ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

熱海の土石流災害は人災の側面が大きい2

2021-07-21 10:16:57 | 時事
●系の悪質な業者が関係

 実は、熱海の土石流災害には、系つまり解放運動につながる団体・企業の残土産廃利権が絡んでいることを、主要メディアは報道していない。
 同和問題についてはネット上に行政による説明が多数あるが、当たり障りなく書いたものばかりである。同和問題は問題と同じである。同胞融和のための地区は、被差別の別称である。差別の解消が人権問題、社会問題として推進されてきているが、その一方で、利権や解放同盟による行政対象暴力、解同タブーが生じ、また過激な左翼や反日外国勢力の活動に利用されている。
 週刊新潮は、7月15日号・7月22日号で、熱海の土石流災害に関する記事を掲載したが、関係する業者の会社名・社長名を掲載していない。
 熱海の土石流の起点となった盛り土を行った業者は、小田原市の株式会社新幹線ビルディングである。同社は、自由会神奈川県本部の天野二三男会長が社長である。自由会は、自民党と連帯する保守系の団体として知られています。全国自由会は、自民党本部ビルで全国大会や幹部研修会等を行っている。会員は土木建設業者が多いことが特徴的とされる。
 熱海市の浅見修水道温泉課長は「新幹線ビルディングそのものがですね、系列の会社でございまして、ちょっと普通の民間会社と違いますので」と市議会で答弁している。新幹線ビルディングによる開発は、熱海市議会も「案件」と認めていたわけである。
 盛り土を行った業者が行政の指導に従わず、県や市も強い指導が出来なかったのは、業者が系だからだろう。盛り土が事故の責任だとすれば、責任は所有者にあるが、盛り土を行った前の所有者は、現在の所有者に転売済である。違法工事を行って儲けた後に、問題のある土地を売って、自社に責任が及ばないようにしているものと見られる。
 盛り土に加えて、隣接地で行われている大規模太陽光発電(メガソーラー)も原因ではないかとの見方がネット上で拡散している。因果関係は今後の調査によるだろうが、土石流に影響した可能性が指摘されているメガソーラーの設置場所は「水源かん養保安林」だったとのことである。森林を大量に伐採すれば、土地の保水力が低下し、災害の原因となる。グローバルな地球の環境の保全のための太陽光発電が、ローカルな地域の環境を破壊し、災害を生むというパラドックス。しかもそこには黒い利権が関係しているという構図である。
 川勝平太静岡県知事は3年前からメガソーラー事業を推進している。環境問題を懸念した静岡県伊豆半島の地域住民は事業への反対運動を展開中である。川勝知事が誘致しているのは韓国系企業、ハンファエナジージャパン(伊豆メガソーラーパーク合同会社)、SUNホールディングス(SUN-K合同会社)の2社である。ハンファエナジージャパンは、伊豆高原に東京ドーム10個分の森林を伐採して大規模ソーラーパネルを建設する計画を打ち出している。SUNホールディングスは、メガソーラーパネルの飛散事故や伊豆高原での山の違法な森林伐採などが大きな問題となっていると伝えられる。
 熱海市の問題の太陽光発電所については、シナ系メディアの大紀元に、元産経新聞記者でジャーナリストの三枝玄太郎氏が記事を書いた。日本の主要メディアには書けない内容だろう。記事によると、太陽光発電所の業者は「ZENホールディングス」(東京都千代田区)。同社のオーナー、麦島善広氏は、新幹線ビルディングから購入した盛り土の所有者だとのことである。麦島氏は、麦島建設などを創立した建設業者である。
 三枝氏は、次のように書いている。
 「崩落現場のわずか数十メートル西側に中規模の太陽光発電所があった。この発電所が買電権(ID)を取得したのは、2013年10月3日のことだ。静岡県熱海市伊豆山(番地未確定)として11区画に分けて1区画40・0キロワットで申請している。名義は太陽光発電事業者の『ZENホールディングス』(東京都千代田区)だ。
 いっぽう、残土は新幹線ビルディング(神奈川県小田原市)という不動産会社が宅地開発の名目で、置いたものだという。ところが産業廃棄物がかなり混ざっており、熱海市から行政指導を受けたが、同社はこれを放置。2011年2月、一帯の約120ヘクタールをZEN社のオーナー、麦島善広氏の名義で売買している。
 新幹線ビルディングの天野二三男社長は『自分の責任ではない』(代理人を断った弁護士談)と話し、麦島氏サイドも『(購入時点で)残土の存在は知らなかった』と責任を否定している状態だ」
 「災害の翌日に岩戸山に入り、ドローンで撮影した地質学者の塩坂邦雄氏によれば、太陽光発電などの工事によって土地は保水力を失った。さらに、発電所の導入路となっている道が樋のような役目をして、雨水は残土に流れ込んだ。このことによって残土が大量に滑り落ちた可能性を、静岡新聞など複数のメディアの取材に対して述べている。
 太陽光発電所をよく見ると、草が全く生えていない。シートを覆っているか、固めているように見える。シートの場合は、これは雑草が生えてくるのを防ぐ『防草シート』と言われるもので、たまに太陽光発電事業者でも重宝する業者がいる」
 現場の写真を見ると、盛り土より高い位置にある尾根に、森林を伐採して太陽光パネルを並べ、その土地に草が生えないように施工してあるのがわかる。天から降った大量の雨は、はげ山状の発電所から斜面を流れ落ち、盛り土の中を通り、強い水圧によって土石流を引き起こしたと考えられる。
 7月14日産経新聞は、盛り土と太陽光発電場所の両方に関わる新たな情報を伝えた。盛り土工事を届け出た会社から土地が現在の所有者に移った平成23年2月以降にも、何らかの土地改変工事が行われていたとみられることが、静岡県の調査で分かったというのである。市の指導で現所有者側が行ったとの情報もあり、難波喬司副知事は「根治療法をしないとだめだったのに、対症療法で表面だけ直したというのが実態ではないか」と分析した。届け出を超える違法な盛り土が長年見過ごされた可能性が出てきたと産経新聞の記事は伝えた。
 産経の記事は所有者名を伏せているが、麦島善広氏であることは既報のところである。麦島氏は、太陽光発電所の業者である「ZENホールディングス」(東京都千代田区)のオーナー。盛り土は、系の不動産会社、新幹線ビルディングから購入したもの。記事は、この会社名も伏せている。
 麦島氏側は、「(購入時点で)残土の存在は知らなかった」と以前に答えていた。市の指導で麦島氏側が土地改変工事を行っていたとのことゆえ、知らなかったというのはウソだったわけである。
 静岡県にしても熱海市にしても、今回の盛り土の工事や太陽光発電所の施行・管理をしている悪質な業者に対して、行政としての執行力が弱い。そのままにしておくと、大雨や台風の時にどういう結果になるか。責任意識が弱すぎるのではないか。多くの人命と財産が失われた土石流災害について、県や市の不作為も問題になるだろう。
 天災の中に人災あり。人災の中に違法行為・不正行為あり。人間の心を改めないと、災害は防げない。
 日本を正すには、天地自然の法則を理解して従う知恵と、我が身を思うように人々を思いやる仁愛と、正しいことを貫き曲がったことを許さない勇気が必要である。これらを合わせて、知仁勇という。伝統的に「三種の神器」が象徴すると考えられてきた徳目である。日本人が知仁勇を発揮し、精神的に向上・進化することによってのみ、日本の社会の浄化と国家の再建は可能である。

