韓国・李大統領による8月10日の竹島上陸及び14日の天皇陛下への暴言、また中国人活動家による8月15日の尖閣上陸等、一連の事件の後、多くの政治家・有識者が活発に発言している。それらの発言の中で、私が最も強靭で明確なものと感じているのが、稲田朋美氏の発言である。
稲田氏は弁護士で自民党所属の衆議院議員である。保守派の論客として知られる。今回の発言は、産経新聞8月31日号の「正論」欄に、「領土は歴史認識と二正面作戦で」と題して掲載されたものである。非常に密度の高い文章なので、要約的な紹介は困難だが、大意を記す。
ーーー相次ぐ「隣国からの領土侵犯行為の根底には、歴史認識の問題がある」「相手側が歴史認識を論じる以上、それにも冷静に反論することが必要だ」。その前段として、河野談話、村山談話、菅談話のような「有害無益な談話類は受け継がないと宣言する新談話を即刻出すべきだ」。
昨年8月韓国の憲法裁判所は、「慰安婦問題が昭和40年の日韓請求権協定の範囲外で、慰安婦の賠償請求権は消滅しておらず、それを解決できていない韓国政府の不作為が、憲法違反に当たる」という判決を下した。わが国政府が「事実関係を否定しない限り、謝罪と補償を要求され続ける」。今年5月韓国最高裁は、「戦時中の日本企業による朝鮮人強制労働に関する裁判で、日韓基本条約にもかかわらず個人賠償請求権は消滅していない」という判決を下した。これで、「日本での戦後補償裁判では法的に解決ずみという理由で勝訴してきた日本企業が、韓国国内で再度裁判を起こされれば、敗訴することになった」。
日本政府は「戦後補償、慰安婦裁判では、事実関係を争わない方針」なので、「日本での判決には証拠のない嘘が書き込まれている」。「韓国の裁判でそんな日本の判決書が証拠として提出されれば、日本側に勝ち目はない」。
「政府は、戦後補償裁判でも事実関係を争う方針に転換すべきだ。」「今までのような抽象的な贖罪意識に基づいた、あるいは、日本特有の寛容の精神で相手と接してきた、配慮外交を改め、戦後補償であれ慰安婦であれ、言うべきことを勇気をもって主張する外交へと方向を転換することである」。「そうしないと、日本の名誉も韓国国内の日本企業の財産も守れないし領土侵犯も続く」ことになる。
最後に稲田氏は、次のように言う。「領土侵犯の理由に歴史認識を持ち出されれば、政治家が歴史認識をもって対抗しなければならない時代がきた」と。
―――
稲田氏の主張のうち、韓国の憲法裁判所及び最高裁の判決に関する部分は、特に重要である。政府間のレベルだけでなく、司法が絡んできたことを、我々はよく認識する必要がある。
稲田氏は河野談話、村山談話、菅談話について、今年4月主権回復記念日創設に係る文章で、次のように書いていた。
「平成5年の河野談話は、いわゆる従軍慰安婦の強制連行が事実無根であるにもかかわらず、政治的配慮から強制性を認めた点で誤りであった。現在、韓国から執拗に要求されている、いわゆる従軍慰安婦に対する謝罪と補償については、事実と国際法の両面から反論し、きっぱりと拒否すべきだ。」
「平成7年の村山談話は、『東京茶番』(ほそかわ註 東京裁判のこと)の判決に従った連合国側に押し付けられた歴史観に基づくものであり、直ちに撤回すべきだ。日韓併合条約に対する誤った認識を示し、反省と謝罪をした22年の菅談話と、それを踏まえ韓国に朝鮮儀軌を贈与したことも誤りであったと宣言すべきだ。東京裁判史観で書かれた教科書で日本の将来を担う子供たちに誤った歴史を教えることは、犯罪的だといっても過言ではない。学習指導要領、検定制度の見直しを中心とする教科書改革は待ったなしだ」。
「わが国はもはや、慰安婦問題を含む戦争被害に対し補償だの謝罪だの反省だのする必要はないし、また、してもいけない。一時の政治的配慮でおわびをし、補償をするということは、平和条約を締結する意義を損なわせ、国際法のルールに反し、不正義だからだ」と。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20120422
