世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

明日香村はサイクリングで回るのもいいですが、起伏があるので、のどかな景色を愛でながら歩くことがお勧めです

2021-06-06 08:00:00 | 日本の町並み
 前回は畝傍御陵前駅または橿原神宮前駅を起点に旧本薬師寺跡から石舞台古墳まで明日香村の北半分を紹介しました。今回は、飛鳥駅を起点にキトラ古墳から川原寺まで明日香の南半分を紹介します。

 起点となる近鉄の飛鳥駅は阿部野橋から吉野に通じる南大阪線の駅なので、難波から名古屋や伊勢に通じる大阪線から行くと大和八木で橿原線に乗り換え2駅乗って終点の橿原神宮前駅で南大阪線に乗り換えて2駅と頻繁に乗り換えてたどり着くことになります。橿原神宮前駅の周辺は家並みが建て込んで町の様相ですが、飛鳥駅の周りは家もまばらで田んぼと畑、それに緑の丘といった風景が広がります。橿原神宮前が橿原市であるのに対して飛鳥は明日香村なのですから、その差は歴然なのかもしれません。

 
 
 
 飛鳥駅を起点にして、まずは南にキトラ古墳を目指します。およそ2kmのだらだら上りは自転車では辛そうで電チャリ必須のようです。訪問した時は春、菜の花と桜の花が共演の、のどかで気持ちの良い道なのですが、どこに行っても車だらけで、頻繁に行きかう自動車が気分を損ねます。キトラ古墳は1983年に石室の壁画が発見されて、近くの高松塚古墳と並んで話題となりました。7~8世紀ごろに造られたとみられる二段構造の円墳です。もちろん本物の古墳は外から眺められるだけですが、そばにキトラ古墳壁画体験館で建てられ、古墳や石室の模型が置かれ、四神を描いた壁画の写真が見られます。高松塚古墳のそばにも似た施設がありますが、こちらは入場有料ですが、キトラは無料で、お得です!とは駅で会ったボランティア・ガイドの方の弁でした。

 
 
 もと来た道を下って、駅から東に延びる道との合流点を東に行くとすぐに高松塚古墳です。この合流点まで戻らなくても、わき道を入るとショートカットできるようですが、そのわき道はちょっと分かりにくい。高松塚古墳の手前左手には中尾山古墳があります。八角形の古墳ですが、標識が無ければ単なる小山にしか見えません。高松塚もキトラと同様に二段式の円墳ですが、手前に高松塚壁画館があり、石室に描かれた壁画の模写などが展示されています。模写は何種類かあって、現状を写し取ったものの他に汚れなどを修復し見やすくした複写が展示されています。高松塚のあたりものどかな風景が広がっていて、こんな所からあれほどの塀かが出てきたことが信じられません。

 

 
 古墳公園の入り口付近を自動車道に出ないで、トンネルで下を越えて歴史公園館を通り抜け自動車道を越えて畑の中のだらだら坂を上ると鬼の雪隠と俎板があります。2つは少し離れた位置にありますが、元々は古墳の石槨の一部であろうとされています。誰が付けたのか名前が面白くて有名な遺跡です。田舎道を東にたどると亀石が現れます。石に彫られた顔がユーモラスで飛鳥観光のポスターにもよく登場する石ですが、造られた年代や目的は未だに諸説があります。

 
 
 
 亀石からさらに東に農道を進むと突然道のそばに疎水が流れる集落が現れ、絵になる風景を造っています。この集落を通り過ぎたあたりに、橘寺の石柱があり、右に折れるとお寺の裏側から聖徳太子ゆかりの橘寺に入れます。裏道から入ると田んぼの向こうに大きな伽藍が見えてこちらも絵になる風景です。橘寺の石造物は二面石で、1mほどの高さの石の左右に男女の顔が彫られ、人の心の善悪を表しているのだそうです。橘寺の北側には川原寺があり、かつての飛鳥四大寺の面影はなくひっそりと田んぼの中に建っています。こちらの石造物は寺に通じる道路のそばの庚申塔で、自然石に庚申と刻まれた、ちょっと蟻塚のような石塔です。

 高松塚の絵画館にある壁画は人間の手による模写ですが、他では写真が飾られていることを多く見かけます。模写は、写真のような正確さは無いでしょうが、模写をする人の意思が無意識にも入ってしまい、独立の芸術作品になっているようにも思います。襖絵などは文化財保護のために本物は収蔵庫に保存し、コピーが置かれていることが多くなっています。コンピュータ制御の高精細スキャナで取り込んだイメージをプリンタで印字したものは、本物と区別がつかないそうです。知らないうちに、世の中の襖絵はすべてコピーで、本物は海外の収蔵家の私邸の中なんてことになってほしくないですね。


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