 以後、随時掲載。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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仏教183~GLA、幸福の科学

2021-07-20 10:05:41 | 心と宗教
・GLA
 GLAは、God Light Associationの略称で、仏教の影響を強く受けた新宗教団体である。
 開祖の高橋信次は、10歳の時、原因不明の病気で生死の境をさまよった際に、臨死体験をしたという。それがきっかけで、宗教に関心を持つことになったらしい。町工場の経営者をしていたが、1968年(昭和43年)に自分や親族に霊的な現象が現われ、その話を周囲に語るようになった。高橋や彼の話に関心を持って集まった者たちには、先祖の霊だけでなく、古代エジプト、古代インド、イスラエル、伝説のアトランティス大陸等の霊が現れ、それぞれの時代の言葉で霊言を語ったという。極めて優秀な言語学者であっても、古代の外国語を聴いて、それがどこの言葉だと判断し、その内容を理解することはできないだろうから、事実とは到底認められない。だが、高橋はこうしたオカルト的な状況において、真の自分の魂に目覚め、宇宙を貫く法である「正法・神理」に到達したという。翌年、大宇宙神光会を始め、1970年(昭和45年)、GLAに改称しに。
 GLAのGは、Godの頭文字だが、高橋の教えは、キリスト教よりむしろ仏教に基づくものである。釈迦の説いた八正道を、各人の魂の成長及び地上の調和のための方法とし、その実践を説く。特徴的なのは、仏教的な教義を独自の霊界論と結び付けている点である。高橋は、各人の魂は死後、その魂が神から受けた光の量に応じた地位に赴くとし、霊界の階層的な構成を語った。その内容は、大乗仏教で説かれるものとは大きく異なり、またエマヌエル・スヴェーデンボリの霊界物語やフレデリック・ウィリアム・ヘンリー・マイヤースの霊界通信とも異なっている。霊界を語る者は、みな言うことが違う。いずれにしても客観的に検証できない事柄に関する話である。
 高橋は、仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラーム教は、みな天上界の指導によって作られたものとし、それらの統合を目指した。自分の前世は釈迦だと称し、多くの会員から釈迦の化身とみなされていた。だが、高橋は、死の直前に自身をエル・ランティーと称した。この言葉は、真のメシアを意味し、高橋はイエスやモーゼを指導したり、守護する立場にあるという。
 高橋は、すべての不幸の原因は自分自身にあり、生活の不調和がもたらしたものであって、心が調和していれば、病気もなく神仏に守られると説いた。だが、自分が病気にかかって、48歳で死亡した。その教えに基づくならば、原因は心の不調和となるであろう。また、一般的に見て、早死である。
 高橋は、晩年、娘の佳子を後継者と定めた。彼の死後、当時19歳だった高橋佳子が法の継承者となった。佳子は、『真創世記』シリーズを出版して注目を浴びたが、後年、SF作家の平井和正が自分が書いたものであることを明らかにした。また、佳子は「父、高橋信次の教えは無意味である」などと発言し、教団の内外に波紋を生んだ。佳子のもと、GLAは、表面的には宗教色を薄め、スピリチュアル・ムーブメントの団体のような様相を呈している。
 GLAには、政治を通じた社会変革を目指すような主張や活動はなく、政治的な関心は低いと見られる。

