ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米中が競う東南アジアと日本の外交8

2013-01-19 08:45:09 | 国際関係
●主体的な外交を行うため、国家再建を急げ

 平成24年(2012)12月の衆院総選挙で、民主党は大惨敗し、自民党が圧勝した。安倍首相は、TPPについて、次のように語っている。
 「聖域なき関税撤廃という前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる。これは論理的帰結だろう。基本的には国益を守ることができるかどうかを考えて判断していきたい。日米は同盟関係だから対話ができるはずだ。まず信頼関係を構築し、安全保障においても強力な結びつきを復活した上で、考え方を大統領に率直に話していきたい」と。(産経新聞平成24年12月31日号)
 安倍氏には、この姿勢を貫いてもらいたいものである。私が思うに、わが国は自分で自分の国を守ることのできない状態であるがために、本来経済協定と安全保障は別の問題なのに、米国から安全保障を切り札にして強く押されると、国家指導者の多くは妥協・譲歩・追従を選択するのだろう。TPPの参加問題は、これがポイントだと思う。だが、ここで腹を据えて踏んばらなければ駄目である。
 日本は、アメリカの軍事力によって保護されている。だが、国民及びその代表者である政治家が、日本という国のあり方を根本的に考えて決起しないと、日本は米国への従属を深め、経済的に収奪されつつ、固有の伝統・文化を失っていくだろう。私は、わが国は憲法を改正して独立自尊の国家体制を構築しなければ、アメリカに経済的・金融的に従属する状態を脱しえず、またいかに優秀で志の高い政治家であっても、真に国益を追求する外交は行うことができないと考える。
 これは、中国に対しても同様である。中国との関係では、平成24年(2012)11月18日に開催されたASEANA関連首脳会議で、日本・中国・ASEAN諸国等、16カ国による東アジア包括的経済連携(RCEP)の交渉を本年(25年)の早い時期に開始することで合意したことが注目される。この時も野田首相(当時)が参加した。RCEPは中国が狙う「米国抜き」の自由貿易協定(FTA)である。これに対し、オバマ大統領はTPPの参加国首脳との会合で、25年中の妥結を目指すことを確認した。アジア太平洋の海洋安全保障に加えて、経済・通商においても米中の競い合いが激化している。
 中国への臣従は、米国への従属以上に危険である。中国は共産党が事実上の独裁体制を敷き、反日愛国主義に凝り固まっている。尖閣諸島の奪取を目論み、さらに沖縄にも触手を伸ばそうとしている。中国による2050年の東アジアの予想地図では、日本の西半分は東海省、東半分は日本自治区と描かれている。中国に屈服し、併呑されることは、日本がチベットやウイグルと同じ運命をたどることを意味する。共産中国に対抗するためには現在、わが国が自力で国防を完備できない以上、米国との同盟で安全保障体制を維持するしかない。しかし、そのことで米国への全面的な従属となってはいけない。わが国は米国に対しても中国に対しても、主体的な外交を行うことのできる独立主権国家への道を歩まねばならない。それ以外に、日本が日本として生き、進む道はない。
 米中が激しく競い合う東南アジアに対し、わが国が主体的な外交を行うとともに、TPP、RCEPへの対応においても国益を追求する必要がある。他国に一方的に利用されたり、他国に呑み込まれたりすることのないように、国家の再建を進めよう。そのための最大の課題が憲法の改正である。憲法を改正し、国防を強化することなくして、独立主権国家としての主体的な外交はなしえない。日本国民は、今こそ日本精神を取り戻し、憲法を改正し、国防を整備して、米中の競い合うアジアで、歴史と伝統のある国家として、日本が堂々と存在し、繁栄・発展できる道を歩み出そう。(了)

関連掲示
・拙稿「尖閣を守り、沖縄を、日本を守れ」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12o.htm
・拙稿「中国の日本併合を防ぐには」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12a.htm
・拙稿「国家と国益を考える」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13.htm
 目次から項目20へ
・拙稿「アメリカに収奪される日本~プラザ合意から郵政民営化への展開」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13d.htm
・拙稿「TPPはトロイの木馬~中野剛志氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20110125
・拙稿「TPPの狙いは金融と投資~東谷暁氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20110330
・拙稿「郵政とTPPは保守の試金石」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20120423
・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm