藤村官房長官は平成24年8月1日、女性宮家創設に係る有識者ヒヤリングを打ち切り、論点整理のための取りまとめ作業に着手したことを発表した。今後、政府は皇室典範改定素案を公表して、国民から意見を公募した後、来年の通常国会に法案を提出する見通しである。
政府は2月から有識者ヒヤリングを6回行い、12人の有識者から意見を聴いた。ヒヤリングでは、女性宮家創設に賛成の意見が3分の2を占めたが、配偶者の身分、お子様の身分、一代か継承か、対象等で細かく意見が分かれた。その一方、多くの有識者より、女性宮家創設の対案として、女性皇族が婚姻により皇籍離脱した後もご公務を担えるよう尊称を保持するという案が提案された。これにより、政府内では現在、一代限りの女性宮家創設案と尊称保持案が検討されているという。ヒヤリングでは、旧皇族の復帰・養子の案について賛成する意見が半分近くを占めたが、政府は、この案には消極的である。
ヒヤリングを受けた有識者は、次の通り。
第1回 今谷明氏(帝京大学特任教授)、田原総一郎氏(ジャーナリスト)
第2回 山内昌之氏(東京大学大学院教授)、大石眞氏(京都大学大学院教授)
第3回 櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)、百地章氏(日本大学教授)
第4回 市村真一氏(京都大学名誉教授)、笠原英彦氏(慶應義塾大学教授)
第5回 小田部雄次氏(静岡福祉大学教授)、島善高氏(早稲田大学教授)
第6回 所功氏(京都産業大学名誉教授)、八木秀次氏(高崎経済大学教授)
以上の12名のうち、女性宮家案は、賛成8、反対4。賛成が今谷、田原、山内、大石、市村、笠原、小田部、所の各氏。反対が櫻井、百地、島、八木の各氏。尊称案は、賛成7、反対1。賛成が山内、大石、櫻井、百地、市村、島、八木の各氏。反対が所氏。
女性宮家案に反対の4名は、全員尊称案に賛成である。女性宮家賛成の8名のうち、3名は尊称案にも賛成している。
旧皇族男系男子孫の皇籍復帰・養子案は、賛成6、反対2。うち皇籍復帰が賛成5、反対2、養子が賛成6、反対2である。櫻井、百地、市村、島、八木の各氏は両方に賛成、大石氏は養子にのみ賛成である。
12名に対し、賛成・反対の合計数が合わないのは、賛否不明確の者がいるためである。
●政府の女性宮家創設案の問題点
女性宮家創設は、女性皇族の結婚相手が民間人の場合、誕生した子供を皇族とすると、民間人男性を父に持つ女系皇族が誕生することになる。これは女系天皇への道を開き、皇統の断絶に至る恐れがある。私は、女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限るべきという意見である。この意見は、旧皇族の男系男子孫の皇籍復帰と、皇族が旧皇族男系男子孫に限って養子を取ることを許可することを主たる方策とし、そのことを前提とするものである。
政府は女性宮家創設は皇位継承問題とは別というが、なお先の懸念による反対・慎重の意見が多くある。そこで政府は現在、皇位継承問題と切り離すため、女性宮家を一代限りとする方針である。子供は皇族としないという案である。
その場合、、まず女性皇族の配偶者の身分をどうするかということがある。皇族または準皇族とするか、民間人のままとするかで分かれる。皇族とする場合、敬称をどうするかという課題もある。
仮に配偶者の身分を皇族とし、子供は皇族としないことにすると、親子で別籍・別姓・別会計という問題が生じる。すなわち、両親すなわち女性皇族と配偶者は、皇統譜に入るが、子供は民間人として戸籍が別になる。両親は皇族ゆえに姓が無いが、子供は民間人として父親の姓を名乗ることになる。両親は皇族費によって家計を維持されるが、子供は皇族費の対象外で養育費・生活費等の支出は別会計となる。
次に配偶者の身分を民間人のままとする場合、妻・母は皇族で皇統譜・無姓・皇族費で、夫・父と子は別籍・有姓・別会計という構成が、一つの家族といえるのかどうか。また実生活に多くの支障を生じるだろう。
いずれの場合も極めて不自然な状態であり、わが国の親子一体・夫婦一体の伝統に反する。あたかも夫婦別姓論者が目指す夫婦別姓、親子別姓、夫婦別会計のサンプルのごときである。
女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限ることにすれば、これらの問題点は解決できる。配偶者となる旧皇族の男系男子孫は皇統譜に入り、女性皇族と配偶者の間に生まれた子供も皇族とする。姓と会計の問題も生じない。