・幸福の科学  
 幸福の科学は、仏教の影響を強く受けた諸宗教混交型の新宗教団体である。
 開祖の大川隆法は、東京大学卒の商社マンだったが、霊的な現象を体験するようになり、1986年(昭和61年)に幸福の科学を設立して、その総裁となった。幸福の科学は、1991年(平成3年)に宗教法人となる前後から急成長した。
 大川は、GLAの高橋信次の著作から大きな影響を受けたという。高橋には仏教の強い影響が見られるが、大川もまた独自の「仏法真理」を説く。幸福の科学は、『仏説・正心法語』を根本経典する。仏説と称するが、釈迦自身が説いたものではなく、これを釈迦仏の啓示によって書かれた経文であるとし、「仏教の経典の1万倍以上の功徳がある」とする。このことは、大川は自分が釈迦より上だと考えていることを示す。
 幸福の科学の信仰の形態は、「仏宝」「法宝」「僧宝」の「三宝」に帰依することだという。仏宝とは、「現成の仏陀」にして、「エル・カンターレ」の法を説く大川を意味する。法宝とは、大川の教えであり、僧宝とは、「エル・カンターレ」の法を護持する集団だとする。
 「エル・カンターレ」とは、幸福の科学の本尊であり、「地球の至高神」の名であり、「地球の光」を意味するという。エルはスペイン語の男性定冠詞であり、カンターレはイタリア語で「歌う」を意味する動詞である。文法的には、動詞には定冠詞はつかないので、カンターレは同音の名詞とも考えられる。
 カンターレは、高橋信次が釈迦の魂グループの霊界での名称としたものである。大川は、それを地球神の名称とした。釈迦や地球神に関する名称が、スペイン語とイタリア語の単語の結合となっている。また、宇宙神ではなく、地球神というローカルな神格である。
 幸福の科学では、エル・カンターレは、さまざまな名前で世界の多様な民族や宗教を指導してきたとする。キリスト教の主なる神、ユダヤ教のエローヒム、イスラーム教のアッラー、儒教の天帝、仏教の久遠実成の仏陀、神道の古事記以前の天御祖神(あめのみおやがみ)は、すべて同一の存在であり、エル・カンターレのことだと説く。
 幸福の科学の信仰は、「エル・カンターレ信仰」だとする。「エル・カンターレ信仰」とは「地球神の存在を認める」という信仰だという。そして、大川は、エル・カンターレの中核であり、「本体意識」であるとする。
 大川が大きな注目を受けるようになったのは、霊言による。この点にも、高橋の影響が見られる。大川は、故人だけでなく現存の人物の霊までもが、大川を通じて自分の考えや思想を語ったとして、多数の『霊言集』を出版している。その霊言には、もし霊の本人が語っているのであれば、間違えるはずのない事実の違いが見られたり、本人が語るはずのないような内容が多く含まれている。大川隆法の長男・宏洋は、この霊言が実際は演技であることを明らかにした。霊が語ったとする内容は、スタッフが調べた情報をもとに大川が語ったもので、事前の調査が不十分だと、霊言の内容に影響するという。霊言集には、天照大神や昭和天皇の霊言と称するものもあり、冒涜・不敬だという批判を受けている。
政治的には、保守的・愛国的な主張を活発に行っている。創価学会の公明党に対抗して、2009年(平成21年)に幸福実現党を設立し、政界への進出を図っている。公認地方議員は35名(2019年4月現在)となっているが、国政選挙では当選者を出していない。
 幸福の科学は、信者数を1200万人と称し、創価学会を抜いたと公言している。だが、幸福実現党が国政選挙の比例投票で獲得するのは約20万票であり、得票率の0.3%である。それをもとに考察すると、実際の信者数は10万人単位の規模と考えられる。
 大川隆法は、元妻の大川きょう子について、かつてその過去世は「美の女神」アフロディーテ、ナイチンゲール、文殊菩薩だったと賞賛していた。だが、夫婦仲が悪くなると、教団は、大川きょう子を、三宝帰依違反、主エル・カンターレを汚した行為、霊言への愚ろう行為等を理由として、永久追放の懲戒処分とした。離婚後、大川隆法は、29歳年下の女性と再婚している。大川は、元妻を裏切りの悪魔ユダと呼んでいる。また、息子たちが自分の意に沿わなくなると、長男を悪魔、次男を妖怪、三男をカラス天狗と蔑称している。
 だが、こうした教団に入信し、大川を神と仰ぎ、その霊言を信じる人々が、今も多数おり、熱心に活動している。

 次回に続く。

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熱海の土石流災害は人災の側面が大きい1

2021-07-19 10:07:26 | 時事
●人災の可能性大~残土処分の盛り土と太陽光発電所

 7月2日から東海や関東甲信越地方で激しい雨が降り、3日、静岡県熱海市の伊豆山地区で大規模な土石流が起きた。7月18日現在、住宅などおよそ130棟が被害を受け、15人が死亡し、行方不明者は14人となっている。
 この土石流災害は、起こるべくして起こった人災という側面が強く浮かび上がっている。キーワードは、残土処分の盛り土と太陽光発電所である。
 まず盛り土である。凄まじい土石流は、起点となった斜面で施工されていた大量の盛り土が崩落して起こった。起点の斜面は神奈川県の不動産会社が取得し、盛り土の工事を熱海市に届け出、同社が2011年頃までに、静岡県土採取等規制条例に基づき、建設現場などで生じた残土の処分を目的に土砂を搬入した。約10年前である。土石流はこの現場が起点となった。
 東京電機大の安田進名誉教授(地盤工学)は、次のように語った。「土石流が始まった上流側のところで大きく崩れている。それが自然に起きる土石流とちょっと違うと感じた」「溶岩も結構、割れていて水が通りやすい。そこに盛り土をしたら水の道をふさいでしまう。盛り土の作り方、条件が悪かったら雨でも崩れてしまう」「現場は火山が近くにあり、火山灰や噴出物が広く堆積していると考えられる。もともと斜面は崩れやすく、土石流も発生しやすい場所だった」
 静岡県の難波喬司副知事は、国土交通省出身の土木技術者であり、「盛り土の工法が適切であったかというと、副知事としてではなく技術者の個人的見解として、この工法は不適切であっただろうと思います」と発言した。県が行った調査では、盛り土を作る場合に必要とされる水を抜くための排水溝や管がなく、また土砂の流出を防ぐ「えん堤」が設置されていなかったと指摘した。
 残土の崩落事故は全国で起きており、問題になってきた。赤羽一嘉国土交通相は、「全国の盛り土自体の総点検をする方向で考えていかないといけない」と述べ、全国調査を検討する考えを示した。
 次に太陽光発電所である。土石流の起点付近に大規模太陽光発電所(メガソーラー)が設置されている。盛り土のある斜面の上の尾根に、太陽光パネルが敷き詰められている。
地質学者の塩坂邦雄氏は、次のように語った。「尾根部の開発を行ったために、今まで保水力のあった森が無くなったので、(雨水が)流出したんです」
 梶山弘志経済産業相は、次のように語った。「まだ断定していないが、場合によっては、(太陽光発電所の)工事によってどういった地形や地層、水脈の変化があったかを含めて調査していくことになる」と述べた。太陽光発電設備の事業者に対し、聞き取りを実施する方針を示した。
 元環境相・細野豪志衆院議員(静岡5区)は、次のようにツイートした。 「熱海の土石流の崩落地を調査した人から動画が送られてきた。崩落地の縁からメガソーラーまでの距離は、行った人の話で20mから30m(略)。メガソーラーの尾根の崩落はなさそうだが、設置部は保水力が無くなるので動画を見る限り無関係とは言いきれないのではないか。やはり調査が必要」
 小泉進次郎環境相は、土石流の起点付近に太陽光発電設備が設置されていることから、山林開発などを伴い災害を引き起こす恐れのある太陽光発電所の立地規制を検討すると表明した。
 毎日新聞は、7月7日の記事で次のように伝えた。
 「以前に土地を所有していた会社は2009年、厚さ15メートルの盛り土をするとの計画を示していたが、20年の地形データによると、約50メートルまで積み上がっていた。この会社に対しては再三、行政指導をしていたという。
 盛り土のあった土地は06年、現在の所有者と異なる会社が取得した。この会社は07年、約3万6000立方メートルの盛り土をする届け出を熱海市に提出して受理された。その後、林地開発許可違反が判明し、県は是正を指導。是正後の09年から土砂の搬入を始めたものの、10年に盛り土に産業廃棄物(木くず)の混入が判明し、県と熱海市が撤去を求めた。市は工事の中止なども要請していた。この会社は中止要請に応じないまま、土地所有者は11年に別の個人に変更された」
 それにしても悪質な業者である。県や市は行政指導や工事中止要請をしたが、従わなかったのである。

