世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

のどかな風景の中に道祖神や美術館が点在している安曇野

2007-06-17 17:17:45 | 日本の町並み
 身代わり猿がぶら下がるのは庚申堂でしたが、庚申のいわれは60日に一回訪れる庚申(かのえさる)の日の深夜に体の中の虫が抜け出してその人の悪事を天帝に報告するので、神仏を祭って徹夜をする風習です。この風習によって作られたものが庚申塔で、神社や道端に置かれた石塔です。この庚申塔と同様の目的にもされたのが道祖神(どうそじん)で、村はずれなどの道端に置かれました。前置きが長くなりましたが、今回はこの道祖神や庚申搭が点在する安曇野(あずみの)を紹介します。

 安曇野は長野県の松本から北に伸びる大糸線の穂高を中心としてアルプスの東側に広がる地域を呼ぶようですが、確たるエリア定義はなさそうです。アルプスの峰峰を背景に、ゆったりとした田園風景は、いつまでも変わってほしくない日本の原風景の一つのように思います。アルプスの伏流水が冷たくて清冽な湧水を作り出していて、この水を利用した大小のわさび田ものびやかな風景に変化をもたせています。わさび田の売店で、わさびのソフトクリームを食べましたが、もちろん甘くはありましたが、ツンとくるわさびの刺激がこれまでに味わったことの無い食感でした。

 ところで、道祖神像は、のどかな風景の中の自動車道路や田んぼの畦に散在しています。本来は村の入り口に置いて悪霊の侵入を防ぐもので、男女ペアの像が彫ってあります。男女ペアの像の形から安産や豊穣を祈る意味合いもこめられたようです。中には庚申搭と並べて置かれているところや、いくつかの道祖神像を寄せ集めた場所もあります。

 散在といえば、安曇野にはユニークな博物館や美術館が点在しています。散在しているために、はしごをするにはちょっと不便なのですが、その中で比較的足の便がよく、歴史も古い美術館の一つが碌山(ろくざん)美術館ではないでしょうか。

穂高駅から線路沿いに北に歩いても10分そこそこの場所にあり、萩原碌山(守衛)のゆかりの土地に建てられた彫刻作品を中心とした小さな美術館です。萩原碌山は明治時代を生きロダンに師事した彫刻家で、重要文化財にも指定されている作品の「女」にも見られるようにロダンを思わせる作品はなかなか力強いものがあります。最初に訪れたのは約40年も前で、教会風の建物が線路の向こうにぽつんと建っていましたが、現在では2つの展示館が増築され、周辺も立て込んだ感じになり、ちょっと雰囲気が違って戸惑いました。

 安曇野を効率よく回るには自転車が活躍します。狭い道にも入っていけ、風を感じながら道祖神や美術館、それにわさび田などを回れます。時間尺度も周りののんびりさに合っているかもしれません。貸し自転車やさんで簡単な地図をくれて、だいたいのところは、この地図で判別が付くのですが、ときおり自分が何処に居るのか見失う時があります。道を聞こうにも、時期によっては出会う人もあまり多くは見かけません。車の場合はカーナビがあって現在地がすぐさま分かりますが、さすがに自転車には付いていません。このような時に活躍するのが磁石とGPS付きのケータイかもしれません。


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