世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

神戸の北野町には日本唯一のジャイナ教会もあります

2006-01-01 15:06:26 | 日本の町並み
 キリスト教の教会はザビエルゆかりの山口はじめ日本の各地にありますが、ユダヤ教やジャイナ教の教会のある町をご存知でしょうか。古くから港町として開けた神戸の山の手にある北野町がその町です。さらに、日本で最も古いイスラム教のモスクや、北野町から少し西の中山手には横浜、函館と並んで関帝廟(かんていびょう)もあり、国際港湾都市らしく世界中の宗教施設が存在しています。
 現在の北野町は神戸を代表する観光看板になっていますが、筆者の学生の頃には、絵の好きな人がスケッチブックを片手に訪れるくらいでした。小松益喜画伯がこの北野町の洋館を数多く描き、絵の好きな人の中では北野町の存在が知られていたからです。しかし当時は、人通りも少なく、さしたる観光地ではなかったように思います。
 ところが、1977年放送のNHKの朝ドラの風見鶏の舞台になったことで全国的に知名度が上がり、1981年のポートピア博で神戸を代表する観光地として観光コースに組み込まれたように思います。それまでは静かだった町が、ずいぶんと騒々しくなり、スケッチをできる環境ではなくなってしまいましたが、いくつかの洋館の内部が公開されて入館できるようになったという恩恵はあったようです。
 北野町の洋館群は明治時代に海沿いにあった居留地に勤務する外国人が北野町あたりに居を構えた洋風建築が現在まで生き延びたものです。これらの洋館は震災によっていくつかは壊れてしまいましたが、現在でも60軒ほど残っているそうです。公開されている洋館は20数軒なので、かなりの数が現役の住宅としても使われているようで、博物館やテーマパークとは違った生きた町を感じさせます。
 旧居留地から北野町に行くには、ハンター坂や北野坂と呼ばれるダラダラ坂を登らなければなりません。坂を登るのは辛いのですが、徐々に視界が開けて、神戸の町並みの向こうに港が見える風景はいつ見ても飽きません。居留地の外国人が、わざわざ坂を登らなければならない北野町に住んだのもうなづけるように思います。
 北野町の西の更に山側に金星台という場所があり、現在ではビーナスブリッジができて夜景の美しいポイントになっています。この金星台の名前の由来は、明治初期の1874年に金星の太陽面通過の観測が行われた場所のためです。現象が観測できる時間帯に太陽が昇っている必要があり、日本がその観測に適した場所だったようです。飛行機などなかった頃に遠くフランスから観測のために天文学者が来日し、見事に観測に成功したとのことです。神戸以外では横浜、長崎で同じように外国人による観測が行われたようで、明治時代に開港した港町が選ばれたのでしょうか。
 港は英語ではポート、空港はエアーポートと呼ばれ、コンピュータなどの入出力の口もポートと呼ばれます。船や飛行機が出入りするようにデータが出入りすることから名づけられたものと思います。音声の出入り口の携帯電話が、データ通信の出入り口としてどんどんと高速化されてきました。港が世界に開いた人や物に対する出入り口なら、携帯電話のポートは情報への出入り口かもしれません。


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