 次回に続く。

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仏教182~仏教の影響が強い団体:オウム真理教

2021-07-18 10:05:47 | 心と宗教
◆仏教の影響が強い団体

・オウム真理教
 オウム真理教は、仏教の影響を強く受けた新宗教団体である。
 開祖の麻原彰晃(本名松本智津夫)は、1984年(昭和59年)にオウム神仙の会をはじめ、ヨーガの指導を中心に活動していたが、自身を最終解脱者であると称し、 1987年(昭和62年)にオウム真理教と改称した。
 オウム真理教は、ヒンドゥー教のシヴァを主神とし、ヨーガの修行を行う。オウムの名は、インドの聖音オームによる。だが、教義は仏教の影響を強く受けており、ヒンドゥー教に原始仏教、大乗仏教等の思想が混合しており、教えの中心は無常と煩悩破壊にある。
 オウム真理教は、修行によって様々な超能力が得られると説き、イニシエーションと呼ばれる秘儀を行って、若者を中心として信者を集めた。麻原は1980年(昭和55年)に阿含宗に入信して修行をしており、修行法や思想に阿含宗の影響が見られる。
 阿含宗以上に影響が大きいのは、チベット密教である。麻原は、ダライ・ラマ14世と1987年(昭和62年)と1988年(昭和63年)に会談した。ダライ・ラマ14世は、麻原と会談した場で、「彼と会うことを楽しみにしている」「仏教の修行に対する彼の強い欲求に感銘を受けている」「古くからの友人である彼が成功し、より多くの利益が他の人にもたらされるように、いつも祈願している」と語った。また、オウム真理教から1億円に上る布施を受けている。1989年(平成元年)にオウム真理教が東京都で宗教法人格を取得するに当たっては、東京都に推薦状を提出してオウム真理教を支援した。
 チベット密教で「生き仏」とされるダライ・ラマ14世は、麻原の危険性・凶悪性を見抜けなかったわけだが、オウム真理教は既に教団内部で死亡者を出すなどの問題を起こしていた。オウム真理教被害者の会の会長となった坂本堤弁護士は、1989年(平成元年)に教団信者に襲われ、妻子ともども殺害された。麻原は、自分や教団に都合の悪い人間を殺害することを、チベット仏教で「死後の意識の移し変え」を意味する「ポア」と称して、宗教的な救済だと意味づけて、幹部や信者に指示した。また、毒ガスのサリンを製造するなどして、教団を過激組織化した。この間、真理党という政党を作って、1990年(平成2年)の衆議院選挙に出て世間の耳目を集めたが、大惨敗に終わった。
 オウム真理教は、サリンを使って最初に池田大作創価学会名誉会長を殺害しようとした。麻原が創価学会を敵視していたからである。だが、この襲撃は失敗した。その後、オウム真理教は、1994年(平成6年)に松本サリン事件を起こし、さらに1995年(平成7年)に地下鉄サリン事件を起こした。これらの凶悪犯罪によって、麻原をはじめ多数の幹部が逮捕された。翌年、教団は東京地裁より解散命令を受け、宗教法人格を失った。
 地下鉄サリン事件は、無差別大量殺人事件だった。しかも、背後には、国家中枢を攻撃する大規模なテロ計画があった。オウム真理教は、サリンを散布するために、ロシアからヘリコプターを購入していた。だが、それにもかかわらず、破壊活動防止法は適用されなかった。オウム真理教は、公然と活動を継続した。教団への社会的な批判が強まると、オウム真理教は1999年(平成11年)に休眠宣言をした。それで活動を停止するかと見られたが、2000年(平成12年)に名称をアレフに変更して存続を図った。アレフは、ヘブライ語のアルファベットの第1文字である。ギリシャ語のアルファに当たる。オウムはインドの聖音オームに基づく名称だったが、今度はユダヤの言語に転じたわけである。
 改称後の団体アレフは、アーレフに再度名称を変えた。オウム真理教の教義からヨーガや仏教に関するものを継承し、シヴァ神及び諸仏を崇拝の対象としている。オウム真理教の広報責任者だった上祐史浩は、2007年(平成19年)にアーレフを脱会し、新団体「ひかりの輪」を設立した。他に「山田らの集団」も分派した。オウム真理教の後継団体及び分派団体は、一連の事件をきっかけに1999年(平成11年)に制定された「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)」による観察処分を受け、公安調査庁の監視下にある。また問題を起こせば、再発防止処分が下される。
 裁判の結果、麻原は2016年(平成28年)に死刑の判決を受けた。2018年(平成30年)に麻原及び事件に関わった教団の元幹部ら計13名の死刑が執行された。
 裁判で麻原はほとんど陳述を行うことがなく、異常な言動が目立ったという。裁判は、北朝鮮・ロシアとのコネクション、赤軍派との関係、政治家の関与等、重要な部分については、何一つ解明することなく終わった。事件の真相は、歴史の闇の中に沈んでいる。

 次回に続く。

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無様な姿を世界にさらす日本~新型コロナ対応の迷走と東京五輪の無観客開催

