世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

世界遺産の基地としてのスチャヴァですが、他では味わえない温かみが残されています(ルーマニア)

2015-05-03 08:00:00 | 世界の町並み
 町中に数多くの鐘楼が建ち、フクロウが町並みの散歩の案内をしてくるフランスの地方都市がディジョンでした。このディジョンには、いくつかの姉妹都市があり、その一つにルーマニアのクルージュ県があります。クルージュ県はルーマニアの北西部にありますが、その東側には世界遺産のモルダヴィアの壁画教会群を擁するスチャヴァ県があります。ルーマニアはヨーロッパの中では、まだまだ田舎っぽさが残されており、特に首都からも遠い北部では、のんびりとした田園が続き、人々もおおらかな感じがします。今回は、2つの県のうちスチャヴァについて紹介します。

 スチャヴァは、ルーマニアの首都のブカレストの北400km、急行列車で約6時間半ほどの場所にあります。さらに北へ20kmも行けばウクライナで、ルーマニアでも北のはずれです。スチャヴァ郊外の北西には8箇所のモルダヴィアの壁画教会群が直径50kmほどの中に散らばっていますが、こちらについては世界遺産篇で紹介済みです。今回は、スチヴァ市内の町並みを散策した様子についてお話します。

 スチャヴァの鉄道駅は、南駅と北駅とがあり、筆者の列車は北駅停車で町の中心部の北東、川を渡って5kmほどのところにあります。この駅では、ホームの数が少ないせいか、目的の列車に乗るためためには、駅舎と列車の間に停車をしている他の列車のデッキによじ上って、反対側に降り、その先に停車する目的の列車のデッキに上る場合もあります。これが、荷物を持っての移動なので、かなりきつい運動になります、まあ、それくらい田舎の駅なのでしょうか。

 
 
 
 スチャヴァの市内には、10万人の人口にしては、世界遺産の8つの教会の一つのゲオルゲ教会をはじめ、かなりの数の教会が立ち並んでいます。これらの教会は、大きくルーマニア正教の教会と、カトリックの教会とに分かれるようで、ルーマニア正教の方が大勢のようです。聖堂に入った時に、椅子が並んでいるのがカトリック教会、空間が広がっているだけがルーマニア正教教会のようです。

 
 このルーマニア正教教会で1時間ほどの結婚式の一部始終に立ち会う羽目になってしまいました。教会に立ち寄ったら、式の準備中だったようなのですが、見ず知らずの他国からの来客に参加しては?とのお招きを受けてしまったのです。日本の教会での結婚式には何度か参列をしましたが、だいぶ様子が違います。参列者は、椅子が無いので最後まで立ちんぼで、新郎新婦も牧師から祝福を受ける時に跪くだけで、あとは立っています。祝福が終わると、聖杯が置かれたテーブルの周りを、香炉を振りながら先導する牧師についてグルグルと廻ります。最も違うのは、式の進行が歌で行われ、牧師の言葉も歌なのです。歌はコーラス隊ではなく、一人で歌われていました。
 一方、宿泊したホテルでは、カトリックと思われる結婚式の披露パーティが行われていました。こちらは、日本で見られる様子と似ていましたが、違うところは、パーティが徹夜で夜明けまで続いていたところでしょうか。日本でも、かつて自宅でおこなう披露宴はよを徹して行われたようですが。

 
 これらの教会のほか、市街地のはずれにはスチャヴァ城の廃墟が残っています。14世紀にモルドヴァ公国によって作られた要塞が元になったようで15世紀のオスマントルコの侵攻にも陥落しなかったそうです。現在は、堀と石垣とが残り建物は残っていませんが、残された石垣はなかなかりっぱです。

 キリスト教にしても仏教にしても、誕生、結婚それに死亡の3つの事柄は、形式は違っても重要な儀式です。昭和30年代に、ザ・ブラウンズによって歌われた「谷間に3つの鐘が鳴る」という歌が流行りました。この3つの鐘も、この3つの儀式のためのものです。人間は、重要なエポックには人間以外の神格的なものにオーソライズしてもらいたくなるようで、一つ間違うと、神や仏の名前を利用した権力者に利用されます。いっそのこと、コンピュータを教祖様にして、権力に利用されないようにしては、とも思いますが、権力者は自分に都合の良いように、ソフトを改竄するでしょうね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。