ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

脱少子化を語る3

2007-08-24 08:52:33 | 少子化
司会: 萩原先生、政府としては、きちっとした病院とか、妊婦さんに対応できるシステムづくりとか、社会保障とか、いろいろと対応しなければならないと思うが、その点はいかがか。

萩原: 政府としてもこの問題についてはかなり気合が入っているので、来年、再来年に向けて、例えば医療費の改定であるとか、その作業の中で、産科とか婦人科とかを含めて間違いなく手厚い方向に行くと思う。
 細川さんがおっしゃったように、根底にある人間の自然な働きを残した形になるのか、別途考えなければならないというのが私どもの立場である。人間としての喜びを感じる、お産、子育てというものに結びつくような医療にしていかないと、最終的にもたないと思う。

司会: 萩原先生の奥様は外国でご出産されたという体験談をお聞きして、日本とアメリカではこんなに違うのだと思ったが、そのことについてお聞かせください。

萩原: 最初の子供は女の子で、アメリカで生まれた。安くするということもあってラマーズ法で産んだのだ。医者や看護師から見ると非常に簡単な分娩だ。医者や看護師が分娩室にいたのは二分くらい。ずっと私しかいない。妻がギャーと叫んだり、痛いと言ったりしているので、「痛いと言ってます」と言うと「だんなさん、しっかりしなさい」と言われた。(笑)
 「あなたが押さえなさい」「はい、分かりました」ということで、最後の最後は私一人ですよ。産まれても「はい出ましたよ。あなたのお子さんですね。間違いないですね」と言われ、じっと見たら、首が短いとか、指が短いとか、そっくり。間違いなかった。
 次の息子は日本の東大病院で生まれた。今はだいぶ変わったが、当時はお父さんは来てはいけないと言われた。邪魔だということだ。でも非常に手厚く看護してくれる。
 日本と比べてアメリカは、苦しくなったら呼ぶことができるが、そうじゃなかったら、ほっとかれる。
 うちの妻の場合は三日だったけれど、横にいたお母さんは産んですぐ立ち上がって、挨拶して三時間後にいなくなった。出産したらその日のうちに退院しちゃう。びっくりした。
 しかし、そういう形でやっているアメリカの医療というのは、確かに見るべき点がある。
 問題がなければ良いわけで、問題がないように一生懸命に頑張って良い医療をつくることが大切だと思う。

司会: 子供が少なくなって、日本は子供を産むときから非常に過保護になっているような気がしてならないが、江藤先生はどう感じか。

江藤: 少しずつ状況が変わってきているとは思う。私もついこの間、アメリカのお産を見学してきた。助産師の数が極端に少なく、また医師も少ないのだが、その分、ナースがたくさんいる。日本では助産師がずっと付いているけれど、ナースが付いていて正常な分娩になると、助産師を呼んできてお産に入る。
 異常の場合は助産師と産婦人科医が一緒になってマネイジングという形になってお産になる。今では割合、看護師が付いていると思う。
 やはりお産のところで、手を掛けるのはとても大切だと思った。不安と痛みと緊張というのは、必ず悪の連鎖を生むので、そこから薬はたくさん使っている。萩原先生の場合は使っていないかもしれないが、七十五%の人が使っている。

萩原: その通りなのだが、そのときの基本方針というのは、お父さんがその役をしなさいということだった。
 「不安と痛みと緊張を和らげる役割はあなたができるのだから、あなたがやるんです」と言われて、それはそうかなと思った。
 確かに精神的な負担とか痛みはあるんだろうが、だれが受け止めるかというと、医者でもない看護師でもない、本当のところ受け止められるのは、あなたじゃないですか、と言っているのだ。

江藤: もう一人デューラーという、日本でいうと助産師みたいな人がいる。免許はないが、お産の経験があって、女性にずっと付き添って背中をさすってあげたり、抱きしめてあげたりする役割の方がいる。

 次回に続く。