2021-07-17 08:38:45 | 日本精神
 私は本年の年頭に、中国武漢発の新型コロナウイルスの問題について、「昨年12月から欧米でワクチンの接種が始まり、本年はワクチン投与が各国に普及していくと見られますが、その一方で変異種が発生して世界各地に感染を広げており、人類がこのウイルスに打ち勝てるかどうかが、世界経済から国際情勢を左右することになるでしょう」と述べ、「わが国にとっては、昨年から本年に延期された東京オリンピック・パラリンピックが無事開催できるかどうかが、大きな課題です。このスポーツの祭典の実現を通じて、日本の伝統・文化・国柄の素晴らしさが世界の人びとに、より深く知られることを願います」と書いた。
 以後、新型コロナウイルスの脅威の終息と、東京オリンピック・パラリンピックの無事開催を願い続けて来た。だが、新型コロナへの取り組みと東京オリンピックの対応で、わが国は大変まずい状態に至ってしまった。
 ワクチンの接種の進むヨーロッパでは、サッカーの欧州選手権やテニスのウィンブルドン選手権が、有観客で大いに盛り上がった。アメリカでは、メジャーリーグ・ベースボールの満員の球場で大谷翔平選手が大活躍する姿が、毎日放送されている。
 これに比べて、欧米より新型コロナによる死者が圧倒的に少ないにも関わらず、我が国はまた首都に緊急事態宣言が出されることになった。4回目である。期間は、東京オリンピックの開催期間に重なる。今回のオリンピックは、東日本大震災から復興した姿を世界に見せる復興五輪のはずだった。また、菅義偉首相は「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして実現する」という意義を繰り返し述べてきた。だが、結果として、オリンピックを主に無観客で行うことになった。復興を十分出来ず、コロナも克服出来ないでいる日本の無様な姿を世界にさらすことになったのは、誠に残念である。
 6日後の7月23日、東京オリンピック2020の開会式が行われる。1964年の東京オリンピックは、敗戦からの奇跡的な復興と、日本の成長可能性を示す場となり、日本人は誇りを高めた。半世紀を過ぎて再び東京で行われるオリンピックは、今のままでは、挫折と失望の大会となるだろう。パラリンピックは8月24日開始だが、その余波を受ける可能性が高い。
 こうした現状の原因は何か。私は、日本人が1964年の東京オリンピックの時には持っていた団結力を失ってきたことにあると思う。本来は、敗戦によって失った日本人本来の精神、日本精神を取り戻し、東京オリンピック以降、一層の団結力を発揮して前進・向上すべきところ、逆に、米欧の個人主義的な価値観や中国・韓国等の反日思想が社会に浸透し、国民が精神的に分裂状態に陥ってしまっている。そのため、政治や経済、教育、家庭等に深刻な危機が生じている。
 この根本のところを反省し、再出発しないと、日本は衰退・自滅の道を進み続けるだろう。

関連掲示
・拙稿「2020年東京オリンピックに向けて、日本の心を取り戻そう」2014.10.31
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion04e.htm

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スーパースター・大谷翔平の愛読書は、渋沢栄一の『論語と算盤』

2021-07-16 10:06:48 | 日本精神

 大谷翔平選手が 7月13日 MLB オールスター戦に史上初めて二刀流で出場。1番・DHでスタメン入りし、先発投手として1回を三者凡退に打ち取り、見事勝利投手に。打者としては2打席無安打に終わったとはいえ、前日のホームランダービーではトーナメント初戦で再延長まで打ち合う激闘。敗れはしたものの大活躍しました。
 この大谷選手の愛読書が、現在NHK大河ドラマの主人公となっている渋沢栄一の名著『論語と算盤』なのだそうです。日本ハムの栗山英樹監督に勧められたとのことです。渋沢栄一の玄孫、渋沢健氏が AERA の記事でこれにまつわる秘話を語っています。
https://dot.asahi.com/dot/2021070900085.html?page=1




 以下は、マイサイトに掲示している拙稿「私利を超え、公益を追求した渋沢栄一」2002.5.1 です。
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 生涯に関与した事業は実に千を数え、さらに千あまりの社会事業・文化事業に貢献した巨人。それが渋沢栄一です。渋沢は、日本資本主義の草創期に、その基盤づくりを強力に推し進めました。日本最初の銀行を設立し、近代的な金融制度を実現したことをはじめ、紡績、保険、製紙、鉄道、郵船等々、彼が創設・経営した事業は、枚挙にいとまがありません。もし明治の日本に、渋沢というたぐい希な人物が出なかったら、日本の近代化は、これほどの成功をみなかったでしょう。
 渋沢栄一は、天保11年(1840)現在の埼玉県深谷市に、豪農の長男として生まれました。彼は7歳から儒学を学びました。そこで出会った『論語』が、彼の人生の規範となりました。
 元治元年(1864)、24歳の渋沢はその非凡な能力を見出され、一橋慶喜の家臣に取り立てられました。農民から武士になった渋沢は、一橋家の立て直しを成し遂げます。また慶喜が将軍となると、ブレーンとして将軍を支えました。慶応3年(1867)には慶喜の弟・昭武について、パリの万国博覧会に派遣されました。そしてヨーロッパ諸国で約1年間、近代資本主義の実態を徹底的に見聞しました。
 滞欧中に明治維新が起こり、帰国を余儀なくされた渋沢は、維新の元勲たちに請われて、新政府の大蔵省に任官しました。当時、新政府は深刻な財政危機にありました。渋沢はこれを解決するため、欧州仕込みの新知識に基づく、大胆・斬新な財政改革を提言しました。しかし、その提言は用いられず、明治6年(1873)、渋沢は約3年半いた政府を去ることを決意しました。
 このとき辞職をとめようとした友人に対し、渋沢は次のように答えました。
 「元より金を溜める為に辞官はしない。一体実業家が今日の如く卑劣で、全く社会の尊敬を受けぬと云ふのが抑々(そもそも)間違って居る。欧米では決して官商の懸隔が斯(かく)の如きではない。日本を早く官商同等の地位に進めなくては、到底実業の進歩する見込みがない。日本の商人が今日の如く社会の軽蔑を受けるのは、一つは封建の余弊でもあらうが、一つはまた商人の仕打ちが、甚だ宜しくないからである。予不肖ながらこの此風矯正のために一身を捧げたい。
 宋の趙普は論語の半部を以て天子を輔(たす)け半部を以て身を修めといって居るが、予は論語の半部を以て身を修め、半部を以て実業界を救ひたい覚悟で居る。どうか先を永く見てゐて呉れ。……
 その時、論語と云ふことを固く云ったのを今も能(よ)く記憶して居る。予が行往坐臥、事業を経営するも、事を処するも、是非論語に拠(よ)ろうと堅く決心を起こしたのは、此時の事である」と、渋沢は記しています。
 こうして、渋沢の新たな挑戦が始まりました。その後、約60年間、民間にあって彼が成し遂げた偉業は、前代未聞・空前絶後のものでした。
 彼の超人的な活動を支えた思想を一言でいうと、「論語と算盤(そろばん)」です。『論語』は東洋の伝統的な道徳を説くものです。これと「算盤」つまり経済的な利益とは一見、無縁です。しかし、渋沢は『論語』にある経世済民の考え方を、近代的な経営に生かし、道徳と経済は常に一体であると唱えました。
 渋沢は「利益を棄てたる道徳は真正の道徳でなく、又完全な富、正当な殖益には必ず道徳が伴はなければならぬ筈のものである」としました。資本は利潤の追求を目的とします。しかし、渋沢は、私的な利益は「公益」の追求の結果でなければならないと考えました。
 「勿論(もちろん)、当該会社の利益を謀(はか)らねばならぬが、同時に之によって国家の利益即ち公益をも謀らねばならぬ」「社会に利益を与へ、国家を富強するは、やがて個人的にも利益を来す」「私利私欲の観念を超越し、国家社会に尽くす誠意を以て得たる利は、是れ真の利と謂ふを得べく」と渋沢は、説いています。
 渋沢は、自分の言葉を文字通りに実行しました。第一国立銀行(現在はみずほグループ)、東洋紡、東京海上火災、王子製紙、日本鉄道会社、日本郵船会社等、彼が創設・経営・支援した企業は、彼の公共精神によって起こされたものです。渋沢はまた、今日の商工会議所をつくり、企業家が協力して社会に貢献する仕組みをつくりました。そして、渋沢は、事業によって得た利益を社会に還元しました。帝国劇場・日仏会館・一橋大学・日本女子大学など、渋沢の寄与は幅広く、文化・教育にも及んでいます。また、浮浪者の施設である東京養育院の院長も50余年務め、そこに私財を投じています。
 こうした彼の姿勢は、彼が渋沢の名をもつ財閥や企業グループをつくらなかったことにも、よく表れています。
 渋沢が実践した、私を超えて公に尽くす奉仕の精神は、日本人の精神の特徴です。それゆえ、私たちは、伝統的な日本精神を近代社会に応用した見事な実例を、渋沢栄一に見ることができるのです。
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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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「中国はどういうシナリオで台湾・尖閣を攻めるか」をアップ