歴史教科書について言えば、近隣諸国条項が記述内容を大きく歪めている。そのもとになった宮沢談話の見直しも必要である。
いまや政治家が鍛え上げた歴史認識をもって外交に臨まねば、周辺諸国の攻勢から日本の領土・資産・誇りを守ることのできない窮地に、わが国は本当に追い込まれている。この窮地を脱し、日本の再建を進めるには、わが国の政府が発して、わが国を呪縛している談話類を見直し、政府の見解を改めねばならない。
ただし、政治家が周辺諸国に確固とした歴史認識で対抗するだけでは、今日の窮地を真に脱することはできない。外交は軍事力の裏付けなくしては、有効に進め得ない。外交は裁判とは違う。言葉と論理だけでは、正義と公正を実現できない。自分の国、自国の領土と主権を自分で守るための国防力を強化してこそ、国益を守る外交を展開することができることを、政治家も国民もともに肝に銘じなければならない。
以下は、冒頭紹介の稲田氏の文章。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年8月31日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103290002-n1.htm
【正論】
弁護士、衆議院議員・稲田朋美 領土は歴史認識と二正面作戦で
2012.8.31 03:28
ロシアのメドベージェフ首相の北方領土訪問、韓国の李明博大統領の竹島上陸、香港の活動家たちの尖閣諸島上陸と、相次いでいる隣国からの領土侵犯行為の根底には、歴史認識の問題がある。
≪河野、村山、菅談話の破棄を≫
日本はこれまで、戦後レジームの中核を成す東京裁判史観に毒されてきているせいで、歴史認識について言うべきことを言わず、なすべきことをしてこなかった。むしろ、言うべきでないことを言い、すべきでないことをしてきた。その典型が河野談話、村山談話、そして菅談話である。
領土と歴史認識を同じ土俵で論じることには違和感がある。が、相手側が歴史認識を論じる以上、それにも冷静に反論することが必要だ。その前段として、有害無益な談話類は受け継がないと宣言する新談話を即刻出すべきだ。
李大統領は天皇陛下が訪韓する条件として独立運動家への謝罪を求め、日本国民を怒らせた。「光復節」演説では「慰安婦」問題の解決を求めた。韓国国会も「慰安婦」賠償要求決議を出した。
韓国の憲法裁判所は昨年8月、韓国政府が「慰安婦」の基本的人権を侵害し、憲法に違反しているという驚くべき判決を下した。李大統領が昨秋以来、異常とも思える執拗さで、野田佳彦首相に「慰安婦」への謝罪と補償を求めている背景にはこの判決がある。
野田首相は、国際法上決着ずみだとする従来の日本の主張を繰り返している。だが、韓国にはもう通用しない。憲法裁判所は、「慰安婦」問題が昭和40年の日韓請求権協定の範囲外で、「慰安婦」の賠償請求権は消滅しておらず、それを解決できていない韓国政府の不作為が、憲法違反に当たると断じているからだ。事実関係を否定しない限り、謝罪と補償を要求され続けるということになる。
≪個人賠償請求権で不当判断≫
こうした考え方は戦後補償全般に及ぶ。韓国最高裁はこの5月、戦時中の日本企業による朝鮮人強制労働に関する裁判で、日韓基本条約にもかかわらず個人賠償請求権は消滅していないという、国際法の常識に照らせば不当というほかない判決を言い渡している。
これで、日本での戦後補償裁判では法的に解決ずみという理由で勝訴してきた日本企業が、韓国国内で再度裁判を起こされれば、敗訴することになった。在韓資産を持つ日本企業は、敗訴判決に基づいて差し押さえを受け、資産を合法的に収奪されることになる。
しかも、日本政府は戦後補償、「慰安婦」裁判では、事実関係を争わない方針を採るので、日本での判決には証拠のない嘘が書き込まれている。裁判では、当事者が争わない事実は真実として扱われる。韓国の裁判でそんな日本の判決書が証拠として提出されれば、日本側に勝ち目はない。日本企業の財産を守る責務は国にある。政府は、戦後補償裁判でも事実関係を争う方針に転換すべきだ。
