草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

戊辰150年に読むべきは池内儀八の『会津史』(上下)!

2018年01月17日 | 歴史

今年は戊辰戦争150年にあたっているが、ぜひ読んでもらいたいのが池内儀八の『会津史上』『同下』(昭和2年に出版)である。明治28年から30年にかけて和綴じ本10巻を発刊したものだが、当時手に入ったあらゆる資料が駆使されているばかりか、会津人の心情を代弁している▼「緒言」において「余は余が郷土の歴史に関する書類の散逸して、古来の変革遷移を不明ならしめ、幾多の佳話美談も暗中に埋没し、将に年月と共に隠滅に帰せんとするを遺憾とし、之か編輯者あらんことを一日にして祈らざるはなかりき。然るに今日に至るも其編輯者あるを見ざるを以て、遂に厚顔にも自ら測らず筆を取るに至れり」と書いているように、会津人の血と涙によって一気呵成に執筆された数少ない名著である。戊辰戦争の記録を含めて、書かざるを得ない衝動が池内を駆り立てたのである▼今の時代からみれば、訂正すべき記述も数多く見られるが、会津人の思いの丈が述べられており、その点こそが重要なのである。池内が訴えたことは明確であった。「維新当時東北は朝廷に反旗を翻し王政を妨げんとすという、当方もない誤説まで藩閥の勢力と正比例して全国に流布された」ことへの憤りであった。さらに、池内は会津を佐幕派と決めつけることにも批判的であった。会津の政治的な動きを総括すれば「幕府維持や再興などの心事行動は微塵」もなかったからである▼売らんかための歴史書ではなく、会津人の叫びが聞こえてくる本こそが手に取られるべきなのである。

 


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