世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

津波で景色が変わったといわれる松島ですが西行戻の松の桜は昔同様に咲き誇っていました

2015-04-12 08:00:00 | 日本の町並み
 古い建物が残されている町並みを流れる川のそばに悲恋の歌枕になる橋の石碑が建っていたのが宮城県の古川でした。古来より、歌枕として取り上げられる土地は数多くありますが、それらの中で「奥の細道」の中に句が入っていなくて有名な場所が松島です。今回は、その松島あたりを紹介します。

 松島は、仙台から仙石線で30~40分ほどの松島海岸駅が最寄駅になります。東北線に松島という名前の駅がありますが、東北線が海岸から離れた所を走っているので、海岸までは1.5kmほど歩くことになります。

 
 1.5kmほどといえば、松島海岸から1.5kmほど、標高差にして90mほどを上ると、西行戻の松公園があります。近道もあるとのことですが、必ずといっていいほど迷うとのことで、観光案内所で近道はしないよう釘を刺されました。松島海岸に向かって、小高い山の後ろを回りこむので、頂上近くまでは松島は望むことができませんが、公園にたどり着くと、一挙に視界が開けます。筆者は、調度桜の頃に訪れ、バックに松島を置いた桜の花は、緑とピンクのコントラストが絶妙でした。

 
 この西行戻の松とは、諸国行脚中の西行が、この地の松の下で出合った童子と禅問答をし、敗れて松島行きを諦めて戻ったと言われている場所なのだそうです。公園には、公園名が書かれた石盤と、戻の松と言われる松が生えていますが、当時の松ではなく代変りをしていると思います。

 西行の公園は駅から坂を上らねばならないために、通常の観光客はさほど多く無さそうですが、駅周辺は修学旅行生を含めてゾロゾロ状態です。松島海岸の周辺の観光地は、なぜか仏教遺跡が多く、円通院、瑞巌寺、五大堂とすべてお寺です。

 
 
 円通院は、松島海岸駅に最も近く、バラ園で有名ですが、苔生した庭園や石庭がなかなか見事です。公共放送の朝の番組で中継地として使われた折に奉納されたこけしに女子アナの名前がくっきりと記されていました。

 
 円通院の隣には、瑞巌寺があり、こちは本堂や庫裏が国宝に指定され、他にも重要文化財の建物が多いお寺です。庫裏の建物を見ていると、京都の禅寺に来たのではないかと感じる堂々たる建物です。参道には、自然の岩屋を利用して観音などが祭られている窟が並んでいます。こちらの方は、ちょっと鎌倉的でしょうか。

 
 松島の象徴のような五大堂は、観光船の発着する港のはずれにあり、地位さん橋を渡った小さな島に建っています。この五大堂も瑞巌寺に所属する重要文化財の建物です。島に渡る橋は、すかし橋と呼ばれて踏み板の両側は海が透けて見え、お参りの時に木を引き締める効果と言われていますが、高所恐怖症には、この程度の高さでも気が引き締まるというより、足が竦みます。

 
 
 さて、松島の観光船ですが、松島観光港から出て戻るコースや塩釜まで行くコースなどがあります。色々な景色が見られ、塩釜周辺にも立ち寄れる、松島ー塩釜コースがお勧めかもしれません。現在では、松島以外にも海食洞や多島海を遊覧する観光地も増えましたが、芭蕉の頃は松島が唯一だったのでしょうか。有名な仁王島も震災の影響で、その形が変わってしまったそうです。

 西行戻の松の桜は、予期せず満開の桜に出会うことができました。毎年、気象庁などが各地の桜の開花予想を発表しますが、なかなかずばり的中したとは感じないことが多いように思います。開花日というのは、満開の日ではなく、数%の花が開花する日で、通常は満開まで1週間ほどかかるようで、開花=満開と思う感覚の差かもしれません。気象予測はスパコンを使ってデータ解析を行っており、随分と予報精度が上がったといわれていますが、人間の振る舞いが、地球の大気に影響を与えること(例えば、どこかの観光地に大量の観光客が押しかける、そこの気温が上がったなど)もあるかもしれません。このような因子は、スパコンには入力できないでしょうから、誤差になります。ただ、すべての人間の心の中をコンピュータに読み取られるようになって欲しくは無いですね。


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