世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

明智の大正村の手前には江戸時代の家並みが重伝地区になった岩村があります

2013-07-14 08:00:00 | 日本の町並み
 かつて市電と平面交差をしていた山陽電車の沿線にあって、一ツ物神事の祭礼が行われる町が曽根でした。レールが平面交差をするといっても、道路や軌道上ですが、民家の土間にレールが敷かれているところがあります。もちろん、レールの上を電車は走りませんが、荷物を載せたトロッコが店頭と奥の倉庫との間を行き来していたようです。今回は、トロッコのレールが敷かれている店舗がある岩村を紹介します。

 岩村は、岐阜県の恵那市の一部で、JR中央西線の恵那駅から明智まで延びる3セクの明知鉄道の途中駅です。終点の大正村で有名な明智のほうが観光客を呼んでいるようですが、重要伝統的建物群保存地区に指定されているのは岩村です。岩村は、岩村藩の城下町で、現在の町並みは商家を中心として江戸時代から続く家屋も残されているようです。



 店の中の土間に敷かれたトロッコですが、岩村の中でも3箇所も残されているのだそうです。一番有名なものは、岩村酒造で、奥にある蔵から、店にお酒を運んだそうです。現在は、トロッコ本来の使命は終了して、商品の飾り棚として使われているようです。現代の世であったら、このような役割に、どんな仕組みを作っただろうかと考えてみましたが、トロッコのようなものしか思いつきません。先進的な仕組みだったのかもしれませんが、現在では、そのようなものの移動じたいを必要としないのでしょうか。


 町並みの民家の中で旧木村邸が公開されていて、内部の様子を見ることができます。江戸後期の問屋の遺構で、連なって奥に伸びる部屋や、上部から見下ろす吹き抜けの図太い木組みの構造など、高山の吉島家などと似たような感じです。かつては本陣の代わりも務めたそうです。離れの二階には板張りのベランダ状の場所があって、夏の夕涼みにはもってこいではなかったかと思います。また、庭にある漆喰の広い壁面を見せる土蔵も存在感がありました。


 筆者の訪問した10年ほど前には、まちかど美術館の看板を出した古民家がありましたが、どうも改組したのか消滅したのか、webを検索しても該当する施設が見当たりません。格子の連なる二階の前面には、京都の町家で見かけるような四角の街灯が突き出ていて、いい感じの民家だったのですが。

 重要伝統的建物群保存地区は全国で100箇所を越える地区が指定されています。重要文化財などと違って、建物単体ではなく面的な広がりのある町並みとして指定されます。観光客が増えるプラス要素だけではなく、規制が増えたり観光客のマナーの問題などマイナス面も多いようです。また、過疎化などによって町が取り残され、消極的な意味で結果的に保存地区となった所も多いようです。西欧では建物が石造りのせいなのか、役所などを含めて古い建物群が積極的に利用されている都市が多いように思います。日本の都市では、すぐに再開発と称して、建物をあっさりと破棄して壊してしまいます。建物に限らず、家電やパソコンそれに携帯電話も、まだ使える物をあっさりと廃棄です。これがITの発展を後押しする要因の一つになっているのかもしれませんが、それだけ地球の寿命を短くしているように思います。


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