司会: ここで家庭出産、自然分娩がいかに大切であるのかを石村さんにお聞きしたい。
石村: 男の人が祈ったり、願ったり、応援したりすることが、すごく効果がある。お産においてもだんなさんが必死になって、赤ちゃんに産まれておいでと言ったときには安産になる。昔はずっと家庭で出産していた。今もできないわけがない。家族の力を借りて温かい雰囲気の中で子供を迎えたいというのが当助産所のモットーになっている。
生まれたときから家族の中で、柔らかい雰囲気の中にいれば、素直な子が育つのではないかと私は思う。男の人の祈りは、すごく強い。
安産する人、しない人は何となく分かる。たとえお父さんが海外出張の多い人でも、出産のときには絶対日本にいると思う。だから「海外出張していても平気ですよ」って、いつも言っている。あなたがいつも赤ちゃんのこととお母さんのことを思っていれば、そのときに産まれてくる。それが今、百パーセントそうなっている。心が通じるっていうか「今日、お父さんがいるときに産まれなくっちゃ」と思うらしくて、陣痛を起こすのだ。本当に健気だと思う。
司会: 助産所を開設してからこれまでかかわってきた出産はどれくらいあるか。
石村: 開設してから十年になる。年間では、最初のころは25件くらいだったが、今では50~60件になった。
先ほど江藤先生が言っていたように、丁寧に見てあげると、おそらくこれくらいがリミットだと分かる。
不安のないようにして、安産で産まれてくるように導くことが私たちの役目だと思っている。ただ、それがうまくいかないこともあって、「ごめんなさいね」と言うこともある。現代の人たちは体力がないのだ。
司会: 10年間では何件になるか。
石村: 訪れた人の数は、400件くらいで、出産は300件。
司会: 苦労されたことや、これはうまくいったなと感じたことなどは。
石村: 喜びの方が大きい。
どんなに時間がかかったとしても、自然に産まれたということは、お母さんとお父さんの自信につながる。
だからその後の育児にとても良い。そういう努力が、これから日本人を変えていくと思う。
私はいつも「お産がうまくいかなかったり、逆子になったりするのはご主人の責任ですよ」と言う。奥さんを不安にさせないのが、夫の役目。
司会: 細川さんも二人のお子さんが産まれるときに、実際に立ち会ったと聴いたが。
細川: 私には子供が二人いる。妻が出産するとき、たまたま二度とも立ち会いができた。私の場合は家庭出産ではなく、二度とも助産所で出産した。
一度目のときは、杉並の助産院だった。さっき祈りという話が出たが、男の方は、妻が出産といっても何もできることがないから、もうあと願うのは神様しかいないので、妻と心を合わせてお祈りをした。それでいろいろ姿勢を変えながら、妻が子供を産もうとして、最後は分娩台の横に私が腰掛けて、妻が後ろから私の肩に体を預けて立ち膝で出産した。
私はへその緒を切らせてもらった。あのときの光景はありありと覚えている。きれいで透き通るようなへその緒を、真っさらなはさみで切らせてもらったあの感動は、何とも言えないものだった。
妻もそのとき先生から「静かで痛みに強いですね。よくコントロールできています」と驚かれた。やはり夫婦で協力し合ったことが良かったのだと思う。自然で楽なお産ができた。
二度目は、埼玉県の助産院で出産をした。このときは、また違ったやり方で、私が何か直接手を貸すのではなかった。助産師さんが妻の体をさすっている間、私といろいろな話をして、妻をリラックスさせるというような環境だった。産まれた子供がとても元気なので、先生から「元気ハツラツですね」と言われたのが忘れられない。
二人とも健やかに成長して、本当に感謝にたえない。私自身も父親としての責任を感じるとともに、社会の中で自分ができることはないか、単に自分の子供の親としてだけではなく、他の子供たちを含めて、大人としてできることはないかと、強く感じるようになった。教育や家庭、しつけの問題からさまざまな事柄について、各地で講演しているのは、こうした体験に裏付けられたものでもある。