「慰安婦」問題については、日本の政府や軍が強制連行した事実はない、と明確に主張しなければならない。問題の核心にある「強制連行」がなかったのだから、謝罪も補償も必要ではない。当時は「慰安婦」業は合法だった。
それにもかかわらず「強制性」を認めて謝った河野談話を否定し、韓国や米国で宣伝されているような、朝鮮半島の若い女性を多数、強制連行して慰安所で性奴隷にしたといった嘘でわが国の名誉を毀損することはやめていただきたいと断固、抗議すべきである。
≪配慮外交から主張外交へ≫
司法だけではない。韓国は立法においても、盧武鉉前政権時代に親日反民族行為者財産調査委員会を設け、親日であった反民族行為者およびその子孫の財産を没収する法律を作っている。要するに、韓国では、歴史認識を背景に、日本に対しては何をやっても許されるという特殊な価値観で司法も立法も行政も動いているのだ。
であるからして、韓国に向き合って日本のなすべきことは、今までのような抽象的な贖罪(しょくざい)意識に基づいた、あるいは、日本特有の寛容の精神で相手と接してきた、「配慮外交」を改め、戦後補償であれ「慰安婦」であれ、言うべきことを勇気をもって主張する外交へと方向を転換することである。そうしないと、日本の名誉も韓国国内の日本企業の財産も守れないし領土侵犯も続くのである。
北方領土問題をめぐっても、プーチン大統領とメドベージェフ首相が「第二次世界大戦の結果であり譲歩する必要はない」と述べていることに、きちんと日本の立場を発信しなければならない。
日ソ中立条約を一方的に破棄して、日本に原爆が投下された後に旧満州に侵攻し、わが国同胞を60万人もシベリアに強制連行し、日本が武器を置いた後に、北方四島を奪取した旧ソ連(ロシア)の行為には、一片の正義もない。
今、求められるのは、こうした歴史認識をリーダー自らが堂々と語ることである。領土侵犯の理由に歴史認識を持ち出されれば、政治家が歴史認識をもって対抗しなければならない時代がきた。(いなだ ともみ)
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稲田氏は弁護士で自民党所属の衆議院議員である。保守派の論客として知られる。今回の発言は、産経新聞8月31日号の「正論」欄に、「領土は歴史認識と二正面作戦で」と題して掲載されたものである。非常に密度の高い文章なので、要約的な紹介は困難だが、大意を記す。
ーーー相次ぐ「隣国からの領土侵犯行為の根底には、歴史認識の問題がある」「相手側が歴史認識を論じる以上、それにも冷静に反論することが必要だ」。その前段として、河野談話、村山談話、菅談話のような「有害無益な談話類は受け継がないと宣言する新談話を即刻出すべきだ」。
昨年8月韓国の憲法裁判所は、「慰安婦問題が昭和40年の日韓請求権協定の範囲外で、慰安婦の賠償請求権は消滅しておらず、それを解決できていない韓国政府の不作為が、憲法違反に当たる」という判決を下した。わが国政府が「事実関係を否定しない限り、謝罪と補償を要求され続ける」。今年5月韓国最高裁は、「戦時中の日本企業による朝鮮人強制労働に関する裁判で、日韓基本条約にもかかわらず個人賠償請求権は消滅していない」という判決を下した。これで、「日本での戦後補償裁判では法的に解決ずみという理由で勝訴してきた日本企業が、韓国国内で再度裁判を起こされれば、敗訴することになった」。
日本政府は「戦後補償、慰安婦裁判では、事実関係を争わない方針」なので、「日本での判決には証拠のない嘘が書き込まれている」。「韓国の裁判でそんな日本の判決書が証拠として提出されれば、日本側に勝ち目はない」。
「政府は、戦後補償裁判でも事実関係を争う方針に転換すべきだ。」「今までのような抽象的な贖罪意識に基づいた、あるいは、日本特有の寛容の精神で相手と接してきた、配慮外交を改め、戦後補償であれ慰安婦であれ、言うべきことを勇気をもって主張する外交へと方向を転換することである」。「そうしないと、日本の名誉も韓国国内の日本企業の財産も守れないし領土侵犯も続く」ことになる。