2021-07-15 10:06:32 | 国際関係
 6月24日から7月13日までブログに連載した拙稿「中国はどういうシナリオで台湾・尖閣を攻めるか」を編集して、マイサイトに掲示しました。通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-17.htm

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仏教181~念法眞教、孝道教団

2021-07-14 10:13:09 | 心と宗教
◆天台宗系

・念法眞教
 念法眞教は、天台宗系の新宗教団体である。
 開祖の小倉霊現は、幼少期から様々な不幸を経験し、霊媒師の樋口セイに帰依して心霊現象に傾倒した。1925年(大正14年)に、夢で阿弥陀仏から託宣を受け、大峰山で修験道の修行をした後、1928年(昭和3年)に神仏心霊感応会を発足した。その後、神仏習合の教義を整え、1939年(昭和14年)、天台宗の傘下に入って、天台宗金剛教会と改称した。戦前は、新体制運動・翼賛思想を鼓舞して教勢を拡大した。
 敗戦後、1947年(昭和22年)小倉山金剛寺の名で天台宗から独立し、1952年(昭和27年)に念法眞教に改称した。新宗教団体だが、伝統的な教団が集まる全日本仏教会に加盟している。
 教義は、神仏祖先を敬うこと、人や国への報恩等を人として行うべき誠の道とする「五聖訓」を説く。極楽浄土をこの地上に遷し、この世を楽しく住みよいものとするために、現世浄土を建設することを目標とする。
 保守的・愛国的で、共産主義の脅威を訴え、国を愛することと国を守るべきことを主張し、北方領土の返還、愛国心の滋養等を訴えている。日本会議に参加している。

・孝道教団
 孝道教団は、天台宗系の新宗教団体であるが、霊友会から独立した法華経系の在家主義教団でもある。
 開祖の岡野正道は、1918年(大正7年)に出家して天台宗の僧侶となった。だが、その後、寺を出て、僧籍のまま電器商を営んだ。1935年(昭和10年)に妻の貴美子とともに霊友会に入信し、理事となった。だが、小谷喜美の性格・言動に反発して、夫婦で脱会し、1936年(昭和11年)に孝道会を設立した。敗戦後、1946年(昭和21年)に、教団名を孝道教団と改めた。もとは天台僧だった岡野正道は、立教後、天台宗との関係を強めた。
 孝道教団は、天台宗と日蓮宗の教義を融合した教義を持ち、最澄の理論と日蓮の実践を合わせ持つのが、岡野正道であると説く。正法大曼荼羅を本尊とし、法華三部経を経典とする。『法華経』を熟益正法とし、『法華経』の教えは「慈しみ」「思いやり」「友情」の心を持って、日常を生きることだとする。また、国の宝となる菩薩を一人でも多く育てることを、現代社会において達成することを目的とする。
 霊友会は先祖供養を中心とするが、孝道教団は祖先供養を孝行の大本とし、それが救いの端緒であると説く。
 「孝道」には、過去・現在・未来の世代を貫く縦の道と、人類からすべての生あるものに広がる横の道があるとする。父母・祖先に対して子として孝養を行い、また子孫の幸せと繁栄を念願することが縦の道であり、友人・知人をはじめ、生きとし生けるものに慈悲の心を持って生きることが横の道である。さらに「孝道」は、宇宙法界の真理に従う「孝順至道の法」であり、真理を説く「法華経」の教えに一致する実践道だとする。
 「孝」とは、シナの家族道徳であり、儒教の徳目の一つである。儒教の経典に『孝経』がある。シナの仏教は儒教の孝を取り入れ、孝は儒教化した仏教の教えの要素となった。そうした仏教が日本に伝来した。仏教が民衆に広がると、孝の実践としての先祖供養を仏教の儀礼で行うようになった。仏教の教団である孝道教団が孝道を説くのは、シナ及び日本の仏教の一つの特徴を表している。
 政治的には保守的だが、目立った活動は見られない。

 次回に続く。

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中国はどういうシナリオで台湾・尖閣を攻めるか10

2021-07-13 10:08:24 | 国際関係
 最終回。

●米国防総省の報告書に基づくシナリオ(詳細 続き)

