自民党が道州制法案の今国会の提出をあきらめた。地方自治体に慎重論が根強いことに配慮した結果だという。これまでも私たち日本国民は、小選挙区制と政党交付金を導入させた政治改革、新自由主義にもとづく小泉構造改革などで、マスコミやインテリに煽られてきた。かえってそれで、日本は脆弱な国家になってしまったのではないか。中央政府の権限を外交や安全保障などに限定し、それ以外のことは地方に任せるというのは、住民サービスを向上させる点からも、大いに検討をすればいい。しかし、それと道州制導入は別問題である。日本という国家が、それでまとまりを維持していけるのだろうか。とくに日本国内の反日勢力は、依然として力を持っている。道州に大幅に権限を与えたならば、国家解体が顕著になるのではないだろうか。沖縄独立を公然と叫ぶ者たちがいるのであり、それを後押ししかねない。それと同時に、日本の置かれている国際環境も無視できない。国がばらばらになることは危険この上ない。高坂正堯が指摘しているように、「歴史はボーダレスに向かってはいない」(『日本存亡のとき』)のである。ソ連が崩壊して、次々と新しい国家が生まれたことは記憶に新しい。近代文明によって国際化がもたらされた一方で、国家と国民の一体感が増してきているのだ。そして、中共のような覇権国家が目の前にいるのである。その厳しい現実を私たちは直視すべきなのである。
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