シャツのほころび涙のかけら

昔よく聞いたNSPのタイトルを拝借。…趣味や日常を綴っています。基本はガンバレ自分!時々覗いてみてください。

塩原温泉:古刹 妙雲寺/駅舎跡、尾崎紅葉の石碑など

2022-12-12 | お出かけ

塩原温泉郷旅行記の最後になる。11月27日(日)、紅の吊橋の次に訪れた「妙雲寺」と回顧の吊橋・滝の駐車場付近で見かけた史跡、石碑について。

◆甘露山 妙雲寺(みょううんじ)
市のWebサイトや他のサイトも参考にして自分なりに縁起をまとめると・・・
妙雲寺創立は、平清盛の嫡男で平重盛の妹と云われる妙雲禅尼が、平貞能(たいらのさだよし)と共に、1184年(寿永3年)に当地で草庵を結び、重盛が帰依したという釈迦如来を安置したことに起因する。
その後、1312年(正和元年)に臨済宗の寺院として、甘露山妙雲寺と称し伽藍を建立した。(ということのようだ)

街道沿いに大門があるものの参道の間口は狭く、大きな看板の類がないので、知らないと車では通り過ぎてしまう。駐車場も分かり難かった。(私だけではないと思う)


並木に挟まれた参道を進む。石段を上ると山門で、くぐると正面に本堂。


本堂は1740年(元文5年)に再建されたもの。市の有形文化財に指定されている。また、本堂内陣の宮殿というのも同文化財に指定されている。

寄棟造りの大屋根が美しい。(正面向かって右側から)


本堂の正面向かって左側には小川が流れていて庭園のよう。
画↓の左側のお堂は「塩渓文庫(旧閻魔堂)」、隣に蔵、その先に「薬師堂」がある。


塩渓文庫と薬師堂も市指定有形文化財。ともに1731年(享保16年)建立といわれており、妙雲寺では最も古い建造物だという。

小川に沿って進むと水の落ちる音が大きくなり、なっなんと「常楽滝(じょうらくのたき)」と名のついた滝があった。落差約5mの段瀑。境内にこれほどの滝があるなんて、塩原らしい・・・。


滝の手前左側の林の中、立入禁止になっているところに石段があり、上段の大杉の根元には妙雲禅尼の墓という九層石塔がたっていた。

石段の右の石碑は、夏目漱石の誌碑。境内には、他にも芭蕉や尾崎紅葉、斎藤茂吉などの歌碑・句碑などが点在している。

駐車場との出入りは東門を利用する。スッキリした門だ。


なお、境内には3000株以上の色とりどりのボタンが咲く牡丹園があり、例年5月には「塩原妙雲寺ぼたんまつり」が行われ、植木市や抹茶席などが催されるという。



回顧の吊橋・滝の最寄りの駐車場を含む周辺は、ガマガエルに似た石があることから「がま石園地」と呼ばれているそうだ。そこに、史跡案内と石碑があった。

史跡 塩原軌道「塩原口」駅舎跡
説明板によると、昭和の初めまで電車が通っていたというので驚いた。

 塩原口駅舎は塩原温泉の表玄関として、塩原ガマ石園地にあった。当時、駅舎周辺には土産物屋や人力車の乗り継ぎ所があり、運転手の宿舎もあって大変賑わった。
 塩原軌道は、蒸気機関車により1912年(明治45年)に西那須野~関谷間が開通し、後に新塩原駅(現在の入勝橋付近)まで延伸された。
 1921年(大正10年)に西那須野~新塩原間が電化され、翌年の1922年(大正11年)に路線を塩原口まで延伸した。
 電化後は運行本数を増やし、多い時には一日八往復を数えたが、大不況や乗合自動車の普及も影響し、1932年(昭和7年)1月に運転を休止し、1935年(昭和10年)12月に軌道廃止並びに会社解散となった。

当地周辺は山間で集落はおろか人家も無い。駅舎跡は現在、駐車場として利用されているので、往時の状況を想像し難い。ただ、ここから塩原温泉までは7kmほどある(昔はもっと距離があっただろう)ので、電車から自動車に代わってしまうのも時代の流れだったのであろう。

とはいえ、私が育った田舎は電車が通らず駅もないので、そんな昔に電車を(近くまででも)通すべき場所と判断された塩原温泉郷というところに、改めて「スゴイな~。栄えていたんだな~」と感心する。

なお、ここから国道400号で塩原温泉郷に向かうと直ぐに、長くて曲がるトンネルに入るが、トンネルの名前は「ガマ石トンネル」というので、ガマ石というのは地元にとって愛着のある名称なのだろう。

◆尾崎紅葉の石碑
小説家:尾崎紅葉、文学に疎いが名前だけは知っている。「金色夜叉」が代表作。
紅葉は1899年(明治32年)6月に塩原を訪ね、後に「塩原紀行」と題して発表している。また、「続々金色夜叉」の始めの部分で、言葉をつくして塩原の風景を賞賛しているそうだ。この碑は、塩原の名を全国に広めた紅葉の功績を記念して、塩原温泉の入口であるこの地に建立されたもの。

現代と違って、当時「名を全国に広める」って、新聞や雑誌くらいしか思い当たらないけど、大変なことではないかと想像する。仮に知りえたとしても、地方の山間の温泉地なので簡単に「じゃあ、行こう!」とはならないだろうし。
尾崎紅葉が訪れた時にしても、まだ塩原軌道が開通する前だ。西那須野駅からは馬車なのか、徒歩なのか。徒歩なら5時間以上はかかりそう。

検索していると、塩原温泉は尾崎紅葉だけでなく、夏目漱石や谷崎潤一郎など当代一流の多くの文人が訪れたということが分かった。御用邸があったことも、今回の旅で知ることとなった。・・・・・私の認識以上に塩原温泉は有名だったのかもしれない。



●竜化の滝への遊歩道に、何気なく説明板がたてられていた「フィトンチッド」について。
前回とりあげた「竜化の滝」駐車場から滝までの沢沿いの遊歩道の途中に、さりげなく(or取って付けたように)フィトンチッドの説明板があった。手書きのような書体で、しかも汚れている。自治体や公共団体ではなく“個人”によるものなのかもしれない。

植物の不思議な力「フィトンチッド」
 フィトンチッドとは、「フィトン」は植物、「チッド」は殺菌という意味です。
 このフィトンチッドは、植物の葉から発散されて樹木に害を与える微生物を殺しながら人間の病気予防にも大いに役立つといわれています。
 森の中には、保健万能薬のようなフィトンチッドがシャワーのように降り注いでいます。

森林・林業学習館のWebサイトによると、フィトンチッドとは、植物にとって有害な微生物や昆虫から身を守るために、植物自身が自己防衛のためにつくりあげてきた物質で、医学的には心身に深いリラクゼーションに導く効果が明らかになってきているという。所謂“森林浴”の効果をエビデンスをもって説明しているわけだ。
その効果には「脳の活動や血圧を鎮め、怒りや緊張などを和らげる」「肝機能を改善する」ということもあげられている。季節的に森林浴不適かもしれないけど、なるべく浴びないとな~と思う今日この頃。

※森林・林業学習館のWebサイト
https://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai_jyu/phyton.php

 

コメント (4)
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