次回に続く。
政府は2月から有識者ヒヤリングを6回行い、12人の有識者から意見を聴いた。ヒヤリングでは、女性宮家創設に賛成の意見が3分の2を占めたが、配偶者の身分、お子様の身分、一代か継承か、対象等で細かく意見が分かれた。その一方、多くの有識者より、女性宮家創設の対案として、女性皇族が婚姻により皇籍離脱した後もご公務を担えるよう尊称を保持するという案が提案された。これにより、政府内では現在、一代限りの女性宮家創設案と尊称保持案が検討されているという。ヒヤリングでは、旧皇族の復帰・養子の案について賛成する意見が半分近くを占めたが、政府は、この案には消極的である。
ヒヤリングを受けた有識者は、次の通り。
第1回 今谷明氏(帝京大学特任教授)、田原総一郎氏(ジャーナリスト)
第2回 山内昌之氏(東京大学大学院教授)、大石眞氏(京都大学大学院教授)
第3回 櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)、百地章氏(日本大学教授)
第4回 市村真一氏(京都大学名誉教授)、笠原英彦氏(慶應義塾大学教授)
第5回 小田部雄次氏(静岡福祉大学教授)、島善高氏(早稲田大学教授)
第6回 所功氏(京都産業大学名誉教授)、八木秀次氏(高崎経済大学教授)
以上の12名のうち、女性宮家案は、賛成8、反対4。賛成が今谷、田原、山内、大石、市村、笠原、小田部、所の各氏。反対が櫻井、百地、島、八木の各氏。尊称案は、賛成7、反対1。賛成が山内、大石、櫻井、百地、市村、島、八木の各氏。反対が所氏。
女性宮家案に反対の4名は、全員尊称案に賛成である。女性宮家賛成の8名のうち、3名は尊称案にも賛成している。
旧皇族男系男子孫の皇籍復帰・養子案は、賛成6、反対2。うち皇籍復帰が賛成5、反対2、養子が賛成6、反対2である。櫻井、百地、市村、島、八木の各氏は両方に賛成、大石氏は養子にのみ賛成である。
12名に対し、賛成・反対の合計数が合わないのは、賛否不明確の者がいるためである。
●政府の女性宮家創設案の問題点
女性宮家創設は、女性皇族の結婚相手が民間人の場合、誕生した子供を皇族とすると、民間人男性を父に持つ女系皇族が誕生することになる。これは女系天皇への道を開き、皇統の断絶に至る恐れがある。私は、女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限るべきという意見である。この意見は、旧皇族の男系男子孫の皇籍復帰と、皇族が旧皇族男系男子孫に限って養子を取ることを許可することを主たる方策とし、そのことを前提とするものである。
政府は女性宮家創設は皇位継承問題とは別というが、なお先の懸念による反対・慎重の意見が多くある。そこで政府は現在、皇位継承問題と切り離すため、女性宮家を一代限りとする方針である。子供は皇族としないという案である。
その場合、、まず女性皇族の配偶者の身分をどうするかということがある。皇族または準皇族とするか、民間人のままとするかで分かれる。皇族とする場合、敬称をどうするかという課題もある。
仮に配偶者の身分を皇族とし、子供は皇族としないことにすると、親子で別籍・別姓・別会計という問題が生じる。すなわち、両親すなわち女性皇族と配偶者は、皇統譜に入るが、子供は民間人として戸籍が別になる。両親は皇族ゆえに姓が無いが、子供は民間人として父親の姓を名乗ることになる。両親は皇族費によって家計を維持されるが、子供は皇族費の対象外で養育費・生活費等の支出は別会計となる。
次に配偶者の身分を民間人のままとする場合、妻・母は皇族で皇統譜・無姓・皇族費で、夫・父と子は別籍・有姓・別会計という構成が、一つの家族といえるのかどうか。また実生活に多くの支障を生じるだろう。
いずれの場合も極めて不自然な状態であり、わが国の親子一体・夫婦一体の伝統に反する。あたかも夫婦別姓論者が目指す夫婦別姓、親子別姓、夫婦別会計のサンプルのごときである。
女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限ることにすれば、これらの問題点は解決できる。配偶者となる旧皇族の男系男子孫は皇統譜に入り、女性皇族と配偶者の間に生まれた子供も皇族とする。姓と会計の問題も生じない。
次回に続く。
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