世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

モアサックの駅には日に数本の列車しか停車しませんが不便でも訪れたくなる町です(フランス)

2016-02-07 08:00:00 | 世界遺産
 フランス南部にローマ時代の遺跡がたくさんあって、ゴッホも愛した町がアルルでした。アルルは、スペインのサンティアゴ・コンポステイラへの4本ある巡礼路のフランス側の起点の一つにもなっています。この巡礼路は、北からトゥールの道、リモージュの道、ル・ピュイの道、そしてアルルが起点のそしてトゥールーズの道があり、世界遺産に登録されています。おそらく、最も長い距離の世界遺産ではないかと思います。巡礼路の途中の町には訪れたくなるような雰囲気の良い町がたくさんありますが、今回はル・ピュイの道のモアサックの町を紹介します。

 モアサックは、フランスの南西部、ピレネー山脈と平行に走るフランス国鉄のトゥールーズとボルドーとの間にある小さな町です。トゥールーズからは列車で1時間ほどの距離で、この路線には、かなりの列車が走っているのですが、モアサックは通り過ぎてしまい、停車する列車は数本しかなく、極めて不便です。そんな駅ですが昼の間は窓口が開いていて、筆者が訪れた時には2人も座ってました。ところが、次の朝に駅に来て見ると、停車する少ない列車が来る時間にもかかわらず駅が閉まってました。もちろん、ホームへは駅の建物の横から入れましたが、お客対応の感覚がよく解りません。

 
 
 参詣道の経路には、訪れたくなる美しい町や村がたくさんあり、モアサックもその一つで、修道院の回廊はフランス一の美しさと言われます。ところが、アルルやトゥールーズなどの都市を除いては足の便の悪いところが大部分です。鉄道は、参詣道ができた後に引かれたわけですから、路線網と参詣道とは無関係に存在したのでしょう。現在でも歩いて参詣する信者も多いとのことなので、鉄道駅の存在は必須ではなかったのかもしれません。ただ、ドイツとは違って、フランスでは路線バスがあまり発達していないので、一般の旅行者には不便をしのぐことになります。鉄道駅があっても、一日に数本しか列車が止まらないモアサックでも、便利な町なのかもしれません。

 
 
 
 
 
 世界遺産に登録されているのは、サンピエール修道院とその美しい回廊で、駅からは10分くらい歩くことになります。回廊だけでなく、教会の方もロマネスク様式で、建物やレリーフがすばらしい門など、わざわざ途中下車と1泊を割いて訪れる
価値は十分です。門にちりばめられたレリーフは、好きな方だと一日見ていても飽きないのではないかと思います。入り口上部のタンパンという部分には黙示録のヨハネの幻視が描かれているそうですが、信者でない筆者には内容はよく解りません。門の両袖や柱にも、おそらく聖書の一場面と思われるシーンが彫られています。このレリーフは、聖堂内部や回廊の柱にもあって、規模こそ違いますがアンコールワットのレリーフを思い起こします。

 
 
 
 町の中心は、この修道院がある辺りで、駅の位置はむしろ町外れのような場所になります。旧市街は北側を円弧を描いて走る鉄道と、南側のガロンヌ川の支流のタルン川がで囲まれた南北500m、東西1kmほどのエリアで、修道院以外にも散歩をして楽しい町並みです。ちなみに、タル ン川の上流には、東京タワーより高い道路橋のミヨー橋があります。ロンドンのリージェント通りのように微妙にカーブをする通りや教会、それに石かレンガ造りと思われる公共の建物など、日本の無機質な町並みとは違います。タルン川からは閘門を通じて街中に運河が通じていて、回転橋もあります。タルン川にかかる連続アーチの橋も、なんとなく景色の一部になっています。

 フランスは、外国からの観光客が最も多い国の一つと言われています。ところが、観光客が多いことと、観光客に便利と言うこととはイコールではなく、ドイツなどと比べて見劣りのする国の一つです。ドイツでは、こんな人口の少なそうな、と
思う田舎の 駅にもバス停があり、かなりの頻度でバスが発着しています。駅で荷物を預かってくれないのもフランスで、駅周辺のレストランや観光案内所など預かってくれる場所を探すのに苦労します。これも、ドイツでは、小さな駅でもロッカーがあり、スーツケースほどの大きな物まで入れることができます。ロッカーといえば、鍵の代わりに携帯で指定先に電話をして発信番号で利用者を認識するシステムがあります。鍵を管理する必要も無くなり、なかなか便利なシステムですが、外国からの観光客には不都合なシステムかもしれません。


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