最後に稲田氏は、次のように言う。「領土侵犯の理由に歴史認識を持ち出されれば、政治家が歴史認識をもって対抗しなければならない時代がきた」と。
―――
稲田氏の主張のうち、韓国の憲法裁判所及び最高裁の判決に関する部分は、特に重要である。政府間のレベルだけでなく、司法が絡んできたことを、我々はよく認識する必要がある。
稲田氏は河野談話、村山談話、菅談話について、今年4月主権回復記念日創設に係る文章で、次のように書いていた。
「平成5年の河野談話は、いわゆる従軍慰安婦の強制連行が事実無根であるにもかかわらず、政治的配慮から強制性を認めた点で誤りであった。現在、韓国から執拗に要求されている、いわゆる従軍慰安婦に対する謝罪と補償については、事実と国際法の両面から反論し、きっぱりと拒否すべきだ。」
「平成7年の村山談話は、『東京茶番』(ほそかわ註 東京裁判のこと)の判決に従った連合国側に押し付けられた歴史観に基づくものであり、直ちに撤回すべきだ。日韓併合条約に対する誤った認識を示し、反省と謝罪をした22年の菅談話と、それを踏まえ韓国に朝鮮儀軌を贈与したことも誤りであったと宣言すべきだ。東京裁判史観で書かれた教科書で日本の将来を担う子供たちに誤った歴史を教えることは、犯罪的だといっても過言ではない。学習指導要領、検定制度の見直しを中心とする教科書改革は待ったなしだ」。
「わが国はもはや、慰安婦問題を含む戦争被害に対し補償だの謝罪だの反省だのする必要はないし、また、してもいけない。一時の政治的配慮でおわびをし、補償をするということは、平和条約を締結する意義を損なわせ、国際法のルールに反し、不正義だからだ」と。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20120422
歴史教科書について言えば、近隣諸国条項が記述内容を大きく歪めている。そのもとになった宮沢談話の見直しも必要である。
いまや政治家が鍛え上げた歴史認識をもって外交に臨まねば、周辺諸国の攻勢から日本の領土・資産・誇りを守ることのできない窮地に、わが国は本当に追い込まれている。この窮地を脱し、日本の再建を進めるには、わが国の政府が発して、わが国を呪縛している談話類を見直し、政府の見解を改めねばならない。
ただし、政治家が周辺諸国に確固とした歴史認識で対抗するだけでは、今日の窮地を真に脱することはできない。外交は軍事力の裏付けなくしては、有効に進め得ない。外交は裁判とは違う。言葉と論理だけでは、正義と公正を実現できない。自分の国、自国の領土と主権を自分で守るための国防力を強化してこそ、国益を守る外交を展開することができることを、政治家も国民もともに肝に銘じなければならない。
以下は、冒頭紹介の稲田氏の文章。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年8月31日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103290002-n1.htm
【正論】
弁護士、衆議院議員・稲田朋美 領土は歴史認識と二正面作戦で
2012.8.31 03:28
ロシアのメドベージェフ首相の北方領土訪問、韓国の李明博大統領の竹島上陸、香港の活動家たちの尖閣諸島上陸と、相次いでいる隣国からの領土侵犯行為の根底には、歴史認識の問題がある。
≪河野、村山、菅談話の破棄を≫
日本はこれまで、戦後レジームの中核を成す東京裁判史観に毒されてきているせいで、歴史認識について言うべきことを言わず、なすべきことをしてこなかった。むしろ、言うべきでないことを言い、すべきでないことをしてきた。その典型が河野談話、村山談話、そして菅談話である。
領土と歴史認識を同じ土俵で論じることには違和感がある。が、相手側が歴史認識を論じる以上、それにも冷静に反論することが必要だ。その前段として、有害無益な談話類は受け継がないと宣言する新談話を即刻出すべきだ。
