画歩褒めている人がいたから観たのだけれど、ほのかな既視感がある。ブログにはあげていないようだが、何しろ古めの映画だし、20年以上前に観ているのかもしれない。終わりのころのきょうだい喧嘩の場面を見て、これは見たな、と思いました(遅いよ)。
しかしながらなかなかいい映画で、ちょっとした悲しみやもどかしさはあるものの、当時の人間模様の在り方のようなものをあんがいに見事に映し出しているのではなかろうか。今ではとても映像化できないような煙草のぷかぷかもふんだんにある訳で、そういった恋の小道具も、古くさくていいのである。もっともこんな人々のような環境のことは、まったく共感は無い訳だが……。
いろんなものごとの調和というのは、あんがいにもろいものである。その後のことはわかり得ないが、やはり家族はいるわけで、なにかを割り切ってやっていくしかないじゃないか。まあ、そんな映画では無いのかもしれないけれど、たった二回やっただけなんだからね! ミシェル・ファイファー、かっこいいです。