チケット転売による高額チケット問題というのがある。コンサートやイベント、テーマパークなどのチケットが、業者や一部の転売目的の個人などから買い占められ、多くの人が正規の値段での購入を阻まれる実態がある。どうしても行きたい人や良い席を確保するためには、ダフ屋や転売サイトなどから、正規値段の数倍から数十倍という高額料金を支払わざるを得ないという(人気アイドルものでは16万円とかざらという)。電話やネット販売などのチケットの購入については、特殊なソフトウェアなどを使ったり、複数名義を使った方法などでなければ、人気のあるチケットはまず購入自体が大変に難しくなっているらしい。一般の人が正規で購入する方法が、ほとんど絶たれていることに問題がありそうだ。ダフ屋というのは都道府県の条例で取り締まれるが、正規でチケットを取り扱える業者は存在しており、またそのような業者へ転売目的でチケットを売る個人も、恐らく仕事として成り立つプロの存在として居るようだ。
主催者側も対策は進めており、個人認証確認で購入者を特定したり、座席番号が入場以後にならないと分からない(いい席の価値が事前に分からない)ようにするなどの処置を取っているところもある。しかしながらそのために余分な課金がなされたり、入場に時間がかかったりするようなこともあるらしい。転売されたチケットをネット上で確認し、無効化するところもあるらしい。それぞれ一定の効果があり、そのような処置をしている場合には、ゼロではないが、転売実績はかなり減らせているという。
モノの値段は需要と供給によって決まるというのは、特に間違ったものではない。不公平はあるものの、自由経済においてこのような隙間の問題をついて商売を成り立たせるという業者については、必ずしも断罪するのみで済む問題では無い。
恐らく需要と供給のバランスが著しく欠けている場合においてのチケットの価格差が大きいとも考えられる。クラッシックやオペラなどの催しでは、最初から席の価格差が大きいなどがある。海外タレントのコンサートでは、最初から10万円のチケットが売られたこともある(聞いた話では、海外では最初から30万程度のチケット販売というのもあるらしい。凄いですね)。相撲なども、タニマチ価格で升席が売られたりしているようだ。そのような場合でも転売されることはあるのだろうけれど、やはりその実数はそんなに多くはならないのではないか。そもそも最初に設定されている正規の値段が、需要側からの感覚として安すぎるために、買い占めて高額にしても利ザヤが稼げることに(多少売れ残っても、買い占めて高額にして一部の大きな負担をする人に売りさえすれば利益は確保できる)、商売を成り立たせている理由がありそうである。
主催者側としては、多くのファンに購入できる価格で、さらに採算ラインとしては実施可能であると判断して、もしくは一般的な常識の範囲でチケット価格を決めているのかもしれないが、そのために需要側として過剰な競争を生んでいることに無頓着すぎるのではないだろうか。また転売業者などがチケットを買い占めたとしても、経営的には赤字にならないからか。しかしながらそのために多くの席がまとまって買い占められて、結果として転売が上手くゆかず空席がみられるような会場もあるらしい。見た目にも残念だろうし、それ以上に本来獲得できる利益も失っていることを悟るべきではないか。さらにいずれにせよ購入が困難である実情を踏まえての、ファン離れを起こす危険もあるのではないか。
転売業者などが、何らかの事情があって購入したが行けないなどの人を救済する処置としてチケットを購入し、その差額で商売をすることに対しては非難する人は少なかろう。主催者のチケットが最初から高額なら、転売サイトの安売りチケットは、逆に消費者には助かる存在になるだろう。人気の高いチケットの値段は、最初からもっと高額にすべきなのではないだろうか。