ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

民主党の「慰安婦問題」政策

2007-08-01 19:10:54 | 歴史
 昨日、米下院本会議での対日慰安婦決議の採択について書いた際、民主党も国会議員の約10分の1は、慰安婦問題について、事実に基く認識を求めている旨述べた。
 しかし、これはそういう議員が民主党にもいるということであって、民主党自体の政策は異なる。
 わが国の民主党は、この度の米下院による慰安婦非難決議を追い風として、同党の慰安婦問題政策を実現しようとするだろう。

●民主党の政策の問題点

 現在の民主党の政策全般は、「民主党2007政策リスト」で知ることができる。同党のサイトに掲載されている。
http://www.dpj.or.jp/special/seisaku_list300/index.html

 多岐にわたるリストの中で、外国人地方参政権に賛成、慰安婦問題の「解決」を図るための法律の実現、首相の靖国参拝に反対、沖縄に地域主権による「一国二制度」を推進といった政策が目を引く。どれも国家主権に関わる重大な問題であり、民主党が、独立主権国家としてのわが国の在り方を変え、周辺諸国と統治権を一部共有または譲渡する方向をめざしていることがわかる。
 それらの政策については、「アジアの真実」というブログが問題点をわかりやすく指摘している。関心のある方は、ご一読をお勧めしたい。
http://ameblo.jp/lancer1/entry-10039682629.html

●慰安婦問題に関する法案

 さて、私がここで触れようと思っているのは、冒頭に書いた慰安婦問題に関することである。民主党は、いかなる政策を実現しようとしているのか。民主党は、慰安婦問題の「解決」のために、「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」を発表している。全文が、以下に掲載されている。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15002009.htm

 この法案は、立法の目的を、次のように記している。

 「この法律は、今次の大戦及びそれに至る一連の事変等に係る時期において、旧陸海軍の関与の下に、女性に対して組織的かつ継続的な性的な行為の強制が行われ、これによりそれらの女性の尊厳と名誉が著しく害された事実を踏まえ、そのような事実について謝罪の意を表し及びそれらの女性の名誉等の回復に資するための措置を我が国の責任において講ずることが緊要な課題となっていることにかんがみ、これに対処するために必要な基本的事項を定めることにより、戦時性的強制被害者に係る問題の解決の促進を図り、もって関係諸国民と我が国民との信頼関係の醸成及び我が国の国際社会における名誉ある地位の保持に資することを目的とする。」(第一条)
 
 「旧陸海軍の関与の下に、女性に対して組織的かつ継続的な性的な行為の強制が行われ、これによりそれらの女性の尊厳と名誉が著しく害された事実」とある。これが民主党の慰安婦問題に関する基本認識である。
 同法案における「戦時における性的強制」は、「旧陸海軍の直接又は間接の関与の下に、その意に反して集められた女性に対して行われた組織的かつ継続的な性的な行為の強制」と定義されている(第二条)。

 この認識・定義には、旧日本軍の慰安婦が、契約のもとに高給を得ていた性労働者だったという理解は見られない。その理解は、この法案の「戦時性的強制被害者」という用語によく表われている。これは、売春より強姦を連想させる言葉である。強姦の場合は、金銭は支払わない。まして多額の金銭を支払うことは、ありえない。慰安婦に関する民主党の見解は、米下院の議員多数が持っている「慰安婦=性奴隷」という見方に近いものなのである。

 そして、「戦時性的強制被害者」の「名誉回復等のための措置」について、法案は次のように記している。

 「政府は、できるだけ速やかに、かつ、確実に、戦時における性的強制により戦時性的強制被害者の尊厳と名誉が害された事実について謝罪の意を表し及びその名誉等の回復に資するために必要な措置を講ずるものとする」「前項の措置には、戦時性的強制被害者に対する金銭の支給を含むものとする。」(第三条)

 わが国が公式に謝罪と名誉回復、金銭支給を行なうことを法律に定めて、実行しようというのが、民主党の政策なのである。
 これは、米下院で対日慰安婦決議を推進してきたマイク・ホンダ議員が、わが国に求めているものと近い。ホンダ議員の背後には、中国共産党及び在米中国系反日団体、韓国系反日団体がある。わが国の民主党は、こうした外国勢力に呼応するように、慰安婦問題における謝罪・名誉回復・金銭支給という「解決」を実現しようとしているのである。

 国民は、民主党の政策の内容、その意図・方向性をよく知るべきだと思う。

関連掲示
・拙稿「慰安婦問題は、虚偽と誤解に満ちている」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12f.htm