加東市内の田圃に水が引かれ、一部では田植えが始まっています。
兵庫の米どころである播州平野、そして、酒米の王様で知られる山田錦のふるさと加東、北播磨の水瓶、東条ダムは今、満水です(写真)。
戦後国内第1号の国営ダムとして東条川へ注ぐ鴨川をせき止めて築造された鴨川ダム(東条ダム)。この巨大な貯水池から、加東市、小野市域の広大な農地へ、張りめぐらされた水路網を通して米作りの命の水が送られています。水路箸やサイフォンで谷を渡り、隧道で山をくぐり、ポンプアップで台地に上げられ、ため池に蓄えられ、田圃に引かれます。壮大な水のネットワークが築かれているのです。
この地域の農業を支えてきた水のネットワーク、東条川流域の豊かな自然、歴史、文化を育んできたのもこの水のネットワークであり、これを疎水文化と呼んで、一体とした博物館とみなしていこうというのが東条川疎水ネットワーク博物館構想です。北播磨県民局(加古川流域土地改良事務所)が中心となって、流域の諸団体、グループが参加してこの貴重な施設、文化、歴史を学び、価値を発信していこうと取り組みが進められています。
その一環として、県内の大学生が実際に現地を歩いて学ぼうという「東条川疎水ネットワーク博物館「鯉の里がえりツアー」という企画が実施されました。
参加したのは、兵庫教育大学、神戸芸術工科大学、神戸大学の学生ら約50人です。私は東条湖畔のアクア東条で一行を待ちました。写真上の鯉は学生が作成した段ボールの鯉で、ダムからアクア東条まで学生らが担いで運んできたものです。生きているように見えるのが不思議でした。アクア東条に展示されている特産の播州鯉と並びました(写真下)。