ヒノキ科ヒノキ属の「サワラ(椹)」。日本固有の常緑高木で北海道~本州、四国に分布している。スギ花粉が終わる頃にヒノキやサワラが開花して花粉を飛ばすので長い期間花粉症に悩まされる方が多い。私はスギ花粉症でヒノキ花粉にはさほど反応しないが、ベランダの手すりや自動車に黄色い粉が付くので洗濯物や布団を乾かすのにはかなり気を使う。
写真は雌花を拡大したもので花の中に丸い受粉孔が数個見える。花径は3~4ミリなので受粉孔の直径はわずか0.3~0.4ミリ。ここから受粉滴が浸み出し花粉を受けて果実が稔る。じっと見ていると顔に見えてきた。この顔とは初対面だ。
ブナ科コナラ属の「アカナラ(赤楢)」。北アメリカ原産の落葉高木で日本には明治時代中期に渡来した。深裂する葉が特徴的で秋には美しく紅葉するので各地の公園樹や街路樹として利用されている。北海道庁から北海道大学植物園に掛けてのアカナラの並木道は樹齢100年を超えているという。花期は4月で写真は雄花序の様子。どこかに雌花もあるはずだが高過ぎて見えない。これは昭和記念公園のもの。
高尾山“いろはの森コース”で開花した「オトコヨウゾメ(男莢迷)」。ガマズミ科(←レンプクソウ科←スイカズラ科)ガマズミ属の落葉低木で日本固有種。本州~九州の山地に分布し春に直径7~8ミリの白い花を咲かせる。“ヨウゾメ”はガマズミ類のことをこのように呼ぶ地方があるが“オトコ”の意味がわからない。もちろん“男用済み”ではない。
南大沢八幡神社前の道端に咲いていた「キンラン(金蘭)」。ラン科キンラン属の多年草で山野の林縁や林内に生育している。草丈は50~60センチになり4~5月に茎の上部に鮮やかな黄色い花を数個咲かせる。キンランはブナ科などの樹木と共生関係にある特定の外生菌根菌から必要な栄養源を得ている部分的菌従属栄養植物になる。そのため庭に植え替えても育つことはなく当然ながら通販などで流通することもない。多摩丘陵ではコナラやクヌギなどが多くキンランやギンランには良い環境なのだろう。雑木林などはもちろん普通の道端でも良く見られる。
拙庭で咲き始めた「セッコク(石斛)」。昨年6月に園芸店で取り寄せた株を庭のソメイヨシノの幹に縛り付けたものが上手く着生して今年初めて開花した。写真は紀州産の“熊野(ゆや)”という品種で黄色い花が特徴。ここは夏にはソメイヨシノの葉の陰になるが午前中は太陽が直射するので100円ショップで購入した婦人用サンバイザーを被らせた。そして何とか昨夏の猛暑を乗り切り秋には根がソメイヨシノの幹に少しずつ伸びているのが確認できた。シュロ縄はもう外しても大丈夫だろうが念のためしばらくはこのままにしておこう。セッコクはラン科セッコク属の多年草。
MLBドジャースの大谷選手には2年連続MVP&ホームラン王を期待しているが二刀流復活がいつになるのかファンとしては気になるところ。さてニューヨーク・ヤンキースは今期から“魚雷バット(トルピード)”を導入し開幕3試合で15本のホームランが出たことで話題になっている。これは普通のバットよりややグリップ寄りの芯の部分が太くボーリングのピンのような形状をしているため“芯を食えば”普通のバットより飛距離が伸びるというもの。形状は規定内なので誰が使っても良いがやはりそれを使いこなす技術がなければそう簡単にはホームランは打てないだろう。ヤンキースのジャッジ選手は魚雷バットを使っていないがやはりアメリカンリーグホームラン王の最有力候補に間違いない。
この“魚雷バット”の材料はホワイトアッシュ(WhiteAsh)という北アメリカ原産のアメリカトネリコで、供給が安定しており大量生産が可能なためアメリカでは広く使われている。またメイプル(Maple)のバットもポピュラーで反発力や耐久力が強く多くのメジャープレーヤーに使われている。
一方国産バット材の主流はアオダモだったが、アオダモは一度伐採すると再生するまでに100年近く掛かるのと、スギなどに比べて用途が狭く商品価値が低いのでこれまで植林はほとんど行われなかった。そのため今は材料の確保が難しくアオダモバットは少なくなっている。
写真は大塚公園の林内に生えている「マルバアオダモ(丸葉青だも)」。モクセイ科トネリコ属の落葉高木で雌雄異株。日本全土の低山や丘陵に分布している。4~5月に枝先や葉腋に円錐花序を出し白い4弁花を密に咲かせる。写真は雄花のようだ。
奥高尾の登山道脇で咲き始めた「アケボノスミレ(曙菫)」。スミレ科スミレ属の多年草で北海道~九州の太平洋岸寄りの内陸に分布している。花期は4月下旬でヒナスミレやナガバノスミレサイシンなどが終わってから咲き始める。葉は花期にはほとんど展開していない。
スイカズラ科スイカズラ属の「ヒョウタンボク(瓢箪木)」。北海道~本州、四国に分布する落葉低木で4~5月にスイカズラに良く似た花を咲かせる。花はスイカズラと同じように咲き初めは白く次第に黄色く変化するので「キンギンボク(金銀木)」の別名がある。ちなみにスイカズラの別名はキンギンカ(金銀花)なのでいささか紛らわしい。ヒョウタンボクの果実は赤熟する液果が2個ずつくっついて“瓢箪”のような形になるのでその名がある。これは昭和記念公園のサイクリングロード脇に生えているもの。
宮嶽谷戸の水田脇に生えている「タガラシ(田辛子)」。キンポウゲ科キンポウゲ属の越年草~二年草で4~5月に直径0.8~1センチの黄色い花を咲かせる。個体差もあるが同属のキツネノボタンの花よりもやや小振りになる。またキツネノボタンの果実が球形になるのに対して、タガラシの果実は長楕円形になる。
奥高尾“もみじ台”の登山道脇に咲いている「ワカシュウスミレ(若衆菫)」。スミレ科スミレ属の多年草で基本種のスミレは側弁の基部に毛があるが本種は無毛であり“若衆”の名がある。ワカシュウスミレの葉はスミレと同じように葉柄に翼が確認できる。写真の個体は花茎に毛が密生しているがスミレの毛は変化が多く無毛のものから全体に微毛があるものまで変化が多い。