④侵攻要領に関する分析

 侵攻要領については、以下の様々のケースが考えられる。

要領1:超限戦の全面的活用
要領2:政治統合を主に武力行使で威嚇
要領3:武力行使

 これらの可能性については、要領1は常に平時からあらゆる方法で長期にわたり執拗に行われるとみるべきであろう。
 要領2は、表向き歴代共産党政権も習近平も表明している方針であり、その可能性は高い。しかし、特に習近平政権になってからは、要領3のあからさまな武力行使を示唆する軍事的な圧迫や武力の誇示が目立つようになっている。
 その意味では、要領3の可能性の方が高まっていると言えよう。
 超限戦については、非軍事の経済、金融、貿易、情報、技術、政治、文化、教育などあらゆる分野で、あらゆる文明の利器を逆用して展開される。戦争ではない軍事行動も含まれる。
 特に尖閣諸島に対しては、サラミスライス戦術による既成事実の積上げ、政財界、メディア、学界などへの影響力行使作戦による抵抗意思の剥奪、法律戦、歴史戦、フェイクも交えた輿論戦による正当化と日本国民の間の反発意識の低下などに注意が必要である。
 台湾侵攻に際しても、すでに現在活発に行われている。
 例えば、サイバー攻撃、選挙介入、フェイクニュースによる輿論操作、対中融和派への支援による分断工作、旅行者の制限による圧力、台湾企業の大陸経済へ取り込み、技術の移転強要と窃取、人の往来を通じた懐柔と獲得工作など多方面にわたり活発に行われている。
 このような状況は今後も継続し、台湾の独立派に無力感を与え、国民党など融和派を政治的に盛り立て、両岸間の政治協定締結など、政治的な併合を目指すとみられる。
 その点では、ケースbとケースaは一体であり、その最終目標が台湾の政治統一にある。しかし、その背後には軍事的恫喝が必ずともなっており、ケースcにも通じている。
 しかし、習近平政権は、台湾も尖閣諸島も「核心的利益」とする立場を取り、いずれも「太平洋に出るための大門を閉ざすかんぬき」であり、武力行使をしてでもいずれ奪還すべき固有の領土である、それらの奪還が無い限り「祖国の統一」もなく、「偉大な中華民族の復興」もない、そのために何よりも「強軍の夢」が果たされねばならないとの姿勢を鮮明にしている。
 しかも、2035年までに「強軍の夢」の中間目標を達成するとしており、世界一の軍隊建設の途上での最大の中間目標とは、具体的には台湾統一、尖閣奪取を意味しているとみるべきであろう。
 これまでの習近平政権の方針や行動を分析すれば、ケースcこそが本音であるとみて、それに備えることが必要である。

◆まとめ:ありうる侵攻シナリオと様相
 
 諸要因の分析から最も蓋然性が高いとみられるシナリオは概略以下の通りとなろう。
 2020年夏以降随時、尖閣諸島に対するサラミスライス戦術を併用した着上陸を含む奇襲侵攻は起こりうる。しかし、その目的は日米台の対応とその間の連携を見極めることにあり、事態は政治的外交的に解決される可能性が高い。
 その後、緊張緩和ムードを盛り立てて、日米台の国防力整備を遅延させつつ、台湾・尖閣同時侵攻に必要な着上陸戦力、それを支援する海空、ミサイル戦力の増強、民間力の動員態勢の整備などを行い、侵攻準備を進めるであろう。
 他方では、米国の選挙、台湾と沖縄の輿論などを主な標的として、『超限戦』を進め、選挙介入、サイバー攻撃、フェイクニュースの流布、政財学界要人への影響力工作など、あらゆる手段を駆使して、対中融和政策の推進、日米台の国防力強化の妨害を試みるであろう。
 なお在韓米軍については、韓国の左派政権下で米韓同盟が破棄され尖閣・台湾侵攻前に撤退しているか、同盟が有名無実となり戦力として空洞化している可能性が高い。
 戦いは、サイバー、宇宙、電磁波などの新ドメインでの先制打撃及び濃密な各種ミサイルによる台湾・南西諸島の米軍基地、日台の基地群に対する攻撃から始まるであろう。
 台湾本島と先島に対し、着陸侵攻も併用した立体的な多正面からの迅速な分散奇襲侵攻が行われ、短期間に主要都市を制圧し、占領の既成事実化を図るとみられる。
 特に、台湾から沖縄東岸沿岸部の努めて遠方に海空軍を進出させ、ミサイル火力などにより米空母部隊などの来援を遅延・阻止しつつ、在沖縄・在日米軍の早期制圧とグアム以東への撤退を画策するとみられる。
 台湾と沖縄では海空優勢をPLAが一時的に確保し、部分的に着上陸侵攻は成功し、日台の国土と住民の一部は一時的に占領下におかれる可能性が高い。
 数か月後には米軍のマルチドメイン作戦などの成果により、来援が可能になる可能性がある。それまでは、日台は独力で国土、国民を防衛しなければならないであろう。
 その際には日台の抵抗意思を挫くために中国が核恫喝をかける可能性が高い。
 また、住民を人質に取り、臨時革命政府の樹立と分離独立宣言、PLAに対する救援要請、それらに呼応した中国による独立承認とPLA後続部隊の本格上陸など、政治・外交戦も併行的に展開するとみられる。
 地上戦では長期のゲリラ戦が占領された島嶼でおこなわれ、日台ではそれを支援するための海空隠密輸送が必要になるであろう。
 同時に島内の残留住民の退避と保護が重要な課題となる。特に九州には台湾と沖縄の難民、避難民が多数流入することになるとみられる。
 最終的には日米台の反攻作戦により、PLA侵攻部隊は海空優勢を失い、戦力が枯渇し降伏を余儀なくされ、戦争は終結する可能性が高い。しかし、それまでには数カ月から場合により数年を要するかもしれない。
 以上は一つのシナリオに過ぎず、厳密な計数的検討やシミュレーションを経た結果ではない。
 また、様々の不可測要因があり、実際にどのようなシナリオと様相になるか、そもそも侵攻自体が起きるのかという問題もある。
 しかし、このような蓋然性の高いシナリオを予測し、計画を立て必要な防衛力を整備し、訓練を積んでおくことは、国防上必要不可欠であり、それが紛争の抑止力にもなることは間違いない。
 特に、ありうるシナリオに対して採るべき対応策が決まれば、それが実行できるような防衛力を整備しておくことは、火急の急務である。特に日本としては、尖閣への奇襲対処と安全保障分野での日米台の連携強化に努めなければならないであろう。

