世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

天下分け目の戦いのあった天王山の麓は現在でも交通の要です

2007-09-23 10:33:54 | 日本の町並み
 山間を流れる日野川にJR伯備線が寄り添うように走っているところが根雨の付近でした。日本の鉄道は、海岸線に沿って走るか、川沿いに引かれることが多いように思います。今回は、そのなかから淀川上流の山崎を紹介します。

 大山崎町は京都市の南西、大阪府とも接していて、東西から山が迫る狭い廊下状の平地の中央部を流れる淀川の右岸に位置します。山崎あたりで宇治川、桂川、木津川が合流して淀川になりますが、三つの川が東西の山で狭められた出口に向けて押し寄せてくる感じです。淀川の両岸の狭い帯状の通路には合計4本の鉄道と名神高速道路がひしめき合って通っています。大阪から京都に入る場合にどうしても通らなければならない場所で、戦略上重要な地点であることから明智光秀と豊臣秀吉の天王山の戦いでも有名です。

 その天王山の麓には、サントリーの工場があって、東の白州とならんでウィスキーのモルト生産の拠点になっています。工場の見学をすると、日本のウィスキーの歴史から始まり、蒸留釜などを見学し、熟成庫にずらりと並んだ樽の多さに圧倒されますが、

ウィスキー党には最後の試飲コーナが待ちどおしいかもしれません。筆者が訪れたのは、秋でしたが、春それも桜の季節ならば、工場内に植えられた桜が美しのではないかとも思います。

 美しいといえば、大山崎の駅から急坂を上ると、アサヒビールの大山崎山荘美術館があります。

大正期に実業化が建てた別荘を修理した本館と、安藤忠夫氏の設計になる新館とからなり、本館の木のぬくもりのある建物と、新館のコンクリート打放しのドライな感じの対比が面白い美術館です。絵画などの展示は主に新館で行われ、周辺の景観との調和を考えた半地下の丸い建物になっていて、オランジュリ美術館のモネの睡蓮の展示室を思い出します。一方、本館2階にはオープンカフェがあり、バルコニーの席で淀川やその向こうの石清水八幡のある八幡山などを眺めながらお茶を飲むのも気持ちの良いものです。

 システムの設計の時に、ボトルネックという言葉をよく使います。特定の点の性能が全体の性能を左右するような重要なポイントを指しますが、どちらかというとネガティブイメージで、なるべくボトルネックを作らない設計がよいとされます。山崎はまさしくボトルネックのポイントだったのでしょうが、その地点をコントロールできれば天下を制することができるポジティブな点でもあったのではないでしょうか。
 


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