李大統領は天皇陛下が訪韓する条件として独立運動家への謝罪を求め、日本国民を怒らせた。「光復節」演説では「慰安婦」問題の解決を求めた。韓国国会も「慰安婦」賠償要求決議を出した。
韓国の憲法裁判所は昨年8月、韓国政府が「慰安婦」の基本的人権を侵害し、憲法に違反しているという驚くべき判決を下した。李大統領が昨秋以来、異常とも思える執拗さで、野田佳彦首相に「慰安婦」への謝罪と補償を求めている背景にはこの判決がある。
野田首相は、国際法上決着ずみだとする従来の日本の主張を繰り返している。だが、韓国にはもう通用しない。憲法裁判所は、「慰安婦」問題が昭和40年の日韓請求権協定の範囲外で、「慰安婦」の賠償請求権は消滅しておらず、それを解決できていない韓国政府の不作為が、憲法違反に当たると断じているからだ。事実関係を否定しない限り、謝罪と補償を要求され続けるということになる。
≪個人賠償請求権で不当判断≫
こうした考え方は戦後補償全般に及ぶ。韓国最高裁はこの5月、戦時中の日本企業による朝鮮人強制労働に関する裁判で、日韓基本条約にもかかわらず個人賠償請求権は消滅していないという、国際法の常識に照らせば不当というほかない判決を言い渡している。
これで、日本での戦後補償裁判では法的に解決ずみという理由で勝訴してきた日本企業が、韓国国内で再度裁判を起こされれば、敗訴することになった。在韓資産を持つ日本企業は、敗訴判決に基づいて差し押さえを受け、資産を合法的に収奪されることになる。
しかも、日本政府は戦後補償、「慰安婦」裁判では、事実関係を争わない方針を採るので、日本での判決には証拠のない嘘が書き込まれている。裁判では、当事者が争わない事実は真実として扱われる。韓国の裁判でそんな日本の判決書が証拠として提出されれば、日本側に勝ち目はない。日本企業の財産を守る責務は国にある。政府は、戦後補償裁判でも事実関係を争う方針に転換すべきだ。
「慰安婦」問題については、日本の政府や軍が強制連行した事実はない、と明確に主張しなければならない。問題の核心にある「強制連行」がなかったのだから、謝罪も補償も必要ではない。当時は「慰安婦」業は合法だった。
それにもかかわらず「強制性」を認めて謝った河野談話を否定し、韓国や米国で宣伝されているような、朝鮮半島の若い女性を多数、強制連行して慰安所で性奴隷にしたといった嘘でわが国の名誉を毀損することはやめていただきたいと断固、抗議すべきである。
≪配慮外交から主張外交へ≫
司法だけではない。韓国は立法においても、盧武鉉前政権時代に親日反民族行為者財産調査委員会を設け、親日であった反民族行為者およびその子孫の財産を没収する法律を作っている。要するに、韓国では、歴史認識を背景に、日本に対しては何をやっても許されるという特殊な価値観で司法も立法も行政も動いているのだ。
であるからして、韓国に向き合って日本のなすべきことは、今までのような抽象的な贖罪(しょくざい)意識に基づいた、あるいは、日本特有の寛容の精神で相手と接してきた、「配慮外交」を改め、戦後補償であれ「慰安婦」であれ、言うべきことを勇気をもって主張する外交へと方向を転換することである。そうしないと、日本の名誉も韓国国内の日本企業の財産も守れないし領土侵犯も続くのである。
北方領土問題をめぐっても、プーチン大統領とメドベージェフ首相が「第二次世界大戦の結果であり譲歩する必要はない」と述べていることに、きちんと日本の立場を発信しなければならない。
日ソ中立条約を一方的に破棄して、日本に原爆が投下された後に旧満州に侵攻し、わが国同胞を60万人もシベリアに強制連行し、日本が武器を置いた後に、北方四島を奪取した旧ソ連(ロシア)の行為には、一片の正義もない。
今、求められるのは、こうした歴史認識をリーダー自らが堂々と語ることである。領土侵犯の理由に歴史認識を持ち出されれば、政治家が歴史認識をもって対抗しなければならない時代がきた。(いなだ ともみ)
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