 筆者:矢野 義昭

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 以上が、矢野義昭著『中国が本格的に検討し始めた尖閣、台湾侵攻シナリオ』の全文である。
 これで、拙稿「中国はどういうシナリオで台湾・尖閣を攻めるか」を終結する。(了)

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仏教180~阿含宗、真如苑

2021-07-12 09:07:06 | 心と宗教
◆真言宗系

・阿含宗
 阿含宗は、真言宗系の新宗教団体である。
 開祖の桐山靖雄は、法華経等の大乗経典を学び、1954年(昭和29年)に観音慈恵会を設立した。密教を修めた桐山は、その後、幾度かの変遷を経て、1981年(昭和56年)に、これを阿含宗と改称した。
 この団体名は、桐山が初期仏教経典である阿含経典を学び、そこに釈迦が実際に説いた教えがあると考えたことによるもので、桐山は阿含宗を「仏陀釈尊の教団」と称する。だが、桐山の思想は基本的には密教によるものであって、阿含宗では阿含経典に説かれる成仏法を密教の方法で修行する。桐山は、密教の掲げる即身成仏の境地は、釈迦が説いた涅槃であるとする。大乗仏教の最後期に現れた密教が、初期仏教の教説を摂取し直したものである。阿含宗では、さらにこれにとどまらず、北伝仏教、南伝仏教、東伝仏教(チベット、ブータン)という仏教の全系統を釈迦の成仏法を核として総合したものを完全仏教と呼び、阿含宗は、世界で唯一の完全仏教の道を歩んできたと主張する。
 桐山は、精神世界や超能力のブームに乗じて、密教の修行によって変身し、超能力を発揮できるようになると説き、ハタ・ヨーガのクンダリニーや大脳生理学の知見を取り入れるなど、当時の流行を取り入れて、若者を中心とする人々の関心を引きつけた。教えから受ける一種斬新なイメージと、山伏の装束を着て護摩を焚く桐山の姿とのギャップの大きさが際立ち、話題になった。
 阿含宗では、毎年2月の節分に「炎の祭典・阿含の星まつり」を行っている。「星まつり」とは、密教の運命学に基づく儀礼で、山岳密教、修験道の大柴燈護摩供の伝統的な様式に則って行う。釈迦の「真正仏舎利」を仏界の本尊、素戔嗚尊を神界の主神とし、さらにブータン仏教伝来の大曼荼羅を祀り、完全仏教の力と古代神法を合わせた「神仏両界の秘法」を行うものだという。ここには、神道との習合が見られる。
 「星まつり」でいう「星」とは、自然界の天体のことではなく、運命学で人間の運勢に影響するものをいう。阿含宗では、密教占星術で悪い運命の「星」とされる悪因縁を30数種類挙げる。横変死、家運衰退、癌、中途挫折、夫婦縁障害、運気不定浮沈等の因縁である。そして、仏法は、これらの悪因縁を断ち切って、人間を自由にし、最高の運命を創造する究極の力を修行者にもたらすとし、その究極の状態が完全なる因縁解脱を成就して仏陀になることだとする。
 その説くところと実際が一致しているかどうかは、実証の有無とその程度を以って判断する必要がある。言葉で説くだけなら、誰でも言えるからである。

・真如苑
 真如苑も真言宗系の新宗教団体である。
 開祖の伊藤真乗は真言宗の在家修行者だった。1936年(昭和11年)に霊感を受けた妻の友司(ともじ)とともに宗教結社を作り、1938年(昭和13年)に真言宗醍醐派立川不動尊教会を立ち上げた。醍醐寺は、修験道の山伏の総元締めの役割を果たしていた。山伏の一人だった伊藤は、敗戦後、真言宗醍醐派から離れ、1948年(昭和23年)に、まこと教団を設立した。1951年(昭和26年)に、これを真如苑に改称した。真如苑は、高度経済成長期を過ぎた1970~80年代から急成長した。
 真如苑の教義は、伝燈法脈、『大般涅槃経』、真如霊能を三つの柱とする。伝燈法脈は、真言宗醍醐派の法脈を継承したもの。『大般涅槃経』は、真如苑の所依の経典であり、教えの根本とされる。真如霊能は、教主・真乗と苑主・友司の夫妻が家系的に継承した霊能が一体となり湧出したものとされる。これらのうち、真言宗系でありながら、『大日経』等の密教経典ではなく、『大般涅槃経』を重視していることは、特徴的である。
 真如苑では、「接心」と呼ばれる修行を行う。瞑想行のひとつで、これを通して、仏性が開発されるという。接心を指導する指導者は、「霊能者」と呼ばれる。修行を積み、霊位を高めると、霊能者と認定される。霊能者は信者と対座し、信者に対して、心を磨くために必要な指導を「霊言」として伝えるという。霊言の内容は、教えを再確認したり、先祖の不幸を聴き出したり、信者の健康状態を確認したりして指導するものである。信者は、霊言をもとに自己を反省し、日常生活の中で実践するという。それゆえ、接心は、修行であるとともに相談の場ともなっている。霊能者といっても、その指導は、神がかり的なものではなく、臨床心理学におけるカウンセリングに近いものと見られている。いわば、宗教的なカウンセリングである。
 真如苑は、接心による個人の精神的な救済を主たる活動とする。その活動を通じて、信者が自己の本質である仏性に目覚め、菩提の道を歩むことを目的とするという。
 真如苑は、山伏の密教修行者の在家団体から、現代人に受け入れやすいスピリチュアル・ムーブメントの団体に似たものへ変貌したわけである。現在も真言宗醍醐派の儀礼に則った護摩法要等を行っているとのことだが、教義には諸宗教・スピリチュアリズム・易等の影響が指摘される。
 新宗教団体の多くは、高度経済成長期に発展し、平成時代以降、信者数が半減またはそれ以上に減少していると見られる。その中にあって、真如苑は、高度経済成長期以後に発展し、信者数が増え続けている教団の一つとして注目されている。1995年(平成7年)に国内の信者数は公称数約73万人だったが、2017年(平成29年)末で約93万人と発表されている。その通りであれば、この約22年間で3割近く増加したことになる。
 真如苑は、接心だけに通う信者が多いようで、他の新宗教団体に比べて組織的な活動が目立たない。政治を通じた社会変革を目指すような主張や活動は見られない。政治的には保守的かつ穏健で、特定の支持政党はないと見られる。

 次回に続く。

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