次回に続く。
石村: 男の人が祈ったり、願ったり、応援したりすることが、すごく効果がある。お産においてもだんなさんが必死になって、赤ちゃんに産まれておいでと言ったときには安産になる。昔はずっと家庭で出産していた。今もできないわけがない。家族の力を借りて温かい雰囲気の中で子供を迎えたいというのが当助産所のモットーになっている。
生まれたときから家族の中で、柔らかい雰囲気の中にいれば、素直な子が育つのではないかと私は思う。男の人の祈りは、すごく強い。
安産する人、しない人は何となく分かる。たとえお父さんが海外出張の多い人でも、出産のときには絶対日本にいると思う。だから「海外出張していても平気ですよ」って、いつも言っている。あなたがいつも赤ちゃんのこととお母さんのことを思っていれば、そのときに産まれてくる。それが今、百パーセントそうなっている。心が通じるっていうか「今日、お父さんがいるときに産まれなくっちゃ」と思うらしくて、陣痛を起こすのだ。本当に健気だと思う。
司会: 助産所を開設してからこれまでかかわってきた出産はどれくらいあるか。
石村: 開設してから十年になる。年間では、最初のころは25件くらいだったが、今では50~60件になった。
先ほど江藤先生が言っていたように、丁寧に見てあげると、おそらくこれくらいがリミットだと分かる。
不安のないようにして、安産で産まれてくるように導くことが私たちの役目だと思っている。ただ、それがうまくいかないこともあって、「ごめんなさいね」と言うこともある。現代の人たちは体力がないのだ。
司会: 10年間では何件になるか。
石村: 訪れた人の数は、400件くらいで、出産は300件。
司会: 苦労されたことや、これはうまくいったなと感じたことなどは。
石村: 喜びの方が大きい。
どんなに時間がかかったとしても、自然に産まれたということは、お母さんとお父さんの自信につながる。
だからその後の育児にとても良い。そういう努力が、これから日本人を変えていくと思う。
私はいつも「お産がうまくいかなかったり、逆子になったりするのはご主人の責任ですよ」と言う。奥さんを不安にさせないのが、夫の役目。
司会: 細川さんも二人のお子さんが産まれるときに、実際に立ち会ったと聴いたが。
細川: 私には子供が二人いる。妻が出産するとき、たまたま二度とも立ち会いができた。私の場合は家庭出産ではなく、二度とも助産所で出産した。
一度目のときは、杉並の助産院だった。さっき祈りという話が出たが、男の方は、妻が出産といっても何もできることがないから、もうあと願うのは神様しかいないので、妻と心を合わせてお祈りをした。それでいろいろ姿勢を変えながら、妻が子供を産もうとして、最後は分娩台の横に私が腰掛けて、妻が後ろから私の肩に体を預けて立ち膝で出産した。
私はへその緒を切らせてもらった。あのときの光景はありありと覚えている。きれいで透き通るようなへその緒を、真っさらなはさみで切らせてもらったあの感動は、何とも言えないものだった。
妻もそのとき先生から「静かで痛みに強いですね。よくコントロールできています」と驚かれた。やはり夫婦で協力し合ったことが良かったのだと思う。自然で楽なお産ができた。
二度目は、埼玉県の助産院で出産をした。このときは、また違ったやり方で、私が何か直接手を貸すのではなかった。助産師さんが妻の体をさすっている間、私といろいろな話をして、妻をリラックスさせるというような環境だった。産まれた子供がとても元気なので、先生から「元気ハツラツですね」と言われたのが忘れられない。
二人とも健やかに成長して、本当に感謝にたえない。私自身も父親としての責任を感じるとともに、社会の中で自分ができることはないか、単に自分の子供の親としてだけではなく、他の子供たちを含めて、大人としてできることはないかと、強く感じるようになった。教育や家庭、しつけの問題からさまざまな事柄について、各地で講演しているのは、こうした体験に裏付けられたものでもある。
次回に続く。