ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

仏教186~日本の宗教人口と信者数、宗教意識

2021-07-26 08:49:20 | 心と宗教
●現在の日本仏教

#宗教人口と信者数
 現在、わが国には、18万以上の宗教法人が存在する。その多くは、神道系と仏教系である。神社は全国に約8万ある。一方、寺院は約7万ある。それらの多くが、宗教法人となっている。これ以外に、キリスト教系や諸教の宗教法人がある。
 文部科学省は毎年、宗教統計調査を行っている。この調査は、宗教法人数等について調査し、宗教法人及び宗教団体の名簿等、宗務行政上の基礎的資料を得ることを目的とする。
 平成30年度の宗教統計調査の結果、2017年(平成29年)12月31日現在のわが国の宗教人口は、系統別に次のようになっている。

 神道系     86,166,133
 仏教系     85,333,050
 キリスト教系   1,921,834
 諸教       7,743,714
 ―――――――――――――――――
 信者総数   181,164,7310

 信者総数が国民全体の人口より50%ほど多いのは、それぞれの宗教法人及び宗教団体が正確な数字を報告していないことが一つの理由だろう。実数より多い数字を公称数としている法人・団体が相当あると考えられる。また、対象となる個人を法人・団体が重複して数えていることが別の理由だろう。一人の人を神社の氏子であって、寺院の檀家でもあるとも数える場合が相当あると考えられる。この反面、各種調査で自分は「信仰を持っていない」と答える人が多くいる。回答者の6割以上になった調査結果もある。仮にそれを人口の6割で7000万人とするならば、残りは5000万人ゆえ、上記の信者総数はその3.5倍以上になっている。
 今日も日本の伝統的な仏教には、多くの宗派が存在する。18の宗派があるので、十八宗と呼ばれる。三論宗・法相宗・華厳宗・律宗・倶舎宗・成実宗・天台宗・真言宗・融通念仏宗・浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・臨済宗・曹洞宗・普化宗・黄檗宗・修験宗である。
 これらは、主に6つの系統に分けられる。包括宗教法人に関する報告資料によると、信者が多い順に次のようになっている。

 1位 浄土系     22,626,710
 2位 日蓮系     11,598,300
 3位 真言系      5,359,761
 4位 禅系       4,703,246
 5位 天台系      2,970,940
 6位 奈良仏教系      739,962

 それぞれの系統には、様々な宗派が含まれている。それを信者が多い順に並べると、次のようになる。

 1位 浄土真宗本願寺派 7,908,818
 2位 浄土真宗大谷派  7,780,331
 3位 浄土宗      6,021,900
 4位 日蓮宗      3,567,047
 5位 曹洞宗      3,460,468

 次に仏教系新宗教については、最大の信者数を有する創価学会は、信者数を公表していない。単位を世帯とし、国内に公称827万世帯を有すると称している(2019年11月現在)。宗教学者の島薗進は、創価学会員をおよそ380万人で国民の約3%と推計している(『大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA、 2019年3月刊)
 創価学会に次ぐ仏教系新宗教で本稿が注目する団体の公称信者数は、次のとおりである。

 立正佼成会       2,609,979
 霊友会         1,239,270
 真如苑           934,783
 念法眞教          504,112
 阿含宗本庁         369,620
 孝道教団          158,049

#日本人の宗教意識
 アメリカのギャラップ社が2006年から08年にかけて行った世論調査では、日本人のなかで信仰を持っている人間は25%で、対象となった世界143カ国のうち136位だった。日本より信仰率が低いのは、香港や北欧諸国などわずか7カ国だった。この調査結果によると、日本人の75%は「無宗教」ということになる。2008年にNHK放送文化研究所も加わっている国際社会調査プログラム(ISSP、International Social Survey Programme)が行った調査では、日本人の信仰率は平均で39%という結果だった。ほぼ同時期のギャラップ社の調査結果より、14ポイント高いが、6割近くが「無宗教」ということになる。
 宗教への熱心さという点では、多くの人がイスラーム教を思い浮かべるだろうが、聖地メッカを巡礼する信者の数は、年間で約200万人という。だが、明治神宮に参拝する人は、正月3が日だけで約320万人に上る。メッカの約1.5倍である。また、日本全国で9000万人の人が初詣をしている。仏教では、東京・浅草の浅草寺が参拝者の多いことで知られるが、浅草寺には年間約3000万人の参拝者が訪れる。メッカの15倍である。それゆえ、浅草寺は世界で最も参拝者が多い宗教施設といわれている。元は天台宗の寺院だったが、戦後、独立して聖観音宗の本山となった。その名の通り、観音菩薩を本尊とする。浅草の観音菩薩がアッラーの15倍の参拝者を集めているわけである。
 一方では、各種調査で「信仰を持っている」と答える人が25~39%であるのに、国民の75%が初詣に行くという事実がある。また、大多数の国民は仏式で葬儀を行い、寺院の管理する墓苑に先祖の墓を持っている。こうした現象は、日本における神道・仏教という二つの伝統的な宗教が欧米や中東等における一神教と異なる性格を持っていること、またそれに伴い、日本人の宗教や信仰に対する意識は一神教の信者における意識とは、大きく異なっていることによるだろう。
 「無宗教」と答える人々の多くは、どこかの寺の檀家だったり、寺院に墓があって墓参をしていたり、親の代からの宗派の仏壇を具えていたり、また地域の神社に初詣に行ったり、御宮参りに行ったり、神社の札を受けて神棚に祀ったりしていても、特定の宗教や宗派に所属しているとか、それらを信仰しているという意識がないのではないだろうか。まったく神・仏・霊を認めない、いわゆる無神論者ないし唯物論者は、少ないと思われる。今後、そういう人の割合を把握できるような全国規模の調査の実施が望まれる。

 次回に続く。

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